シベンゾリン先発薬情報
先発品を選ぶと患者負担が約7円増えます
シベンゾリン先発医薬品の製品情報
シベンゾリンコハク酸塩の先発医薬品は「シベノール錠」という商品名でトーアエイヨー株式会社が製造販売しています。この薬剤は2016年4月1日にアステラス製薬からトーアエイヨーへ製造販売承認が承継されました。現在も引き続きトーアエイヨーが販売を継続しています。
シベノール錠には50mg規格と100mg規格の2種類があります。50mg錠の薬価は17.6円、100mg錠の薬価は29.3円です。通常の用法用量は1日300mgから開始し、効果が不十分な場合は450mgまで増量します。
1日3回に分けての経口投与が基本です。
本剤はVaughan-Williams分類でIa群に分類される抗不整脈薬であり、ナトリウムチャネルとカリウムチャネルの両方を阻害することで抗不整脈効果を発揮します。心筋活動電位に対するナトリウムチャネル抑制作用により心臓の異常興奮を抑え、脈の乱れを整える働きがあります。
適応症は頻脈性不整脈で、他の抗不整脈薬が使用できない場合または無効の場合に用いられます。
つまりこれが基本です。
上室性および心室性の頻脈性不整脈に効果を示すことが確認されています。
シベンゾリン後発品との薬価比較
シベンゾリンの後発医薬品は沢井製薬と東和薬品から販売されています。沢井製薬の「シベンゾリンコハク酸塩錠50mg「サワイ」」は薬価10.4円、「シベンゾリンコハク酸塩錠100mg「サワイ」」は薬価15.9円です。東和薬品の後発品も同じ薬価設定となっています。
先発品シベノール錠50mgと後発品の薬価差は7.2円、100mg錠では13.4円の差があります。1日300mgを服用する場合(50mg錠を1日6錠)、後発品に切り替えると1日あたり約43円、1ヶ月で約1,290円の薬剤費削減になる計算です。患者負担も3割負担で月約387円の軽減につながります。
2024年10月から長期収載品の選定療養制度が開始されました。後発品がある先発医薬品を患者が希望した場合、先発品と後発品の価格差の4分の1相当が特別の料金として追加請求されます。シベノール50mg錠の場合、価格差7.2円の4分の1である約1.8円に消費税を加えた額が1錠ごとに加算されます。どういうことでしょうか?
この特別料金は保険給付の対象外となるため全額患者負担です。医療上の必要性が認められる場合は特別料金の対象外となりますが、単に患者の希望だけで先発品を選択した場合は追加負担が発生することになります。シベンゾリンの場合、腎機能低下時の用量調整や副作用モニタリングの観点から医療上の必要性が認められる場合も少なくありません。
医療機関や薬局では患者に対し後発品の説明と選択の機会を提供することが求められています。処方医が後発品への変更不可と判断した場合を除き、患者の同意のもとで後発品への切り替えが進められます。
シベンゾリン腎機能低下時の用量調整方法
シベンゾリンは腎排泄型の薬剤であり、腎機能低下患者では血中濃度が上昇しやすくなります。血清クレアチニン値(Scr)を指標として障害の程度に応じた投与量の調整が必須です。添付文書には腎機能の程度別の用法用量が明記されています。
腎機能正常者(Scr 1.5mg/dL未満)では1日300~450mgが標準用量です。軽度腎機能障害(Scr 1.5~2.0mg/dL未満)では1日200~300mgに減量します。中等度腎機能障害(Scr 2.0~3.0mg/dL未満)では1日100~200mgとさらに減量が必要です。重度腎機能障害(Scr 3.0mg/dL以上)および透析患者には投与禁忌となっています。
腎機能低下に伴い消失半減期が延長しAUCが増大するため、副作用発現のリスクが高まります。特に高齢者では腎機能が低下していることが多く、体重も少ない傾向があるため副作用が発現しやすいです。高齢者には少量(例えば1日150mg)から慎重に投与を開始する必要があります。
本剤の投与中は頻回に患者の状態を観察し、臨床検査(特に腎機能検査)を定期的に行うことが重要です。必要に応じて血中濃度を測定し用法用量を調整します。治療有効濃度は70~250ng/mLで、ピーク濃度が800ng/mLを超えると副作用が発現しやすくなります。TDMを実施して投与量を調整することが推奨されます。
トーアエイヨーは医療関係者向けにシベノール錠TDM推定サービスを提供しています。患者の腎機能や体重などのパラメータを入力することで、適切な投与量を推定できるツールです。
腎機能に応じた安全な投与設計を支援します。
シベノール錠TDM推定サービス(トーアエイヨー医療関係者向けサイト)
腎機能に応じた用量設計を支援するTDMツールが利用できます。
シベンゾリン重大な副作用と対策
シベンゾリンには注意すべき重大な副作用がいくつかあります。最も重要なのが催不整脈作用で、心室細動や心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)が報告されています。心停止に至る場合もあるため心電図モニタリングが必要です。
低血糖も重大な副作用として知られています。発現機序は膵β細胞のKATPチャネルを抑制しインスリン分泌を促進するためと考えられています。この作用は用量依存性で、血中濃度ピークが800ng/mL以上で低血糖が起こりやすくなります。空腹感、動悸、震え、冷汗などの症状が出現した場合は速やかに血糖値を測定する必要があります。
抗コリン作用による副作用も特徴的です。排尿障害、口渇、霧視、視調節障害などが出現することがあります。尿貯留傾向のある患者では抗コリン作用により尿閉を悪化させるおそれがあるため禁忌です。閉塞隅角緑内障患者も眼圧上昇により症状悪化の可能性があるため禁忌となっています。
その他の重大な副作用としてショック、アナフィラキシー、心不全、心原性ショック、肝障害などが報告されています。
投与開始後は特に注意深い観察が必要です。
副作用が出現した場合には減量または投与中止を検討します。
高度の房室ブロックや高度の洞房ブロックのある患者、うっ血性心不全のある患者には投与禁忌です。
心停止や症状悪化のリスクが高いためです。
他の抗不整脈薬を併用している患者にも慎重投与が求められます。
副作用モニタリングの具体的な対策として、定期的な心電図検査、血糖値測定、肝機能検査、腎機能検査の実施が推奨されます。患者には低血糖症状や排尿障害などの自覚症状について説明し、異常を感じた場合は速やかに医療機関に連絡するよう指導することが大切です。
シベンゾリン先発品選択の臨床判断
先発品シベノール錠と後発品の間には有効成分、品質、効き目、安全性に差はありません。生物学的同等性試験により同等性が確認されています。
したがって通常は後発品への変更が可能です。
しかし一部のケースでは先発品の継続使用が医療上必要と判断される場合があります。
患者が長期間先発品を服用しており、病状が安定している場合は継続使用が望ましいことがあります。後発品への切り替え後に効果不十分や副作用の変化が認められた場合も先発品に戻す選択肢があります。実際には効果や副作用に差がなくても、患者の心理的な不安から治療アドヒアランスが低下する可能性も考慮する必要があります。
腎機能低下患者で微妙な用量調整が必要な場合、長年使用してきた製剤を継続することで安定した血中濃度管理ができるメリットがあります。TDMを実施している患者では製剤変更により血中濃度パターンが変化する可能性を考慮します。
痛いですね。
医療経済的な観点からは後発品の使用が推奨されます。医療費抑制と患者負担軽減の両面でメリットがあります。選定療養制度により先発品選択時の患者負担が増加したことで、後発品への切り替えを検討する患者が増えています。
処方医は患者の病状、腎機能、併用薬、治療歴などを総合的に評価し、先発品と後発品のどちらを使用するか判断します。薬剤師は調剤時に患者の意向を確認しつつ、後発品のメリットや先発品選択時の追加負担について十分に説明する役割があります。患者が十分な情報をもとに自己決定できるよう支援することが重要です。
用法用量の調整と臨床検査について詳しい情報が掲載されています。
製品の詳細な薬物動態や臨床成績データが確認できます。