リバスタッチパッチの効果と副作用

リバスタッチパッチの効果と副作用

リバスタッチパッチの主な効果
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脳内アセチルコリン増加

神経伝達物質アセチルコリンの分解を抑制し脳内濃度を上昇させる

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症状進行抑制

軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の進行を遅らせる

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服薬管理の簡便性

1日1回貼付するだけで24時間継続的に薬物が吸収される

リバスタッチパッチの作用機序と効果

リバスタッチパッチは、アルツハイマー型認知症の治療に使用される経皮吸収型製剤で、有効成分リバスチグミンが脳内のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)とブチリルコリンエステラーゼ(BChE)の両方を阻害します。この二重の阻害作用により、脳内のアセチルコリン量を増加させ、認知機能の改善を図ります。
参考)リバスタッチパッチ・イクセロンパッチとは
アルツハイマー型認知症では、記憶や学習に重要な神経伝達物質であるアセチルコリンが脳内で減少することが知られています。リバスチグミンは標的酵素の活性部位のセリン残基をカルバミル化することで酵素活性を阻害し、中枢移行性も高く、脳移行率は約70%に達します。
効能・効果として、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制が承認されており、症状を完治させるものではありませんが、病気の進行を遅らせる効果が期待されています。
参考)リバスチグミン(イクセロンパッチ・リバスタッチ)の効果と副作…

リバスタッチパッチの副作用と皮膚症状

リバスタッチパッチの最も頻度の高い副作用は、貼付部位の皮膚症状です。主な皮膚関連副作用として、適用部位紅斑39.4%、適用部位そう痒感34.8%、接触性皮膚炎23.7%、適用部位浮腫10.8%が報告されています。
参考)https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/180188_1190700S1037_1_00G.pdf
これらの皮膚症状は、リバスチグミンの薬理作用により局所のアセチルコリンが増加し、血管が拡張するために発生すると考えられています。基剤の改良が行われても一定の皮膚障害は発現し、投与初期から皮膚障害が現れやすく、9mg増量時までの皮膚障害発現率は71.4%に達します。
参考)https://dementia-japan.org/wp-content/uploads/2023/11/p152-158.pdf
皮膚症状の対策として、ステロイド軟膏や抗ヒスタミン外用剤の使用が推奨されており、ステロイドローション塗布後に保湿剤を上塗りするステロイド・保湿剤併用療法が有効であることが報告されています。貼付箇所を毎回変更することで皮膚症状を軽減できます。
参考)リバスチグミンパッチの皮膚障害に対して薬局薬剤師が処方提案し…

リバスタッチパッチの適切な貼り方と管理法

リバスタッチパッチは1日1回、24時間ごとに貼り替える経皮吸収型製剤です。貼付部位は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚を選択し、清潔で乾燥した体毛の少ない場所に貼付します。
参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/drugdetails.aspx?code=59690
用法・用量は通常、成人には4.5mgから開始し、原則として4週間ごとに4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付します。2015年からは9mgから開始し、4週間後に18mgにする1ステップ漸増法も認められており、速やかに有効用量まで到達できるようになりました。
参考)リバスチグミンテープ9mg「YP」の効能・副作用|ケアネット…
貼付の際は、皮膚の損傷や湿疹、皮膚炎等がみられる箇所は避け、貼付箇所の皮膚を清潔にしてから貼付することが重要です。毎日同じ時間に貼り替えることで治療効果が得られ、貼り忘れや重複貼付を避けることが必要です。
参考)https://www.hisamitsu-pharm.jp/medicalsupport/guidance/rivastigminet/sizai05.pdf

リバスタッチパッチの重大な副作用と注意事項

リバスタッチパッチには皮膚症状以外にも重大な副作用があり、狭心症心筋梗塞、徐脈などの循環器系副作用が報告されています。これらの症状として、しめつけられるような胸の痛み、息苦しさ、冷汗、めまい、立ちくらみ、脈がとぶなどが挙げられます。
消化器系の副作用として悪心6.6%、嘔吐5.9%が報告されており、精神神経系では失神、幻覚、激越、せん妄、錯乱などが発現する可能性があります。脱水症状も重要な副作用であり、喉の渇き、体重減少、立ちくらみ、めまい、疲れやすさなどの症状に注意が必要です。
また、薬物使用開始時や増量時にめまいや眠気が現れることがあるため、自動車の運転など危険を伴う機械の操作は避けることが推奨されます。これらの副作用は、リバスチグミンのコリン作動性作用による神経伝達物質の変化に体が慣れるまでの過程で発現すると考えられています。

リバスタッチパッチの臨床効果と継続使用における独自視点

興味深いことに、リバスチグミンはアセチルコリンエステラーゼだけでなくブチリルコリンエステラーゼも阻害する特徴があり、この二重の阻害作用が他のコリンエステラーゼ阻害薬との差別化要因となっています。ブチリルコリンエステラーゼの脳内での役割は完全には解明されていませんが、この独特な作用機序により、他の薬剤で効果が見られない場合や副作用で使用困難な場合の代替選択肢として重要な位置づけを持っています。
経皮吸収型製剤としての利点は、血中濃度が安定することで嘔気、嘔吐、下痢などの副作用が軽減され、効果も安定することです。また、薬物投与の有無が視認できるため、服薬管理が困難な認知症患者においても確実な薬物療法が実施可能です。
臨床試験では、1ステップ漸増法(9mgから18mgへ)と3ステップ漸増法(4.5mgから段階的に18mgへ)で有害事象による中止率に有意差がなく、両方の増量方法が安全性の観点から妥当であることが確認されています。これにより患者の状態に応じた柔軟な用量調整が可能になり、より個別化された治療戦略の構築が期待されています。
参考)https://med.daiichisankyo-ep.co.jp/products/files/1268/%E3%83%AA%E3%83%90%E3%82%B9%E3%83%81%E3%82%B0%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%97%E3%80%8CDSEP%E3%80%8DIF(%E7%AC%AC5(2)%E7%89%88).pdf
リバスチグミンの詳細な薬理作用機序について解説した学術論文
リバスタッチパッチの用法・用量変更に関する公式資料