リウマトレックス副作用の種類と対処法
リウマトレックス(メトトレキサート)は関節リウマチ治療において中心的な役割を果たす薬剤ですが、その効果の高さと引き換えに様々な副作用が報告されています 。主な副作用として、肝機能障害、口内炎、倦怠感、嘔気、発疹などが挙げられ、これらの発現頻度は1-10%とされています 。
参考)リウマトレックス、メトトレキサートなどMTXの副作用について…
メトトレキサートの副作用は用量依存性があり、投与量が増加するにつれて発現頻度も増加することが知られています 。一方で、適切な監視と対策により、多くの副作用は予防または軽減可能です 。
参考)リウマトレックス – 東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風セ…
リウマトレックス軽度副作用の症状と管理法
最も一般的な軽度副作用として、口内炎、倦怠感、食欲不振、下痢などが挙げられます 。これらの症状は内服開始後1日前後で現れることが多く、程度は患者により様々です 。
消化器症状については、メトトレキサートの血中濃度上昇により嘔吐や食思不振といった症状を引き起こすことがあります 。分割服用により症状が軽減されることがあり、最近では皮下注射製剤により消化管を通過せずに体内へ吸収されるため、これらの症状が軽減されると期待されています 。
軽度な副作用の管理には、葉酸製剤(フォリアミン)の併用が効果的です。葉酸製剤を増量することにより対処できることがありますが、症状がひどく改善しない場合はメトトレキサートの中止も検討されます 。
リウマトレックス間質性肺炎の早期発見方法
メトトレキサート間質性肺炎(MTX肺炎)は薬剤に対する過敏反応であり、約1%の頻度で発現する重篤な副作用です 。乾性咳嗽や呼吸困難感を訴え、比較的速い進行の呼吸器障害とCRP上昇を伴う間質性肺炎として現れます 。
参考)メトトレキサート|大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内…
発症は75%が服用開始半年以内とされていますが、数年から十数年を経てからの発症も見られ、投与量や投与期間は関係ないとされています 。典型的な症状として「38度以上の高熱」「咳や息苦しさが続く」ことが挙げられます 。
参考)メトトレキサート
画像所見では、HRCTにて広範なすりガラス様陰影が典型的であり、しばしば汎小葉性のモザイクパターンを示します 。血液検査では末梢血白血球増多や血清CRP値の増加、血清LDH、KL-6、SP-Dの上昇が見られ、亜急性発症のものでは50%に末梢血好酸球上昇を認めます 。
参考)メトトレキサート(Methotrexate : MTX)によ…
リウマトレックス肝機能障害の検査と対応
肝機能障害はメトトレキサートの最も頻度の高い副作用の一つで、発現頻度は5%以上とされています 。肝機能障害は自覚症状がないことが多いため、受診するたびに採血で肝機能を確認することが重要です 。
参考)メトトレキサート(リウマトレックスhref=”http://www2.med.teikyo-u.ac.jp/rheum/disease/mtx.html” target=”_blank” rel=”noopener”>http://www2.med.teikyo-u.ac.jp/rheum/disease/mtx.htmlamp;reg;)|帝京大学医学…
メトトレキサート投与中はAST、ALT、ALP、アルブミンなどを継続的にモニタリングし、肝炎ウイルスキャリア・既往感染のRA患者に対しては特別な対策が必要です 。HBVキャリアに対してはメトトレキサート投与を極力回避し、やむを得ず投与する場合は消化器内科専門医の管理のもと、抗ウイルス薬の予防投与を併用します 。
参考)https://www.ryumachi-jp.com/pdf/MTX2023_kannibann_final.pdf
関節リウマチ治療中で肝機能に異常が見られた場合、まず薬剤性肝障害を疑い、関節リウマチの状況を見て、メトトレキサートの減量または中止を検討します 。中止後関節リウマチが悪化した場合、肝機能が正常化していれば、少量から慎重に再開することも可能です 。
参考)肝障害|関節リウマチ
リウマトレックス骨髄抑制の予防と検査頻度
骨髄抑制による血球減少症は頻度5%未満とされていますが、白血球、赤血球、血小板の減少を引き起こし、重篤な場合は生命に関わることがあります 。血小板が高度に減少すると、皮膚に赤い斑点や紫斑が見られることがあります 。
骨髄抑制の監視には定期的な血液検査が不可欠で、特に腎機能低下は危険因子とされています 。メトトレキサート使用患者における骨髄形態異常の研究では、60歳以上の高齢者に多く見られ、女性の比率が圧倒的に高いことが報告されています 。
参考)メソトレキセート使用患者における骨髄形態異常の解析
感染症リスクの増加にも注意が必要で、メトトレキサート服用中に風邪や皮膚感染を起こした場合の対応について、患者への指導が重要です 。38℃以上の発熱、ひどい咳、呼吸困難、感染部位の拡大傾向がある場合は、その週の内服をスキップし、慎重な経過観察が必要です 。
参考)メトトレキサートの注意|大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・…
リウマトレックス葉酸併用による副作用軽減効果
葉酸製剤の併用は、メトトレキサートの副作用軽減において極めて重要な位置を占めています 。メトトレキサートは葉酸代謝拮抗阻害という特徴を持ち、葉酸の働きを阻害することで効果を発揮するため、口内炎、吐き気、下痢、肝機能異常などの副作用が生じます 。
参考)https://pharmacist.m3.com/column/special_feature/6492
葉酸製剤の併用により、消化器症状のリスクが77%減少(NNT:6)、肝障害のリスクが26%減少(NNT:11)、中断率が61%減少(NNT:7)することが6つのRCTのシステマティックレビューで確認されています 。重要なのは、適切なタイミングでの服用で、メトトレキサート最終服用の24-48時間後に葉酸を服用することが推奨されています 。
参考)https://chuo.kcho.jp/app/wp-content/uploads/2022/12/8b625ac67575bd8485682b0b17d0dc73.pdf
コクラン共同計画のレビューでは、葉酸またはフォリン酸の併用により、メトトレキサートによる悪心や腹痛などの副作用が改善し、肝機能検査や血液検査での異常値を呈する確率が低減することが示されています 。重要なことは、MTXと葉酸またはフォリン酸のいずれかの併用は、関節リウマチに対するMTXの治療効果に影響を及ぼさないことが確認されていることです 。
参考)関節リウマチ患者に対するメトトレキサートの副作用軽減のための…