プロパフェノン 投与方法と禁忌、副作用の重要ポイント

プロパフェノン 投与方法と禁忌、副作用

プロパフェノン塩酸塩の基本情報
💊

分類

クラスIc群抗不整脈薬

🎯

適応

他の抗不整脈薬が使用できないか無効の頻脈性不整脈

⚠️

注意点

心機能抑制作用があり、慎重な投与と定期的なモニタリングが必要

プロパフェノン 投与方法の基本と用量調節のポイント

プロパフェノン塩酸塩(商品名:プロノン錠など)は、頻脈性不整脈治療に用いられるクラスIc群の抗不整脈薬です。標準的な投与方法は以下の通りです。

  • 標準投与量:成人には1回150mgを1日3回経口投与(1日総量450mg)
  • 投与タイミング:食後に服用することが一般的
  • 用量調節:年齢や症状により適宜増減

特に注目すべき点として、プロノン錠100mgは高齢者等への初期用量や用量調節用として使用されます。高齢者では、肝・腎機能の低下や体重が少ない傾向があるため、副作用が発現しやすくなります。また、加齢とともに徐脈や刺激伝導系の障害を来しやすくなるため、投与量に十分な注意が必要です。

腎機能障害患者への投与については、血中濃度上昇のおそれがあるため、少量から慎重に投与を開始します。透析患者に対しては、一部の報告では減量の必要はないとされていますが、吸収率の変動や線形動態、活性代謝物の5-OH体の薬物動態に注意し、300mg/日で開始するという見解もあります。

プロパフェノンは肝臓でCYP2D6により代謝され、5-ヒドロキシプロパフェノン(5-OH体)という活性代謝物を生成します。この代謝物もプロパフェノンと同等の抗不整脈活性を持っていますが、血中濃度はプロパフェノンの20%以下とされています。

プロパフェノン 禁忌となる患者と併用禁忌薬

プロパフェノン塩酸塩は、以下の患者には投与が禁忌とされています。

  1. うっ血性心不全のある患者
    • 理由:本剤は心機能抑制作用があるため、心不全を悪化させる可能性がある
  2. 高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者
    • 理由:刺激伝導障害を悪化させ、完全房室ブロックや高度の徐脈に陥る可能性がある

また、以下の薬剤との併用も禁忌とされています。

併用禁忌薬 理由
リトナビル(ノービア) 本剤の血中濃度が大幅に上昇し、不整脈、血液障害、痙攣等の重篤な副作用を起こすおそれ
ミラベグロン(ベタニス) QT延長、心室性不整脈(torsades de pointesを含む)等を起こすおそれ
テラプレビル(テラビック) 重篤な又は生命に危険を及ぼすような事象が起こるおそれ
アスナプレビル(スンベプラ) 本剤の血中濃度が上昇し、不整脈が起こるおそれ

これらの薬剤はいずれもチトクロームP450(特にCYP2D6)に対する阻害作用により、プロパフェノンの代謝を阻害し血中濃度を上昇させるリスクがあります。また、ミラベグロンのように催不整脈作用を持つ薬剤との併用は、相加的なQT延長のリスクを高めます。

プロパフェノン 副作用の種類と対処法

プロパフェノン塩酸塩の副作用は多岐にわたりますが、特に注意すべき重大な副作用として以下が報告されています。

【重大な副作用】

  1. 心血管系の副作用
    • 心室頻拍(torsades de pointesを含む)
    • 心室細動
    • 洞房ブロック
    • 房室ブロック
    • 失神
    • 洞停止(1%未満)
    • 徐脈(1%未満)
  2. 肝機能障害関連

これらの重大な副作用の主な自覚症状は以下の通りです:

  • 心室頻拍:めまい、動悸、胸の不快感、意識消失
  • トルサード ド ポアント:めまい、動悸、意識消失
  • 心室細動:意識消失
  • 洞停止/洞房ブロック/房室ブロック:めまい、意識消失、立ちくらみ、脈が遅くなる、息切れ
  • 徐脈:めまい、立ちくらみ、息切れ、脈が遅くなる、脈がとぶ、意識消失
  • 肝機能障害:疲れやすい、だるさ、力が入らない、吐き気、食欲不振
  • 黄疸:白目や皮膚の黄染、尿の色が濃くなる、かゆみ

その他の副作用として、以下のような症状が報告されています:

  • 精神神経系:めまい・ふらつき、頭痛・頭重など
  • 消化器:嘔気・嘔吐、食欲不振、腹痛、軟便・下痢、便秘、腹部膨満感など
  • 過敏症:発疹、そう痒など
  • その他倦怠感、浮腫、味覚倒錯、中性脂肪の上昇、尿酸の上昇、ほてり、筋肉痛

これらの副作用が現れた場合の対処法としては、症状の程度に応じて減量や投与中止を検討します。特に肝機能検査値に異常がみられた場合には減量または中止し、過敏症状が現れた場合には投与を中止することが推奨されています。

プロパフェノン 慎重投与が必要な患者の特徴

プロパフェノン塩酸塩は、以下の患者には慎重に投与する必要があります。

  1. 基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者
    • 理由:心不全、心室頻拍等が出現するおそれがある
  2. 刺激伝導障害(房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等)のある患者
    • 理由:これらの障害をさらに悪化させるおそれがある
  3. 著明な洞性徐脈のある患者
    • 理由:より強い徐脈状態となるおそれがある
  4. 肝機能障害のある患者
    • 理由:血中濃度が上昇するおそれがある
  5. 高齢者
    • 理由:肝・腎機能の低下、体重減少傾向、加齢に伴う徐脈や刺激伝導系障害のリスク増加

これらの患者に投与する際は、少量から開始するなど投与量に十分な注意を払い、頻回に患者の状態を観察することが重要です。特に心電図、脈拍、血圧、心胸比などを定期的に調べ、PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量または投与を中止する必要があります。

また、プロパフェノンは自動車の運転など危険を伴う機械の操作に影響を与える可能性があるため、めまいなどの副作用が現れることがある点についても患者に注意喚起することが重要です。

プロパフェノン 特殊な状況下での投与方法と注意点

プロパフェノン塩酸塩の特殊な状況下での投与については、以下のような注意点があります。

【妊婦・授乳婦への投与】

  • 妊婦または妊娠している可能性のある婦人:治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する
  • 理由:妊娠中の投与に関する安全性は確立していない
  • 授乳婦:投与中は授乳を避けさせる
  • 理由:動物実験で母乳中へ移行することが報告されている

【小児への投与】

低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児に対する安全性は確立していないため、慎重な判断が必要です。

【透析患者への投与】

透析患者では血中濃度上昇のおそれがあるため、少量から慎重に投与を開始します。一部の報告では減量の必要はないとされていますが、個々の患者の状態に応じた判断が必要です。

【薬物相互作用に関する注意点】

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)を含む食品はプロパフェノンに影響を与える可能性があるため、摂取を控えるよう患者に指導することが重要です。

また、プロパフェノンは健康成人に150mgを経口投与した場合、投与後48時間の尿中に未変化体が投与量の0.1%程度しか排泄されないという特徴があります。主に肝臓で代謝されるため、肝機能障害患者では血中濃度が上昇するリスクが高まります。

臨床試験では、心室性期外収縮の患者を対象にプロパフェノン塩酸塩450mg/日(分3)を投与した結果、期外収縮改善度において74%(50/68例)で改善が認められています。また、上室性期外収縮の患者においても69%(22/32例)の改善率が報告されており、有効性が確認されています。

医療従事者は、プロパフェノン投与中の患者に対して、他の医師を受診する場合や薬局で他の薬を購入する場合には、必ずプロパフェノンを服用していることを医師または薬剤師に伝えるよう指導することが重要です。これにより、潜在的な薬物相互作用のリスクを最小限に抑えることができます。

プロパフェノン塩酸塩の製剤には、プロノン錠やプロパフェノン塩酸塩錠「オーハラ」などがあり、100mgと150mgの規格が存在します。識別コードや外観(白色の円形フィルムコーティング錠)を確認することで、誤投与を防ぐことができます。

以上のように、プロパフェノン塩酸塩は効果的な抗不整脈薬である一方で、様々な注意点や禁忌事項があります。医療従事者は、個々の患者の状態を十分に評価し、適切な投与量の調整と副作用のモニタリングを行うことが重要です。