プレポダインとは外用殺菌消毒剤の特徴

プレポダインとは外用殺菌消毒剤

プレポダインの基本情報
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ヨードホール製剤

ヨウ素を主成分とする外用殺菌消毒剤で、広範囲の微生物に有効

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医療現場での使用

手術部位の皮膚・粘膜消毒、手指消毒に幅広く使用

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低刺激性設計

ポロクサマーを使用することで皮膚刺激を軽減

プレポダインの基本特性と成分

プレポダインは、米国West Design Chemical社によって開発されたヨードホール製剤で、日本では丸石製薬が製造販売している外用殺菌消毒剤です。有効成分はヨウ素で、薬効分類番号は2612の外用殺菌消毒剤に分類されています。
この製剤の大きな特徴は、carrierとして毒性と皮膚刺激性の低いポロクサマー(非イオン性界面活性剤:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)を使用していることです。これにより、従来のヨウ素系消毒薬と比較して皮膚への刺激を大幅に軽減することが可能となっています。

プレポダインには主に3つの製剤があります。

  • プレポダインソリューション1%:手術部位の皮膚・粘膜の消毒用
  • プレポダインスクラブ0.75%:手術部位の皮膚・粘膜の消毒、手指の消毒用
  • プレポダインフィールド1%:手術部位(手術野)の皮膚の消毒専用

プレポダインの作用機序と薬理効果

プレポダインの殺菌作用は、ヨウ素がアミノ酸やヌクレオチドに対して酸化作用を示すことによって発現します。この酸化作用により、細菌の細胞壁や細胞膜、酵素系を破壊し、広範囲の微生物に対して殺菌効果を発揮します。

参考)プレポダインフィールド1%の添付文書 – 医薬情報QLife…

In vitro試験では、以下の微生物に対して優れた殺菌効果が確認されています:

細菌類

  • 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus):30-60秒以内
  • 大腸菌(Escherichia coli):30秒以内
  • 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa):30秒以内
  • 肺炎桿菌(Streptococcus pneumoniae):30-60秒以内

真菌類

  • カンジダ・アルビカンス(Candida albicans):60秒以内

臨床試験では、手術部位での消毒における減菌率が94.15~96.3%という高い効果が確認されており、手指消毒においてもGlove juice法による試験で約90%の減菌率が得られています。

参考)http://image.packageinsert.jp/pdf.php?mode=1amp;yjcode=2612706Q1032

プレポダインの適応症と使用方法

プレポダインの主な適応症は以下の通りです:

プレポダインソリューション1%の適応

  • 手術部位(手術野)の皮膚の消毒
  • 手術部位(手術野)の粘膜の消毒
  • 皮膚・粘膜の創傷部位の消毒
  • 熱傷皮膚面の消毒

プレポダインスクラブ0.75%の適応

  • 手術部位(手術野)の皮膚の消毒
  • 手術部位(手術野)の粘膜の消毒
  • 手指・皮膚の消毒

使用方法は製剤によって異なります。ソリューションタイプは患部に直接塗布し、スクラブタイプは適量を手掌にとって摩擦洗浄した後、滅菌ガーゼで拭き取ります。フィールドタイプは損傷皮膚及び粘膜には使用せず、手術部位の皮膚にのみ塗布します。

プレポダインの副作用と注意事項

プレポダインの使用に際しては、いくつかの副作用と注意事項があります。主な副作用として以下が報告されています:

参考)くすりのしおり : 患者向け情報

皮膚系副作用

重大な副作用

甲状腺への影響

ヨウ素含有製剤のため、血中甲状腺ホルモン値(T3、T4値等)の上昇あるいは低下などの甲状腺機能異常が起こる可能性があります。

使用上の注意

  • 損傷皮膚及び粘膜への使用は避ける(フィールドタイプの場合)
  • 過敏症の既往歴がある患者には慎重に使用する
  • 妊婦・授乳婦への使用は治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ

プレポダインの特殊な活用と他の消毒剤との比較

プレポダインは他のヨウ素系消毒剤と比較していくつかの優位性があります。ポビドンヨードスクラブとの比較試験では、同等の消毒効果を示しながら、より低い刺激性を実現しています。
近年の研究では、ヨウ素系消毒剤が新型コロナウイルスを含む様々なウイルスに対して有効性を示すことが報告されており、プレポダインのような製剤の重要性が再認識されています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6856232/

他の消毒剤との使い分け

医療現場では、消毒部位や対象微生物、患者の状態に応じて適切な消毒剤を選択することが重要であり、プレポダインは特に皮膚刺激を最小限に抑えながら確実な消毒効果を求められる場面で選択される製剤です。

参考)https://www.maruishi-pharm.co.jp/media/prepodyne-solution_if_20240321.pdf