淋菌感染症の症状|男性と女性の違い

淋菌感染症の症状

この記事のポイント
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男性の典型的症状

尿道から黄白色の膿が出る、激しい排尿痛、尿道のかゆみなど強い症状が2~7日の潜伏期間後に現れます

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女性は無症状が多い

感染しても症状が軽いか無症状のため気づきにくく、放置すると骨盤内炎症性疾患や不妊症のリスクが高まります

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早期治療が重要

咽頭や直腸、眼にも感染する可能性があり、注射や点滴による抗菌薬治療で完治可能です

淋菌感染症の潜伏期間と初期症状

淋菌感染症の潜伏期間は、感染後およそ2~7日程度とされています。クラミジア感染症が1~3週間の潜伏期間であるのと比較すると、淋菌感染症は感染してからすぐに症状が出るケースが多いのが特徴です。ただし、実際の潜伏期間には個人差による影響が大きいため、この期間内に症状が出なかったからといって感染していないとは言い切れません。

参考)淋病について解説


初期症状としては、男性では尿道の違和感やかゆみから始まり、その後排尿時の痛みや尿道からの膿の排出へと進行します。女性の場合は、おりものの増加や色の変化、下腹部の違和感などが見られることがありますが、多くの場合は無症状で経過するため注意が必要です。潜伏期間中であっても感染力があるため、パートナーへの感染リスクが存在します。

参考)淋病(淋菌感染症)の潜伏期間|男女それぞれの期間は?潜伏中も…

淋菌感染症の男性特有の症状と進行

男性が淋菌に感染すると、最も多いのは急性尿道炎です。感染後2~7日の潜伏期間を経て、尿道に違和感や痛み、かゆみが現れ、その後黄白色から黄緑色のドロドロとした膿が尿道から出てきます。排尿時には激しい痛みを感じることがあり、特に排尿のし始めに強い痛みを感じることが特徴的です。症状が強く出やすいため、クラミジアによる尿道炎と比べて感染に気づきやすい傾向があります。

参考)301 Moved Permanently


放置すると、尿道炎の症状が悪化して前立腺炎精巣上体炎を引き起こすことがあります。精巣上体炎は、精子の通り道となっている精巣上体に尿道から精管を通じて淋菌が逆流して炎症を起こす状態で、陰嚢の腫れや痛み、発熱などの症状が現れます。治療しないままにしていると、無精子症が引き起こされる恐れがあり、男性不妊症の原因となります。また、尿道が狭くなり排尿しづらくなるなどの後遺症が残ることもあります。

参考)淋病とは?感染経路・症状・治療法・予防法を解説 – 医療法人…

淋菌感染症の女性特有の症状とリスク

女性の淋菌感染症は、子宮頸管炎として発症することが一般的ですが、男性と比べて症状が軽かったり、感染しても何も症状がないことが多いのが大きな特徴です。症状が現れる場合は、おりものの量が増加する、緑黄色の濃い色のおりものが出る、おりものの匂いが強くなる、不正出血がある、下腹部に痛みを感じる、排尿時に痛みを感じるなどが見られます。しかし、これらの症状は他の婦人科疾患でも起こりうるため、自己判断は困難です。

参考)淋病(淋菌感染症)|新宿駅前婦人科クリニック|東京で即日検査


女性の場合、感染に気が付かないうちに子宮内膜や卵管などの骨盤内炎症性疾患(PID)を発症しているケースが10~20%に及びます。子宮頸管から上行感染を起こすと、発熱や腹痛、性交痛などの症状を認めることがあります。骨盤内炎症性疾患が進行すると、卵管炎、骨盤性腹膜炎、骨盤内膿瘍などを引き起こし、卵管閉塞や卵管水腫により不妊症や子宮外妊娠のリスクが著しく上昇します。淋菌感染症は強い炎症と組織破壊を引き起こしやすく、短期間で生殖機能に影響を及ぼす特徴があります。

参考)淋病とは?主な症状と治療方法について

淋菌感染症の性器以外の症状

淋菌は性器だけでなく、咽頭、直腸、眼にも感染する可能性があります。近年は性行動の多様化によって、咽頭への淋菌感染が増加傾向にあります。咽頭淋菌感染症では、喉の痛みや違和感など風邪に似た症状が出ることがありますが、無症状のこともあります。性器への淋菌の感染が確認された方は、咽頭にも同時に感染している可能性が高いため、両方の検査が推奨されます。

参考)淋病について


直腸への感染は、アナルセックスなどが原因で起こり、肛門のかゆみや下痢、血便などの症状が現れることがありますが、多くの場合は無症状です。眼への感染は比較的まれですが、充血や黄色い目やになどの結膜炎症状が現れることがあります。眼への感染は、まれに眼球炎や失明などの重篤な合併症リスクがあるため、性器に触れた手で眼を触る行為は控える必要があります。また、少数の患者では、感染が血流に乗って体の他の部分、特に皮膚や関節に広がることがあり、全身症状として発熱や関節の痛み、腫れなどが確認されています。

参考)淋菌感染症 – 16. 感染症 – MSDマニュアル家庭版

淋菌感染症の検査と治療法

淋菌感染症の検査には、リアルタイムPCR法による精密検査と、グラム染色法やイムノクロマト法による即日検査があります。性器の検査では、男性は尿を採取し、女性は腟や子宮の入り口のおりものを採取して検査します。咽頭の検査は、10~20秒ほどガラガラうがいをして、そのうがい液を検体として提出します。感染機会から24時間以上経過していれば検査が可能で、即日検査の場合は30分~1時間で結果が判明します。

参考)淋病 について|症状・検査・治療など| 吉祥寺まいにちクリニ…


治療は、注射または点滴による抗菌薬投与が原則です。淋菌は薬剤耐性を獲得しやすい特性があるため、経口薬ではなく注射や点滴での治療が推奨されています。治療後は必ず再検査を行い、治療効果を判定することが重要です。症状がなくなっても菌が残っている可能性があるため、医師の指示に従って確実に治療を完了させる必要があります。パートナーも同時に検査・治療を受けることで、お互いの感染のやり取り(ピンポン感染)を防ぐことができます。

参考)淋菌の検査・治療 | 性感染症内科クリニック【プライベートケ…


<参考リンク>

淋菌感染症の詳細な症状と治療法について、MSDマニュアル家庭版で詳しく解説されています。

淋菌感染症 – MSDマニュアル家庭版

東京都性感染症ナビで、淋菌感染症の予防法と感染経路について分かりやすく説明されています。

淋菌感染症|東京都性感染症ナビ