raas阻害薬の一覧
raas阻害薬の一覧
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raas阻害薬の基礎知識
raas(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン)系は、血圧や体液量の調節に関与する重要な生理機構です。阻害薬は、この系を構成する酵素や受容体を標的にし、特定の機能を抑制することで高血圧や腎障害などの疾患治療に使われます。主要な薬剤グループはACE阻害薬、ARB、直接的レニン阻害薬(DRI)、アルドステロン受容体拮抗薬(MRA)が挙げられます。
具体的な代表薬剤は以下の通り。
- ACE阻害薬:エナラプリル(レニベース)、イミダプリル(タナトリル)、デラプリル(アデカット)、リシノプリル(ゼストリル、ロンゲス)など
- ARB:ロサルタン(ニューロタン)、バルサルタン(ディオバン)、カンデサルタン(ブロプレス)、テルミサルタン(ミカルディス)、イルベサルタン(アバプロ、イルベタン)、オルメサルタン(オルメテック)、アジルサルタン(アジルバ)
- DRI:アリスキレン
- MRA:スピロノラクトン、エプレレノン
商品名や最大用量一覧は
で確認できます。
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raas阻害薬の種類と作用機序
raas阻害薬は、阻害ポイントによって作用機序が異なります。
- ACE阻害薬:AngiotensinⅠをⅡへ変換する酵素(ACE)を阻害し、アンジオテンシンⅡの産生を抑えます。
- ARB:アンジオテンシンⅡ受容体(AT1)での作用を遮断し、血管収縮やアルドステロン分泌を抑制。
- DRI:レニン自体を阻害し、raas生成の最上流をブロック。
- MRA:アルドステロン受容体拮抗により、Na再吸収やK排泄抑制、心腎保護効果を発揮します。
作用点の違いによって副作用や臓器保護効果が変わるため、患者に適した薬剤選択が重要です。今後、ヒトレニンを標的としたアリスキレンなどDRIに期待が集まっています。アリスキレンの詳細
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raas阻害薬の一覧データと効果比較
種類ごとの代表薬剤の一覧まとめ
グループ | 主な薬剤 | 特徴・違い |
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ACE阻害薬 | エナラプリル、イミダプリル、リシノプリル | 安価、臨床実績豊富、副作用(空咳)があるが誤嚥性肺炎予防にも使われる |
ARB | ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン | 副作用が少ないが、高価。カンデサルタン>イルベサルタン>バルサルタン>ロサルタンの順で降圧効果が高いとされる |
DRI | アリスキレン | 新しい薬剤。直接レニンを阻害し持続的な臓器保護。 |
MRA | スピロノラクトン、エプレレノン | 心不全や腎疾患で使う。高カリウム血症に注意。 |
ARB配合剤や最大用量の違いは、日本と海外で大きな開きがあり、臨床での用量設定にも注意が必要です。詳細は
最大用量と多剤併用の解説(DM-RG)
参照。
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raas阻害薬の一覧と副作用・臓器保護
raas阻害薬の最大のメリットは心血管疾患や腎疾患の進展抑制ですが、副作用にも注意が必要です。
- ACE阻害薬:空咳・高カリウム血症(ただし誤嚥性肺炎予防にも活用)
- ARB:副作用が少ないが、まれに高カリウム血症
- MRA:高カリウム血症、女性乳房痛(スピロノラクトン)
- DRI:今後の長期安全性に注目です
近年は腎・心血管イベント抑制目的でSGLT2阻害薬や非ステロイド型MRA、GLP-1受容体作動薬との併用も推奨されつつあります。
副作用対策の臨床情報は
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