淋病の症状を男性で解説

淋病の症状と男性の特徴

淋病感染時の男性の主な症状
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尿道から黄白色の膿

感染後2〜7日で尿道口から濃い黄白色の膿が多量に出現し、下着を汚すほどの量になることもあります

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強い排尿痛

排尿時に焼けるような激しい痛みが走り、排尿をためらうほどの症状が現れます

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無症状のケースも

近年は特徴的な症状が出ない場合も増えており、無症状で感染しているケースも珍しくありません

淋病による男性の尿道炎の特徴

淋病に感染した男性の多くは淋菌性尿道炎を発症します。淋菌が尿道の粘膜に感染することで、2〜9日の潜伏期間を経て特徴的な症状が現れるんです。

参考)淋菌感染症の症状、感染経路、潜伏期間、検査、治療、予防につい…


感染初期には尿道口からの分泌物が少量で透明に近いこともありますが、数日経過すると黄白色の膿に変化し、量も増えてきます。この膿は粘り気が強く、下着に付着して気づくケースが多いです。クラミジア性尿道炎の分泌物が色が薄いのに対し、淋菌性尿道炎では濃い黄白色をしているという違いがあります。

参考)男性の淋菌性尿道炎


排尿時の痛みは「しみるような」「焼けるような」と表現される灼熱感を伴う強い痛みで、排尿の開始時や終了時に特に強く感じられます。痛みの程度には個人差がありますが、排尿をためらうほどの強い痛みを伴うケースも報告されています。

参考)淋病の男性の症状は?尿道からの膿、排尿痛など具体的なサインを…


ただし、近年では特徴的な膿症状が出ない場合も多く、無症状で感染しているケースも珍しくありません。

参考)淋菌感染症|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト

淋病の潜伏期間と症状出現のタイミング

淋病の潜伏期間は2〜9日とされており、感染してもすぐには症状が出ません。この期間中に性行為をするとパートナーに感染させてしまう恐れがあるため、注意が必要です。​
男性の淋菌性尿道炎では、性行為から2〜7日の潜伏期間を経て、強い排尿時痛とともに大量の膿を尿道口から排泄します。一般的に淋菌性尿道炎は、感染の原因となる性行為から症状が出るまでの期間が数日間と短く、排尿痛が強めで膿の量も多く黄色っぽい色をしていることが多いです。

参考)淋病 (りんびょう)とは


潜伏期間中であっても、感染機会から24時間以上経過していれば検査が可能です。症状が出ていない潜伏期間でも治療することができるため、感染の可能性がある場合は早期に検査を受けることが推奨されます。

参考)【医師監修】淋病の潜伏期間とは?注意すべき点と無症状との違い…

淋病による精巣上体炎と不妊症のリスク

淋菌性尿道炎を治療せずに放置すると、淋菌が精管をさかのぼって精巣上体に炎症を起こす精巣上体炎を発症する可能性があります。精巣上体は大きく腫れ、痛みが強く、高熱を発することもあります。

参考)男性尿道炎(淋菌、クラミジア)|横浜青葉ゆうクリニック|あざ…


精巣上体炎が進行すると、精巣上体は精巣よりも大きく膨張し、精巣との境界が不明となります。患部に強い圧痛を伴い、このような状態になると精子の通り道が閉塞してしまうんです。​
両側の精巣上体に炎症が起きると、治っても精路が塞がってしまい、閉塞性無精子症となり男性不妊症の原因となります。淋菌感染症は男性不妊症につながる重大な合併症のリスクがあるため、早期発見・早期治療が極めて重要です。

参考)男性不妊症の診断と症例


性感染症が女性の男性不妊症と性感染症の関係 | 男性不妊・メンズヘルス診療 …

淋病の咽頭感染と特徴的な症状

近年は性行動の多様化によって、淋病の咽頭への感染が増加傾向にあります。咽頭淋病に感染すると、喉の痛みや違和感など、風邪に似た症状が出ることがあります。

参考)淋病について解説


特に性器への淋病の感染が確認された方は、咽頭にも感染している可能性が高くなるため注意が必要です。咽頭や直腸の感染では症状が自覚されないことが多く、これらの部位も感染源となります。​
咽頭淋病の検査には、PCR検査(核酸増幅法)が用いられ、コップに入った生理食塩水を口に含んでガラガラとうがいをして検査します。感染機会から24時間以上経過していれば検査を受けることができます。

参考)咽頭淋病(淋菌)とは?症状・潜伏期間・検査・治療など


咽頭淋病の治療には、主に抗生物質の点滴が用いられます。スペクチノマイシンは咽頭への移行が悪いため、咽頭の感染が疑われる場合にはセフトリアキソンが選択されます。​

淋病の診断と検査方法の実際

淋病の診断には複数の検査方法があり、それぞれに特徴があります。当院では検出感度が高いPCR法を取り入れており、男性の場合は尿から、女性の場合は膣からの拭い検査を行います。

参考)淋病の検査方法について|男女別 症状別の検査・治療方法を紹介…

検査方法には以下のような種類があります。

検査方法 特徴 結果判明時期
Taqman PCR法 淋菌のDNAを増幅して迅速に検出 2〜4日
TMA法 RNAを標的とし高感度な検出を実現 即日〜翌日
Real time PCR法 淋菌の量まで測定可能 最短90分
イムノクロマト法 即日簡易検査だが精度が低い 30分〜1時間

参考)淋菌の検査について‐検査の方法・時期・費用、治療方法 – 横…


遺伝子検査(PCR検査)は感度・精度が非常に高く、無症状でも検出可能で再現性が高いという特徴があります。抗原検査は精度が低く、偽陰性のリスクがあるため、正確な診断を要する場合は遺伝子検査が推奨されます。​
検査結果が出るまでの時間は検査方法によって異なりますが、最短で即日、遅くとも1週間以内であることが多いです。感染機会から24時間以上経過していれば検査可能です。​

淋病の治療法と薬剤耐性の問題

淋病の治療は抗生物質のセフトリアキソンまたはスペクチノマイシン(トロビシン)を使用します。セフトリアキソンは点滴で1回のみ、スペクチノマイシンは臀部への筋肉注射で1回のみの治療で終了し、淋菌性尿道炎に対してはほぼ100%の治療効果が得られます。​
ただし、近年、淋菌の抗菌薬耐性化は顕著であり、多剤耐性化が進んでいます。かつて使用されていたペニシリンG、テトラサイクリンニューキノロン系の薬剤は、耐性菌の出現により使用できなくなっています。

参考)https://www.iph.pref.osaka.jp/infection/setsumei/go40_04.htm


現在、保険適応を有し確実に有効な薬剤は、セフトリアキソン、セフォジジム、スペクチノマイシンの3剤のみです。これらの薬剤は淋菌性尿道炎や子宮頸管炎には単回投与で有効ですが、咽頭感染にはセフトリアキソンの単回投与が勧められます。​
日本では欧米で行われているセフトリアキソン250mg筋注が認められず、1g点滴が行われてきました。これが功を奏しており、現在のセフトリアキソン耐性淋菌も1gでは治療可能とされています。

参考)治療薬が効きにくくなり、将来治癒不可能になるかもしれない淋菌…

淋病の予防とパートナー治療の重要性

淋病予防の最も効果的な方法はコンドームの使用です。コンドームを使用することで淋病だけではなくHIV等の感染予防効果も期待できます。

参考)淋病 – 銀座まいにちクリニック 内科・皮膚科・泌尿器科


また、不特定多数との性行為を控えることも淋病予防の一環です。淋菌は非常に弱い菌なので、性行為以外で感染することはまずありません。しかし、感染伝達率は高く、1回の性行為で30%程度感染すると考えられています。​
淋病で多々みられるのがピンポン感染です。本人が治療で完治したとしても、パートナーは淋病に感染しているが無自覚なので性行為にて再び感染させてしまいます。​
パートナーがいる場合、淋病の治療をパートナーと共に受けることが重要です。本人が治療をしてもパートナーが感染していた場合、パートナーの治療を行わないと再度感染してしまうため、淋菌の診断が出た場合にはパートナーの検査を行う必要があります。​
淋菌感染症は何度も再感染することがあるため、パートナー治療と予防が感染拡大防止の鍵となります。​
<参考リンク>

淋菌感染症の臨床症状と疫学について詳しく知りたい方は以下をご参照ください。

国立感染症研究所 – 淋菌感染症

淋病の検査・治療に関する最新情報はこちらが参考になります。

済生会 – 淋病(りんびょう)とは

淋菌の薬剤耐性に関する詳細情報はこちらをご覧ください。

大阪府立公衆衛生研究所 – 淋菌の抗菌薬耐性化について