リュープリンやめたら身長の変化
リュープリン治療終了後の身長の伸び
リュープリン(リュープロレリン酢酸塩)は思春期早発症の治療薬として使用され、治療を中止すると性ホルモンの分泌が再開します。治療終了後の身長の伸びについては、複数の研究で良好な結果が報告されています。
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たなか成長クリニックの研究では、リュープリン治療を併用療法として行った群において、治療終了後も平均5cmの身長の伸びが観察されました。併用療法群の成人身長は164.6±3.6cmに達し、無治療群と比較して有意に高い最終身長を獲得できることが示されています。
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治療終了のタイミングは重要で、一般的には骨年齢が女児では12歳頃、男児では14歳頃までの治療が推奨されています。このタイミングを適切に設定することで、自然な成長期を活用しながら最終身長の改善を図ることができます。
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リュープリン中止による骨端線への影響
骨端線の閉鎖は身長の伸びを決定する重要な要因です。リュープリン治療を中止した場合の骨端線への影響について、専門医の見解では、治療をしなかった場合よりも骨端線の閉じるスピードが早まることはないとされています。
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治療中止後は自然の成長過程と同様に骨端線が閉じていくため、急激な閉鎖による悪影響は報告されていません。しかし、中止のタイミングによっては「成長スパート」と呼ばれる急激な身長の伸びが早く終わってしまう可能性があるため、医師の慎重な判断が必要です。
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骨年齢の進行状況を定期的にモニタリングし、適切な時期に治療を終了することで、最終身長への悪影響を最小限に抑えることができます。
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リュープリン治療効果の個人差と予測身長
リュープリン治療の効果には明らかな個人差が存在します。東京神田整形外科クリニックの報告では、適切な治療により予測身長よりも+15cmほど伸びた症例もありますが、すべてのケースで同様の結果が得られるわけではありません。
治療中の成長速度についても、月間2-3mm程度の成長が平均的とされていますが、個々の患者によって異なる反応を示します。リュープリン治療中は成長速度が低下する傾向にありますが、骨端線の閉鎖を遅らせることで最終的な身長獲得期間を延長する効果があります。
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最終身長の予測には、遺伝的要因、治療開始時期、骨年齢の進行状況、治療期間などが複合的に影響するため、専門機関での継続的な評価が重要です。
リュープリン単独使用時の成長への影響
リュープリン単独での使用は、一般的には推奨されていません。リュープリン単剤の使用では、思春期の進行を抑制する横軸(時間軸)の改善効果はありますが、成長速度という縦軸に対してはマイナスの影響を与える可能性があります。
そのため、成長ホルモンやプリモボランとの併用療法が基本的な治療方針となっています。併用療法により、思春期の伸びが34.0±5.0cmと無治療群より有意に大きくなり、リュープリン終了後も継続的な身長の伸びが期待できます。
参考)https://ameblo.jp/miyabi7782/entry-12742852984.html
ただし、思春期早発症のような極端な横軸の問題がある場合には、リュープリン単剤での使用も検討される場合があります。このような治療方針の決定には、個々の症例に応じた専門的な判断が必要です。
リュープリン治療中断のリスクと医学的管理
リュープリン治療の中断には注意深い医学的管理が必要です。治療を自己判断で中断することは避けるべきで、定期的なフォローアップを受けながら進めることが重要です。
治療中断後の成長パターンについて、専門医は「治療終了後、通常数ヶ月で生理が再開し、性ホルモンの分泌が徐々に元のレベルに回復する」と説明しています。男児の場合、治療終了2年後までに成人レベルに達し、女児の場合はより早期に回復する傾向があります。
参考)https://order.nipro.co.jp/pdf/BB0-B003-0152-00.pdf
現在の治療では、リュープリン注射を時々休みながら、身長の伸びと骨端線の閉鎖具合を見ながら進める個別化治療も検討されています。これにより、患者一人ひとりの成長パターンに最適化された治療が可能となります。
関連する専門的な情報について詳細を知りたい場合は、以下の参考リンクが有用です。
思春期早発症の治療ガイドライン
成長ホルモンとの併用療法について