散在性脈絡膜炎 診断 治療 検査 予後

散在性脈絡膜炎の診断と治療

散在性脈絡膜炎:臨床で迷わない要点
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検査は「分布」と「層」を押さえる

眼底・OCT・FA/IAを組み合わせ、白点の位置(網膜外層〜RPE〜脈絡膜)と病変の散在パターンを言語化します。

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鑑別は白点症候群を軸に組み立てる

MEWDS/PIC/MFC/AZOORなどのスペクトラムを意識し、経過(自然軽快か瘢痕化か)と再発性を確認します。

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治療は「視機能リスク」と「炎症活動性」で決める

多くは経過観察が基本になり得ますが、視力回復が遷延する場合や病変が中枢に及ぶ場合はステロイド等を検討します。


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散在性脈絡膜炎の症状

散在性脈絡膜炎は、患者が訴える症状が「視力低下」だけに限られない点が重要で、霧視、傍中心暗点、光視症など“質”の異なる見え方の異常として来院することがあります。

特に白点症候群(white dot syndrome)の文脈では、突然の片眼性症状として立ち上がるケースがあり、問診で発症様式(急性か、気づいたら進行か)を丁寧に拾うことが診断速度を左右します。

また、初診時に矯正視力が軽度低下〜ほぼ保たれていても、視野の欠損やマリオット盲点拡大などで日常生活の支障が大きい場合があり、視力だけで重症度を判断しない姿勢が必要です。

臨床では、症状と所見の“ズレ”が起きやすいのが落とし穴です。

  • 視力が保たれているのに「まぶしい」「チカチカする」と訴える
  • 自覚は軽いのにOCTで外層障害がはっきり見える
  • 眼底の白点が目立たないのにIA/FAで活動性が見える

    こうした不一致は、検査の選択(OCTだけで終えない、必要ならFA/IAまで進める)に直結します。

    参考)https://www.semanticscholar.org/paper/e7ba2d8c05d6774804a546887c27b02d0bef265e

散在性脈絡膜炎の検査と診断

散在性脈絡膜炎を疑う局面では、眼底所見を“白点がある/ない”で止めず、病変の散在パターン(後極中心か、中間周辺までか)と、病変の層(網膜外層〜RPE〜脈絡膜)を意識して記載することが実務的に役立ちます。

OCTは、外層(視細胞ellipsoid zone:EZ)の不整や消失、外層反射の変化など「機能に直結する構造変化」を把握するのに強く、活動性の推定と経過判定に有用です。

蛍光眼底造影(FA)・ICG蛍光眼底造影(IA)は、白点病変の蛍光パターンや散在する低蛍光などを捉え、OCT単独では確信が持てないときの裏づけになります。

「散在性」という言葉に引っ張られて、単なる所見記述で終わると鑑別が詰みやすいので、白点症候群の代表像を参照枠として使うのがコツです。

例えばMEWDSでは、眼底で後極部中心に多発白点が散在し、OCTでEZの不整、FAでwreath-likeの過蛍光、IAで後期の散在性低蛍光など、複数モダリティで整合する“型”があります。

散在性脈絡膜炎の鑑別と白点

散在性脈絡膜炎の鑑別では、「白点症候群」という総称の中でどの病型に寄るのか、あるいは感染性/非感染性ぶどう膜炎の文脈で別疾患を疑うべきかを整理します。

日本眼科学会の「ぶどう膜炎診療ガイドライン」でも、非感染性ぶどう膜炎の疾患群や、所見記載・活動性評価の枠組みが詳述されており、診断名が揺れる段階でも“所見を定量・標準化して残す”重要性が強調されています。

鑑別で実害が大きいのは、見かけが似る疾患を同一視して治療強度を誤ることで、自然軽快しやすいタイプに過剰治療を行う一方、再発や瘢痕化を来しうる病型でフォローが薄くなることです。

実務で使いやすい鑑別の切り口は次の通りです。

  • 経過:1〜2か月で消失していくか、瘢痕化して残るか(観察の設計が変わる)​
  • 罹患眼:片眼優位か、両眼性か(全身背景も含めて再評価)​
  • 中枢病変:中心窩の顆粒状変化やEZ障害があるか(視機能説明に直結)​
  • 造影所見:FA/IAの“散在の仕方”が症状と整合するか​

参考:白点症候群やぶどう膜炎の分類・所見記載・治療(ステロイド等)に関する総論

日本眼科学会 ぶどう膜炎診療ガイドライン(PDF)

散在性脈絡膜炎の治療とステロイド

治療方針は「自然軽快しやすいか」「視機能に不可逆な障害を残しうるか」を軸に組み立て、まず経過観察を選ぶのか、早期に抗炎症治療を入れるのかを決めます。

MEWDSの解説では、多くが1か月、長くても3か月以内に自然軽快することが多く、基本は経過観察としつつ、回復が遷延する場合にステロイド全身投与を検討する、という実臨床に近い記載があります。

一方で、ぶどう膜炎領域のステロイド治療は「感染性の除外」「副作用モニタリング」「投与量と漸減」の設計が重要であり、全身投与の適応・投与前評価・副作用(眼局所も含む)がガイドラインで体系的に整理されています。

医療従事者向けに文章化するなら、治療選択の論点は次が実用的です。

  • 経過観察を選ぶ条件:視力・OCT外層所見・視野所見が改善傾向、病変が中枢温存​
  • 介入を検討する条件:視力回復が遷延、症状が強い、外層障害が改善しない​
  • ステロイドを使う前提:感染性を疑う所見があれば抗微生物療法の優先や慎重な判断が必要​

また、患者説明の“意外な落とし穴”は、「ステロイド=悪」あるいは「ステロイド=すぐ治る薬」という極端な理解に寄ってしまうことです。

治療の目的が“炎症の鎮静化と視機能の保護”であり、投与後もOCTや視野などで効果判定しながら調整することを、具体的な検査の話とセットで説明すると納得が得やすくなります。semanticscholar+1​

散在性脈絡膜炎の予後と独自視点

予後説明は「視力予後」と「再発・移行の可能性」を分けて行うと誤解が減り、MEWDSでは視力予後は良好とされつつも、回復が0.6〜0.7にとどまる例や再発例がある、という現場感のある記載があります。

さらに、MEWDSがAZOORなどの広い疾患概念(AZOOR complex syndrome)と関連して語られることがあり、単発で終わらない可能性をゼロとは言えない点が示されています。

この「完全に治ると言い切らないが、過度に不安も煽らない」バランスが、医療従事者向け記事では価値になります。

独自視点としては、診断名よりも「所見の再現性」と「記録の粒度」がチーム医療で効いてくる、という点を強調すると実務に刺さります。

たとえば、SUNの枠組みのように炎症所見を定量化して記録する考え方は、紹介状・院内カンファ・治療反応性の比較で威力を発揮し、後から診断が変わっても臨床情報が死にません。

また、初期に“軽症に見える”症例ほどフォロー設計が雑になりやすいため、OCTでEZの回復過程を追い、視野の自覚症状と整合しているかを確認する運用をルーチン化すると、見落としを減らせます。