ループス腎炎 型 分類 病理 診断 治療

ループス腎炎 型 分類

ループス腎炎 型 を素早く整理
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型=治療の入口

Class(I〜VI)と活動性/慢性の評価が、免疫抑制の強度・期間の前提になる。

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病理は“糸球体以外”も重要

分類は糸球体中心でも、尿細管間質・血管病変の記載が予後に直結する。

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落とし穴は“混在”と“別病態”

III/IV+VやTMA合併など、Class名だけでは治療が決まらない場面がある。

ループス腎炎 型 のISN/RPS分類(2018年改訂)

 

ループス腎炎の「型」は、国際的にはISN/RPS分類(Class I〜VI)として整理され、腎生検の光顕・蛍光抗体法・電顕所見を総合して決定します。

2018年改訂の枠組みでは、Class Iは「光顕でほぼ正常だがメサンギウムに免疫沈着がある」型、Class IIは「メサンギウムに限局した増殖/基質拡大+免疫沈着」の型として定義されます。

臨床的に治療方針へ直結しやすいのは、Class III(巣状:病変糸球体が50%未満)、Class IV(びまん性:50%以上)、Class V(膜性)、Class VI(90%以上が全節性硬化で非活動性)で、特にIII/IVは“増殖性”として強い免疫抑制を検討する土台になります。

医療者向けに説明する際は、まず「Classは“どこに・どれだけ・どんな炎症/沈着があるか”の地図」と捉えると、患者説明や他科連携で言語が揃いやすくなります。

参考)ループス腎炎|大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学

また、2018年改訂では混在パターンの扱いも整理され、たとえば「Class II+Class V」という表現は採らず、膜性所見が成立するならClass V側へまとめるなど、分類の一貫性が意識されています。

“型”の名称に引っ張られてしまうと、活動性が高いのか、慢性化しているのか、血管病変があるのかが抜け落ちるため、Class名はあくまで入口だとチーム内で共有しておくと安全です。

ループス腎炎 型 の病理:活動性病変・慢性病変(wire-loop、ヒアリン血栓)

ループス腎炎の型を臨床に落とすうえで重要なのは、Classだけでなく「活動性病変(いま燃えている)」「慢性病変(焼け跡)」の見立てで、2018年改訂ではmodified NIH activity/chronicity indexの考え方が併走します。

活動性病変の代表として、光顕で同定しうる内皮下沈着(いわゆるワイヤーループ)や、毛細血管腔内の免疫沈着(ヒアリン血栓)が挙げられ、これらは“免疫複合体沈着による病変”として理解すると病態の整理がしやすいです。

一方で、糸球体硬化(分節性/全節性)や線維性半月体などは慢性病変として扱われ、免疫抑制で「元に戻る」期待が乏しい領域として治療のゴール設定に影響します。

また、ISN/RPS 2003改訂の議論(日本腎臓学会の解説)では、Class IIIとIVの分け方を“病変糸球体の割合(50%未満/以上)”で定量的に明確化し、再現性を高めることが大きな目的でした。

参考)https://jsn.or.jp/journal/document/46_5/nagata.pdf

この「割合で分ける」ルールは単純に見えますが、実務では“何を病変糸球体として数えるか”が難所になり、虚血性硬化など別病態の硬化をどう扱うかは病理・臨床で必ず擦り合わせが必要です。

意外に見落とされやすいポイントとして、分類は糸球体腎炎の枠組みであっても、間質尿細管病変や血管病変は報告書に明記することが強く推奨され、予後推定ではここが効いてくることがあります。

ループス腎炎 型 の診断:腎生検と検尿・蛋白尿

診断の基本動線は「腎障害を疑う所見(蛋白尿・血尿・円柱・腎機能低下など)→腎生検でClassと活動性/慢性を確定→治療強度を決める」で、腎生検のタイミングが転帰に影響しうる点が繰り返し強調されています。

臨床現場では、検尿や蛋白尿の程度から“型の予測”をしたくなりますが、同じ蛋白尿でも膜性(Class V)中心なのか、増殖性(Class III/IV)が隠れているのかで初期治療が変わり得るため、病理で確定する価値が高い疾患です。

さらに、蛍光抗体法・電顕は分類に必須とされない場面もありますが、早期の膜性病変や免疫沈着の確認に役立つため、光顕だけで割り切れない症例では診断の確度を上げる支えになります。

医療従事者向けの説明としては、「Class Iは光顕で正常でも、蛍光抗体法で沈着があれば“腎炎として扱う”」という定義が、検尿軽微でも腎炎を否定しきれない理由づけになります。

逆に、光顕で“それっぽい”所見があっても、病変定義(管内増殖の程度、半月体の基準など)に乗っていないとClass判定がぶれるため、病理レポートの用語定義を読み解く力が求められます。

この読み解きができると、再燃か慢性化かで迷う症例に対し、再生検の要否や治療の強弱をチームで議論しやすくなります。

ループス腎炎 型 の治療:寛解導入・維持(GC、MMF、CNI)

治療は一般に「寛解導入→維持」の二段階で考え、活動性のあるループス腎炎ではステロイド(mPSLパルスを含む)で急性炎症を抑えつつ、免疫抑制薬を組み合わせる流れが代表的です。

具体的な薬剤選択として、MMF(ミコフェノール酸モフェチル)やシクロホスファミド、カルシニューリン阻害薬(タクロリムス等)などが治療選択肢として整理され、病型や腎機能、合併症リスクで組み合わせが検討されます。

維持療法は「反応後も一定期間続ける」考え方が強く、寛解後の再燃をどう防ぐか(アドヒアランス、感染対策、併存疾患管理)が長期予後に影響します。

“型”との結びつきで言うと、Class III/IV(±V)では免疫抑制の中心をどこに置くかが重要で、Class V単独(膜性)では蛋白尿主体の管理と免疫抑制のバランスが課題になりやすい、という整理が臨床では有用です。

また、免疫抑制だけでなく、蛋白尿・血圧管理などの腎保護(RAAS阻害薬など)や、感染症対策・骨保護など“非免疫”の介入を同時並行で組む必要がある点も、ガイドライン本文で強調されています。

現場の落とし穴として、治療無反応に見える原因が「薬剤量不足・内服不良」だった、という指摘がガイドライン内で明示されており、難治例ほど基本の再点検が重要になります。

ループス腎炎 型 の独自視点:TMA/APS合併を“別レイヤー”で見る

検索上位の一般解説ではClass分類に焦点が当たりがちですが、臨床では「増殖性ループス腎炎+血栓性微小血管症(TMA)」「抗リン脂質抗体症候群(APS)関連腎症が重なる」など、“別レイヤーの病態”が腎機能悪化を押し上げることがあります。

KDIGO 2024の記載では、ループス腎炎とTMAが併存する状況を想定し、ADAMTS13や抗リン脂質抗体の評価など、病因に応じた管理へ分岐する考え方が示されています。

日本腎臓学会誌の症例報告でも、APS/TMAが関与した可能性が議論され、ループス腎炎そのもの(免疫複合体性腎炎)とは独立した血栓性機序が腎予後に影響し得る点が示唆されています。

この視点を持つと、「Class IVだから免疫抑制を増やす」だけでは不十分な症例に気づきやすくなり、血小板減少、溶血所見、急峻な腎機能低下、病理での血栓所見などを見た時に鑑別の優先順位が上がります。jsn+1​

さらに、ネフローゼレベルの蛋白尿や低アルブミン血症がある場合、血栓リスクを踏まえた対応が話題になることがあり、腎炎の“型”とは別に血栓リスク評価の軸を立てておくと安全です。

医療者間コミュニケーションでは「Class+活動性/慢性+血管/TMAの有無」という3点セットで申し送りすると、治療の論点がずれにくくなります。jsn+1​

参考:分類(ISN/RPS)と病変定義の背景(Class III/IVの定量化、活動性/慢性病変の考え方)

https://jsn.or.jp/journal/document/46_5/nagata.pdf

参考:ISN/RPS 2018分類の要点、modified NIH activity/chronicity index、KDIGO 2024やACR等の記載のまとまり(診断・治療の実務に直結)

ループス腎炎|大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学

全身性エリテマトーデス臨床マニュアル 第4版