労働安全衛生規則とフォークリフトの運転技能講習と安全教育

労働安全衛生規則とフォークリフト作業

フォークリフト作業の法的要件
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運転資格の取得

技能講習や特別教育による有資格者のみが運転可能

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定期点検の実施

作業開始前・月次・年次の三段階の点検体制

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安全教育の義務

従事者への継続的な安全衛生教育の実施

労働安全衛生規則第151条によるフォークリフト運転資格の種類と要件

労働安全衛生法により、フォークリフトの運転には厳格な資格要件が定められています。最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転業務には、労働安全衛生法施行令第20条第11号に基づく「運転技能講習」を修了した有資格者である必要があります。

参考)https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/var/rev0/0119/5752/2018112163729.pdf

運転技能講習の内容は学科講習11時間と実技講習24時間から構成され、修了試験を経て「技能講習修了証」が交付されます。また最大荷重1トン未満のフォークリフトについては、学科6時間・実技6時間の「特別教育」の修了が必要で、18歳から受講可能です。

参考)運転技能講習・特別教育

医療機関では薬品や医療機器の搬送にフォークリフトを使用することが多く、無資格運転は労働安全衛生法違反として50万円以下の罰金が科せられるため、適切な資格管理が重要です。

参考)フォークリフトに関する法令違反|兼子産業株式会社

フォークリフトの定期自主検査と特定自主検査の法的義務

労働安全衛生規則第151条の26により、フォークリフトには三種類の点検が義務付けられています。作業開始前点検(日常点検)は毎日実施し、制動装置、操縦装置、荷役装置、車輪、照明装置の機能確認を行います。

参考)フォークリフトの3種類の自主検査とは? 有資格者が行う検査は…

定期自主検査(月次点検)は1か月に1回実施し、制動装置やクラッチの異常、荷役装置と油圧装置の異常、ヘッドガードとバックレストの異常を点検します。これらの点検は無資格者でも実施可能です。

参考)フォークリフトの自主点検(検査)はおこなっていますか?

特定自主検査(年次点検)は年1回実施する最も重要な検査で、有資格者の事業内検査者または検査業者による実施が必要です。検査記録は3年間保存が義務付けられ、検査標章の貼付も必要となります。

労働安全衛生規則における作業計画と作業指揮者の選任

労働安全衛生規則第151条の3により、フォークリフトを用いた作業では事前の作業計画作成が義務付けられています。作業計画には作業場所の広さと地形、フォークリフトの種類と能力、荷の種類と形状に適応した内容を記載する必要があります。

参考)宮崎労働局

具体的には、フォークリフトの運行経路と作業の方法を明示し、関係労働者に周知することが必要です。また第151条の4により、作業指揮者の選任と指揮業務の実施も義務付けられています。

参考)http://www.rikusaibo-hokkaido.org/anzensiryou/hourei/anki151-4.pdf

医療機関では医薬品や医療機器の搬送時に複数の職員が関わることが多いため、明確な作業計画と指揮系統の確立により安全な作業環境を構築することが重要です。

参考)【前編】フォークリフトの危険行為とは?労働安全衛生規則をご紹…

医療機関特有のフォークリフト安全教育と危険行為の防止

労働安全衛生法第60条の2により、フォークリフト運転業務従事者には継続的な安全衛生教育が義務付けられています。医療機関では清潔区域での作業や感染予防対策を考慮した教育プログラムの策定が必要です。

参考)フォークリフト運転業務従事者の安全衛生教育 href=”https://roukiren-ryuugasaki.org/2021/12/09/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%95%E3%83%88%E9%81%8B%E8%BB%A2%E6%A5%AD%E5%8B%99%E5%BE%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E3%81%AE%E5%AE%89%E5%85%A8%E8%A1%9B%E7%94%9F%E6%95%99%E8%82%B2/” target=”_blank”>https://roukiren-ryuugasaki.org/2021/12/09/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%95%E3%83%88%E9%81%8B%E8%BB%A2%E6%A5%AD%E5%8B%99%E5%BE%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E3%81%AE%E5%AE%89%E5%85%A8%E8%A1%9B%E7%94%9F%E6%95%99%E8%82%B2/amp;#8211; …

労働安全衛生規則第151条の13では乗車席以外への搭乗制限、第151条の14では主たる用途以外の使用制限が定められています。医療従事者が医療機器の高所設置のためにパレットに乗る行為や、荷のつり上げ作業は危険行為として禁止されています。
教育内容には作業手順の定め方、労働者の適正配置、最新のフォークリフト特徴、取扱いと保守、災害事例と防止対策、関係法令が含まれ、年1回程度の定期実施が推奨されています。

フォークリフト作業における制限速度と接触防止の規制措置

労働安全衛生規則第151条の5により、最高速度が毎時10キロメートルを超えるフォークリフトには制限速度の設定が義務付けられています。事業者は作業場所の地形と地盤状態に応じた適正な制限速度を定め、運転者はこれを厳守する必要があります。

参考)https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/001522428.pdf

第151条の7では車両系荷役運搬機械の接触防止措置が規定され、他の車両や歩行者との接触を防ぐための安全対策が必要です。医療機関内では患者や職員の通行が頻繁なため、徐行運転と安全確認の徹底が重要です。

参考)https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-1-2h1_2-0.htm

また運転者がフォークリフトを離れる際は、フォークを最低降下位置まで下げ、原動機を停止し、駐車ブレーキをかけるなどの逸走防止措置が義務付けられています。これらの基本的な安全操作により、医療機関内での労働災害を効果的に防止できます。