レイアタッツ カプセル 150mgの効果
レイアタッツの作用機序とプロテアーゼ阻害効果
レイアタッツ カプセル 150mgの主成分であるアタザナビル硫酸塩は、HIV-1プロテアーゼ阻害剤として作用します 。HIVの機能タンパクは、複合タンパクとして産生された後、HIV自身のプロテアーゼによって特定の部位で切断されることで初めて機能を発揮します 。アタザナビルはプロテアーゼの酵素活性部位に結合し、その活性を阻害することで、ウイルスが完成型となることを阻止し、感染力を失わせます 。
参考)レイアタッツ®/ATV
この作用機序により、HIV複製サイクルの最終段階である成熟過程が阻害され、新たな感染性ウイルス粒子の産生が抑制されます 。プロテアーゼ阻害剤は、新しく作り出されたウイルスの中でプロテアーゼがタンパク質を活性化する働きを阻害し、HIVの成熟を阻止して新しい細胞への感染を防ぎます 。
参考)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の抗レトロウイルス薬によ…
レイアタッツの用法用量と服薬タイミング
レイアタッツ カプセル 150mgは、アタザナビルとして150mg/カプセルを含有しており、必ず食事中または食直後に経口投与する必要があります 。抗HIV薬による治療経験のない患者では、通常アタザナビル300mgとリトナビル100mgを1日1回併用投与するか、アタザナビル400mgを1日1回投与します 。治療経験のある患者では、アタザナビル300mgとリトナビル100mgを1日1回併用投与が基本となります 。
参考)http://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=6250023M1026
食事摂取のタイミングが重要で、空腹時投与では薬物の吸収が低下するため、必ず食事中または食直後の服薬が推奨されています 。また、投与に際しては必ず他の抗HIV薬との併用が必要であり、単剤での使用は認められていません 。
参考)レイアタッツカプセル150mgの基本情報・添付文書情報 – …
レイアタッツの代表的な副作用とビリルビン上昇
レイアタッツ カプセル 150mgの最も特徴的な副作用は高ビリルビン血症です 。臨床試験では総ビリルビン上昇が37%の患者で認められており 、これはアタザナビルがUGT1A1酵素を阻害することによるものです 。この副作用により皮膚や白目が黄色くなる黄疸症状が4%の患者で観察されています 。
参考)https://www.pmda.go.jp/drugs_reexam/2018/P20180228005/67605000_21500AMY00158_A100_1.pdf
その他の主要な副作用として、アミラーゼ上昇(12%)、CK(CPK)上昇(7%)、吐き気(6%)、好中球減少(5%)、ALT(GPT)上昇(5%)が報告されています 。長期投与における副作用発現割合は53.0%で、主な副作用は高ビリルビン血症、血中ビリルビン増加、高トリグリセリド血症等でした 。重篤な副作用の発現割合は4.3%であり、血中ビリルビン増加や下痢等が主な内訳となっています 。
レイアタッツの薬物相互作用と併用注意
レイアタッツは肝代謝酵素CYP3A4により代謝されるため、多くの薬剤との相互作用が問題となります 。特に胃薬(プロトンポンプ阻害剤、H2ブロッカー、制酸剤)との併用では、胃内pH上昇によりアタザナビルの溶解性が低下し、血中濃度が低下する可能性があります 。
PIの多くは肝臓や小腸粘膜のCYP3A4などの代謝酵素活性を抑制し、他の薬剤の血中濃度に大きな影響を及ぼします 。そのため、アタザナビルを含むARTを行う際には、患者が服用しているすべての薬剤(健康食品含む)を把握し、相互作用を確認することが重要です 。リトナビルやコビシスタットは薬物動態学的増強因子として使用され、併用するPIの代謝を阻害することで血中濃度を高く維持します 。
レイアタッツ投与時の特殊な注意点と絶食の影響
興味深いことに、アタザナビル投与中の患者において絶食状態ではビリルビン血清濃度がさらに上昇することが報告されています 。これは、絶食により肝代謝機能が変化し、アタザナビルによるビリルビン代謝阻害がより顕著に現れるためと考えられています 。このため、規則正しい食事摂取が副作用管理の観点からも重要となります。
参考)短報: アタザナビル投与下の患者において絶食によりビリルビン…
また、レイアタッツ カプセルは硬カプセル剤で、劇薬・処方箋医薬品の規制区分にあり 、150mg製剤は青色と淡青色のカプセルで識別されています 。薬価は150mg 1カプセルあたり384.90円(2023年4月現在)で、1日300mg処方の場合30日間で23,094円となります 。適切な保管方法として室温保存が推奨されており、服薬指導時にはこれらの点も含めて患者に説明することが重要です 。