飛沫予防策マスクで医療従事者が守るべき感染対策の要点

飛沫予防策でマスクを正しく選び適切に使う方法

サージカルマスクを二重にすれば感染リスクが半分になると思っていませんか?実は逆効果で、空気漏れが増えて防御力が下がります。

N95マスク装着だけでは空気感染は防げない|院内感染対策の新常識 | 看護roo![カンゴルー]
医療機関で使用されるN95マスク。ただ装着しただけでは結核や水痘、麻疹などの空気感染を防ぐことはできません。ではどうしたら良いか?を解説します。

🔍 この記事の3ポイント
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マスクの種類と使い分け

飛沫予防策ではサージカルマスク、空気感染予防策ではN95マスクを使用。場面を誤ると感染防御が不十分になります。

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二重着用・濡れたマスクはNG

サージカルマスクの二重装着は空気抵抗が増し、周囲から空気が漏れ込むため逆効果。濡れたマスクもフィルター機能が著しく低下します。

マスクだけに頼らない多層防御

眼の保護具・手指衛生・換気との組み合わせが感染対策の基本。マスク単体では飛沫感染を完全には防げません。

飛沫予防策でのマスク種類と選び方:サージカルvsN95

飛沫予防策において、医療従事者がどのマスクを選ぶかは感染防御の一歩です。基本的な使い分けを整理しておきましょう。

飛沫感染が問題となる病原体(インフルエンザ・百日咳マイコプラズマ肺炎流行性耳下腺炎髄膜炎菌など)への対応では、サージカルマスクで十分とされています。 一方、結核・麻疹・水痘など空気感染予防策が必要な場面では、N95マスクに切り替えます。

参考)関連ガイドライン・資料(PDF)

マスクの捕集性能に関しては明確な差があります。

マスクの効果とは?最新の研究から見る感染予防効果と正しい使い方を解説
マスクの効果について最新の研究データをもとに解説。感染予防効果の科学的根拠、素材別の比較、正しい着用方法まで、医学的に正確な情報をわかりやすくお伝えします。
マスク種別 飛沫吐き出し捕集率 飛沫吸い込み防止率
N95マスク 約99% 約95%以上
不織布サージカルマスク 約80〜85% 約70%
布マスク(綿・二重) 約65〜70% 約35〜45%
ウレタンマスク 約50%程度 約30〜40%

つまり素材の選択が捕集効率を大きく左右します。 医療現場でウレタンマスクや布マスクを使用すると、不織布サージカルマスクと比較して吸い込み防止率が約半分以下になることも覚えておきましょう。これは数字として見ると意外と大きい差ですね。

飛沫予防策を必要とする患者の部屋に入室する際は、入室前にサージカルマスクを装着し、退室後は病室の外でマスクを外して手指衛生を行うのが原則です。 マスクを外す場所を間違えるだけで、廊下への汚染拡散につながります。

参考)関連ガイドライン・資料(PDF)

飛沫予防策マスクの二重着用・ぬれた状態がNGな理由

「もっとしっかり防ぎたいから」とサージカルマスクを二重に重ねている医療従事者がいます。これは実際には逆効果です。

二重装着にすると空気抵抗が増大し、マスクと顔の周囲に隙間ができて、そこから空気が漏れ込むという結果を招きます。 つまり二重着用はダメということです。感染制御の専門家・矢野邦夫氏もこの点を明確に否定しています。

同様に注意が必要なのが、濡れたマスクの継続使用です。マスクが水分を含むとフィルターが詰まり、本来の捕集機能が発揮されなくなります。 長時間の手術やケアでマスクが汗や呼気で湿ってきたと感じたら、速やかに交換が必要です。

鹿児島大学病院の院内感染対策マニュアルでは「サージカルマスクの表面が飛沫により汚染された場合は、その都度交換する」と明記されています。 汚染されたマスクを触った手を介した接触感染のリスクも忘れてはいけません。

https://www.hosp.kagoshima-u.ac.jp/ict/shingatakoronauirusu/kuh%20covid%20manual.htm

一般の方を対象にした調査では、人は平均して1時間に23回も自分の顔に触れるとされています。 医療従事者でも無意識のうちにマスクを触る場面は多く、その後の手指衛生が重要です。手洗いが条件です。

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飛沫予防策でマスクと組み合わせるべき眼の保護具

マスクだけ正しく着用していても、飛沫が目に入ることで感染は成立します。これが見落とされやすいポイントです。

飛沫を目に浴びる可能性がある処置(吸引・気管内挿管・気管支鏡検査など)では、サージカルマスクに加えてゴーグルまたはフェイスシールドの着用が必要です。 いわゆる「大量飛沫発生手技」の場面では、目の防護なしでは感染リスクが高まります。

インバウンド感染症の感染対策症状からアプローチするインバウンド感染症への対応 - 感染症クイック・リファレンス|日本感染症学会

患者がマスクを使用できない状態で大量の飛沫が発生するような処置では、医療従事者側の眼の防護が特に重要とされています。 顔全体を守る意識が必要ですね。

参考)関連ガイドライン・資料(PDF)

鹿児島大学病院の手順では、フェイスシールドやゴーグルはアルコール70%で清拭消毒後、再利用も可とされています。 毎回廃棄ではなく消毒再利用でコスト管理もできます。これは使えそうです。

飛沫予防策では「患者との距離1m以内でケアを行う際」にサージカルマスク+眼の保護具の組み合わせが推奨されています。 マスク+眼の保護が標準セットと考えると整理しやすいでしょう。

標準予防策と感染経路別予防策
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飛沫予防策においてマスク着脱タイミングと手指衛生の関係

マスクを正しく選んでも、着脱のタイミングと順序を誤ると感染防御の意味が薄れます。

飛沫予防策が必要な病室への入室は、必ず病室の外でマスクを装着してから行います。退室後も同様に、病室の外でマスクを外し、その直後に手指衛生を実施します。 順番を逆にしたり、廊下でマスクを外すのが遅れただけでも汚染が広がります。

マスクの外面は飛沫が付着した汚染面です。外す際は外面に触れないようにゴムひもを持って外すのが基本です。外した後は手指衛生が必須です。

また、標準予防策として患者自身にもサージカルマスクを着用してもらうことで、医療従事者への飛沫暴露リスクを大幅に下げられます。 患者側のマスク着用が「感染対策の主役」になる場面も多くあります。意外ですね。

日本環境感染学会のガイドラインでも、飛沫予防策として患者の個室管理とマスク着用が明示されており、病室への入室時は全員がサージカルマスクを装着することとされています。

感染管理認定看護師(ICNS)が在籍する施設では、マスク着脱手順を含む個人防護具(PPE)のトレーニングが定期的に実施されています。自施設のPPE着脱訓練の頻度を確認することが、実践力の維持につながります。

飛沫予防策マスクの「見えないリスク」:エアロゾルと飛沫核への対応

サージカルマスクで「飛沫は防げる」というのは正しいですが、見えない落とし穴があります。

不織布マスクのフィルターの目は約5μm程度で、飛沫(5μm以上)はブロックできます。 しかしエアロゾルや飛沫核(5μm未満)はフィルターを通り抜けてしまい、サージカルマスクでは十分に防げません。これが原則です。

空気感染の予防に。マスクの役割と効果、正しい着用方法を紹介 | みんなワークス
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自治医科大学附属病院の解説でも「マスクと顔との間に隙間があり、ウイルスを含んだ飛沫の吸入を100%防ぐことはできない」と明示されています。 N95マスクはこの密閉性の問題を解決しており、顔面への密着度が高い設計になっています。

マスクの効果と正しい使用方法|感染制御室|診療科のご案内|自治医科大学附属さいたま医療センター
自治医科大学附属さいたま医療センター診療科のご案内ページです。内科系・外科系の診療科や診療部等に関連する情報を掲載しています。

しかしN95マスクも「ただ装着しただけでは空気感染を完全には防げない」という点も忘れてはいけません。 フィットテスト(密着度確認)を定期的に行い、顔の形状に合ったサイズを選ぶことが不可欠です。

エアロゾルが発生しやすい手技(ネブライザー投与・気管吸引・陽圧換気など)では、飛沫予防策レベルの装備では不十分な場合があり、施設の感染対策マニュアルに従った上位の予防策への切り替えが必要です。 手技の内容によって予防策レベルを柔軟に判断することが大切です。

参考リンク(感染経路別予防策の詳細な手順と根拠:日本環境感染学会)

参考リンク(N95マスクの正しい選び方・フィットテストの方法)

N95マスクの選び方・使い方 – 安全器材と個人用防護具

参考リンク(標準予防策と感染経路別予防策の根拠・実際の手順)

標準予防策と感染経路別予防策 – AMR臨床リファレンスセンター