オプジーボの価格と薬価改定の影響

オプジーボの薬価と治療費

オプジーボの概要
💊

革新的ながん免疫療法薬

免疫チェックポイント阻害薬として注目

💰

高額な薬価で話題に

医療財政への影響が懸念される

📉

段階的な薬価引き下げ

適用拡大に伴う価格調整が行われる

オプジーボの現在の薬価と変遷

オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、2014年に日本で承認された革新的ながん免疫療法薬です。当初、その高額な薬価が大きな話題となりました。オプジーボの薬価の変遷を見ていきましょう。

• 2014年7月承認時:約73万円/100mg
• 2017年2月改定:約36万5千円/100mg(約50%引き下げ)
• 2018年4月改定:約17万5千円/100mg(さらに約52%引き下げ)
• 2021年8月改定:約15万5千円/100mg(約11.5%引き下げ)

このように、オプジーボの薬価は段階的に引き下げられてきました。当初の価格から約5分の1まで下がっていることがわかります。

オプジーボの薬価改定の詳細については、以下のリンクで確認できます。
オプジーボの薬価改定の詳細情報

オプジーボの治療費と患者負担

オプジーボの治療費は、患者の体重や投与スケジュールによって異なりますが、一般的な例を見てみましょう。

• 体重60kgの患者が1年間に26回使用する場合:
– 当初の薬価:約3,800万円/年
– 現在の薬価:約800万円/年

患者の自己負担額は、医療保険制度により軽減されます。

• 70歳未満の場合:高額療養費制度により、月額の上限は約8万7,430円〜25万2,600円(所得に応じて変動)
• 70歳以上の場合:さらに負担が軽減され、月額の上限は約1万8,000円〜8万1,000円(所得に応じて変動)

ただし、これらの金額は薬剤費のみであり、その他の治療費や入院費などは含まれていません。

高額療養費制度の詳細については、以下のリンクで確認できます。
高額療養費制度の詳細情報

オプジーボの薬価改定の経緯と理由

オプジーボの薬価が大幅に引き下げられた背景には、以下のような要因があります。

  1. 適用拡大による患者数の増加
    • 当初:皮膚がん(メラノーマ)のみ(約470人)
    • その後:肺がん、腎臓がん、胃がんなどに適用拡大(数万人規模)

  2. 年間販売額の急増
    • 適用拡大に伴い、年間販売額が1,500億円を超える見込みとなった

  3. 特例市場拡大再算定ルールの適用
    • 年間販売額が急増した薬剤に対して適用される価格引き下げルール

  4. 医療財政への影響の懸念
    • 高額な薬価が医療保険財政を圧迫する可能性が指摘された

  5. 類似薬の登場による競合
    • 他の免疫チェックポイント阻害薬の登場により、競争環境が変化

オプジーボの薬価改定に関する詳細な経緯は、以下のリンクで確認できます。
オプジーボの薬価改定に関する詳細情報

オプジーボの価格が医療財政に与える影響

オプジーボの高額な薬価は、日本の医療財政に大きな影響を与える可能性があると指摘されています。

• 医療費の急増
– オプジーボの適用拡大により、年間数千億円規模の医療費増加が予想された
– 2015年度の医療費伸び率が3.8%に上昇(例年は2〜3%)

• 社会保障費の圧迫
– 高額な新薬の登場により、社会保障関係費の増大が加速
– 2016年度から2018年度にかけて、社会保障関係費の伸びを年間5,000億円程度に抑える目標が設定された

• 保険財政への影響
– 高額薬剤の使用増加により、保険料の上昇や公費負担の増大が懸念される
– 医療費の9割近くが保険料や公費で賄われているため、国民全体で負担することになる

• 医療費抑制策の検討
– 薬価制度の抜本改革(毎年の薬価改定、新薬創出加算制度の見直しなど)
– 費用対効果評価の導入による価格調整の検討

医療財政と高額薬剤の関係については、以下のリンクで詳しく解説されています。
高額薬剤と医療財政に関する詳細情報

オプジーボの価格と費用対効果の評価

オプジーボの高額な価格に対して、その治療効果との費用対効果が議論されています。

• 治療効果
– 従来の抗がん剤と比較して、生存期間の延長が報告されている
– 例:肺がんの場合、1年生存率がオプジーボ42%に対し、従来薬のドセタキセルは24%

• QALYs(質調整生存年)による評価
– 生存期間の延長と生活の質の改善を総合的に評価する指標
– オプジーボの場合、1QALYあたりの増分費用効果比(ICER)が高いとされる

• 費用対効果評価の導入
– 2019年4月から、一部の医薬品・医療機器に対して費用対効果評価が導入された
– 評価結果に基づいて薬価を調整する仕組みが始まっている

• 国際比較
– 日本のオプジーボの薬価は、諸外国と比較して高いとされる
– ただし、各国の医療制度や経済状況が異なるため、単純な比較は難しい

• 製薬企業の主張
– 研究開発費の回収や新薬開発のインセンティブ維持の必要性を強調
– 薬価引き下げが過度に進むと、日本市場での新薬導入が遅れる可能性を指摘

オプジーボの費用対効果評価に関する詳細な情報は、以下のリンクで確認できます。
オプジーボの費用対効果評価に関する詳細情報

以上、オプジーボの薬価と治療費について、その変遷や医療財政への影響、費用対効果の評価まで幅広く見てきました。高額な新薬の登場は、患者さんに新たな治療の選択肢をもたらす一方で、医療財政への影響や費用対効果の問題など、様々な課題を提起しています。今後も、革新的な医薬品の価値を適切に評価しつつ、持続可能な医療制度を維持するための議論が続けられていくでしょう。