肋骨骨折の起き上がり方と痛み軽減

肋骨骨折の起き上がり方

肋骨骨折時の起き上がりのポイント
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横向き姿勢を基本とする

痛めていない側を下にした横向き姿勢から起き上がると、肋骨への負担を最小限に抑えられます

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呼吸を止めずに動く

動作中は息を吐き続けることで筋肉の緊張を防ぎ、肋骨が引っ張られるのを抑制できます

肘を活用する

下側の肘を布団に立てて支えにすると、痛めた側の筋肉を使わずに上半身を起こせます

肋骨骨折における起き上がり動作の基本

肋骨骨折時の起き上がり方は、横向き姿勢から行うのが最も痛みを軽減できる方法なんです。痛めた側を上にした横向きの状態から、下側になっている肘を布団に立てて上半身を起こしていきます。この方法では、仰向けから起き上がる場合と比べて腹筋や胸部の筋肉を使う必要が少なく、骨折部への負担を最小限に抑えられますよ。

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動作中の呼吸管理も重要なポイントです。起き上がる際は息を吐き続けることで、筋肉の緊張を防ぎ、肋骨が筋肉に引っ張られるのを防ぐことができます。呼吸を止めてしまうと筋肉が緊張して肋骨を動かしてしまうため、ゆっくりと息を吐きながら動作を行うことが大切なんです。​
肋骨骨折でも楽に過ごす方法では、実際の起き上がり方の写真や動画も紹介されており、具体的な動作イメージを確認できます。​

肋骨骨折時に避けるべき起き上がり方

仰向けからの起き上がりは、肋骨骨折時には最も避けたい動作です。仰向けから起き上がろうとすると、腹筋と胸部の筋肉を大きく使う必要があり、さらに少しの勢いや手の支えも必要になるため、痛みが強くなってしまいます。​
うつ伏せからの起き上がりも、一見楽そうに見えますが実際には推奨できません。うつ伏せの姿勢自体は起き上がりやすいものの、横向きや仰向けからうつ伏せになる過程で痛みを感じてしまうため、結果的に痛みを伴う動作が増えてしまいます。​

起き上がり方 痛みの程度 理由
横向きから肘立て 腹筋や胸筋をほとんど使わない​
仰向けから ⭐⭐⭐ 腹筋と胸部の筋肉を大きく使う​
うつ伏せから ⭐⭐ うつ伏せになる過程で痛みが発生​

痛めた側の手に体重をかけないことも重要なポイントです。骨折した側の腕や手に力を入れると、胸部の筋肉が収縮して肋骨に負担がかかるため、できるだけ痛めていない側の肘だけを支えとして使うようにしましょう。​

肋骨骨折における呼吸法の重要性

肋骨骨折時の動作では、腹式呼吸を意識することが痛み軽減に大きく寄与します。腹式呼吸は横隔膜を主に使う呼吸法で、肋骨の動きを最小限に抑えられるため、骨折部への負担が少なくなります。youtube​

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具体的な腹式呼吸の実践方法は、鼻から5秒程度かけてゆっくりと息を吸い、お腹を膨らませます。次に、吸った時の2〜3倍の時間をかけて、つまり10〜15秒ほどかけてゆっくりと息を吐いていきます。この方法により、腹部の深層筋の収縮が促されやすくなり、肋骨の動きを抑制できるんです。youtube​

呼吸時に痛みを感じる場合は、吸う時と吐く時のどちらが痛いかを確認してください。吐く時に痛い方は息を吐きながら動作を行い、吸う時に痛い方は逆に息を吸いながら動作を行うと、痛みを軽減できますよ。​
肋骨骨折では胸式呼吸よりも腹式呼吸を意識することで、咳やくしゃみによる急激な肋骨の動きを防ぐことができます。肋骨骨折と解剖に関する解説では、呼吸運動と肋骨の関係について詳しく説明されています。​

肋骨骨折時の安静と体位管理

肋骨骨折の安静期間は、一般的に3〜6週間が目安とされています。骨折の程度や年齢、基礎疾患の有無によって安静期間は変わってきますが、高齢の方や症状が重い方の場合は、より長い安静期間が必要になることがあります。

参考)肋骨骨折の痛みのピークは?やってはいけないことや安静期間を医…


安静期間中の体位管理も重要です。痛めた肋骨側を上にして寝るのが最も楽な寝方で、寝返りの回数を減らすために仰向けと横向きを繰り返す方法が推奨されます。横向きから仰向けになる際は、腰を浮かせようとせず、ゴロンと重力だけで寝返りをすると、腹筋や腕を使わずに済むため痛みが軽減されます。​

体位 推奨度 理由
横向き(患側上) 骨折部に体重がかからない​
仰向け 寝返りの中継ぎとして有効​
横向き(患側下) 骨折部に体重がかかり痛みが強い​
うつ伏せ × 体位変換時に痛みが発生​

過度な安静は身体機能の衰えにつながるため、極端に活動量が落ちないように注意が必要です。痛みが出ない範囲で日常生活を送り、医師の指示に従って適切な活動レベルを維持することが大切なんです。​

肋骨骨折後の治癒過程における医学的知見

肋骨骨折の痛みのピークは受傷から数日間で、その後は徐々に痛みが軽減していきます。ただし、2週間ほど経過すると肋骨がずれて痛みが強くなるケースもあるため、注意が必要です。症状が和らぐまでには、痛みのピークから3〜4週間ほどかかるのが一般的な目安とされています。​
骨折した骨が癒合するまでの期間は、程度にもよりますが3〜6週間とされています。肋骨にひびが入っている程度や骨折箇所が1箇所であれば、痛みは1ヶ月以内に落ち着くことが多いですが、複数箇所の骨折や重度の場合は、それ以上の期間が必要になります。​
高齢者の場合、肋骨骨折がきっかけとなり無気肺や肺炎などの合併症を引き起こすリスクが高まります。無気肺とは肺の一部または全体に空気がなく、肺が潰れた状態のことで、呼吸困難を生じる可能性がある疾患です。そのため、1時間に1回の深呼吸や咳が推奨されていますが、骨折の痛みでなかなか実行できないのが現実なんです。​
多発肋骨骨折によりフレイルチェストを生じた場合は、体位制限があり積極的な体位ドレナージが行えず、長期鎮静や陽圧換気による呼吸筋力の弱化、咳嗽力の抑制などが問題となります。フレイルチェストと多発肋骨骨折に関する研究では、早期内固定への取り組みが報告されています。

参考)フレイルチェスト,多発肋骨骨折に対する早期内固定への取り組み


バストバンドと呼ばれる肋骨を固定するサポーターを装着すると、胸郭の動きが抑制されて腹式呼吸が促され、肋骨の痛みが軽くなります。ただし、バストバンドで固定しても痛みがゼロになるわけではなく、動きは制限されるため、大きな動作や呼吸が乱れる活動は難しくなります。

参考)肋骨骨折している時、楽に寝る姿勢はどのようなものがありますか…


若年層や壮年層の1〜2本の肋骨骨折では、適切な管理により問題なく日常生活に戻れることがほとんどです。しかし、肋骨の状態が良好になるまでは、重い荷物を抱える、体の捻りを繰り返す、激しい運動をするといった行動は避け、安静を保つことが重要なんです。​