オンブレス吸入後のうがいで副作用を防ぐ正しい方法と注意点

オンブレス吸入後のうがいで守るべき正しい手順と根拠

オンブレス吸入後のうがいは「必須ではない」と添付文書に明記されている。

参考)www.teikyo-hospital.jp/…/o-3.pdf

🔍 この記事の3つのポイント
💊

うがい不要と書かれていても現場指導は別

オンブレス(インダカテロール)の添付文書にはうがいが「必須ではない」と記載されているが、医療機関では副作用統一管理の観点から全吸入薬にうがいを推奨している。

🦠

吸入薬のうがい目的は口腔カンジダと嗄声の予防

吸入ステロイド含有薬では口腔カンジダ症・嗄声が主な局所副作用。LABAであるオンブレスでは咳嗽(8.8%)・蕁麻疹(2.0%)が主な副作用として報告されている。

正しいうがいの手技:ガラガラ+ブクブク各3回

「ガラガラうがい」と「ブクブクうがい」をそれぞれ3回ずつ実施することが、吸入薬使用後の標準的な指導手順として推奨されている。

オンブレス吸入薬の概要とうがいが話題になる背景

オンブレス(一般名:インダカテロールマレイン酸塩)は、ノバルティスファーマが製造する長時間作用性β2刺激薬(LABA)です。 1日1回、1カプセル(インダカテロールとして150μg)を専用吸入器具「ブリーズヘラー」を使って吸入するCOPD治療薬で、その利便性から広く使用されています。

Antaa DI
専門医100名が作る中立的な医学情報のWebアプリです。20000以上の薬剤の特徴を、医師の処方の観点から、他の薬剤との比較を主眼において簡潔に記しています。また薬剤に専門医コメントを添えており、専門医の処方観点を参考にできます。

LABAに分類されるため、吸入ステロイド薬(ICS)のように口腔カンジダ症や嗄声を直接引き起こすリスクは低いとされています。これがポイントです。

しかし、帝京大学医学部附属病院が公開している服薬情報提供書には「⑩吸入後うがいをする。(うがいは必須ではない)」との記載があります。 つまり添付文書の立場上は「必須ではない」のですが、現場指導では別の理由でうがいが推奨されているのです。

その理由の1つが「吸入薬全体の手技統一化」です。 複数の吸入薬を使用している患者に対して、うがいの有無を薬剤ごとに使い分けさせると指導ミスや患者の混乱につながるリスクがあります。つまり安全管理の観点から、LABAであるオンブレスにもうがいを推奨する施設が多いのです。

参考)www.med.sunagawa.hokkaido.jp/…/ブリーズヘラー(オンブレス・ウルディブロ).pdf

オンブレス吸入後にうがいを行う医学的根拠と副作用データ

オンブレス(インダカテロール)の副作用として承認時に報告されている主なものは、咳嗽(8.8%)・蕁麻疹(2.0%)です。 吸入ステロイド薬で問題となる口腔カンジダ症(カンジダ・アルビカンスの増殖による白苔・ヒリヒリ感)や嗄声は、オンブレス単剤では原則として問題になりにくいです。

喘息の吸入薬使用後にうがいが必要な理由と方法 | 横浜弘明寺呼吸器内科クリニック健康情報局
喘息治療で吸入ステロイド薬を使っている方は、副作用を防ぐため、吸入後には「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」をしましょう。うがいをしないと、舌に白いコケのようなものが付いて痛みや違和感を覚えたり、声がかすれて出にくくなることがあります。

ただし、ICSを含む配合剤(ウルティブロ等)とブリーズヘラーを共用・混同している患者も多く、指導上は統一的にうがいを推奨するのが現実的です。 実際、リクナビ薬剤師が紹介したヒヤリハット事例でも「ウルティブロの指導箋にうがいの記載がない」という混乱が生じています。

ウルティブロ吸入後のうがいは必要?|ジョブメドレーエージェント 薬剤師
医療の現場で起こった薬の使用に関するヒヤリ・ハット事例を取り上げ、事の顛末を精査し、その原因を追求し、最終的にホットするためにはどうするか? などを澤田教授の視点からわかりやすく解説します。 【ジョブメドレーエージェント 薬剤師】

吸入薬全体でのうがいの目的を整理すると以下の通りです。

目的 対象薬剤 主なリスク
口腔カンジダ症・嗄声の予防 ICS含有薬(フルタイド、シムビコート等) 必須
口腔咽頭刺激感の軽減 LABA(オンブレス等) 推奨(必須ではない)
全身副作用(動悸・振戦)の軽減 β2刺激薬全般 状況により推奨
手技統一による指導エラー防止 全吸入薬共通 現場の安全管理上の推奨

うがいが条件です。特にICS含有薬を同時使用する患者では一律うがいが原則です。

参考)fukuoka.hosp.go.jp/…/…n-manual202303.pdf

オンブレス吸入後の正しいうがいの手順:ガラガラ・ブクブクの回数と方法

医療現場で標準的に指導されているオンブレス吸入後のうがい手順を以下にまとめます。

参考)fukuoka.hosp.go.jp/…/checklist08.pdf

  1. 吸入を完了し、カプセルが空になっていることを確認する
  2. 吸入口を閉じてキャップをする
  3. 適量の水を口に含み、ブクブクうがい(口腔内うがい)を3回行う
  4. 続いてガラガラうがい(咽頭うがい)を3回行う
  5. うがいの水は飲み込まずに吐き出す

福岡病院の吸入指導チェックリストでは「ブクブクうがい3回、ガラガラうがい3回」が明記されています。 これは口腔内に残留した薬剤粒子を物理的に洗い流すことで、局所への薬剤蓄積を防ぐためです。

特に注意が必要なのは、「ガラガラうがいだけでは不十分」という点です。 多くの患者は咽頭部のガラガラうがいのみを行いがちですが、口腔内(頰の内側・舌の上・歯茎周辺)への薬剤付着を洗い流すには、口をすすぐブクブクうがいが欠かせません。ブクブクを先に、ガラガラを後にする順番が推奨されています。

うがいが困難な患者(高齢者、嚥下機能低下患者など)については、「うがいではなく口腔内をすすぐよう指導すること」とされています。 これが条件です。指導時にはまず患者のうがい能力を確認することが大切です。

オンブレス吸入指導で見落とされがちな「ルーチン2回吸入」の落とし穴

一般にはあまり知られていませんが、オンブレスを含むブリーズヘラー製剤では、カプセルが空になるまで2回吸入を繰り返す「ルーチン2回吸入」が推奨されている施設があります。 これは1回の吸入でカプセル内の薬剤が100%吸入されない場合があるためです。

この手技の問題点は、うがいのタイミングと誤解されやすいことです。2回吸入する場合、うがいはすべての吸入が完了した後にまとめて1回行うのが正しい手順です。 1回目の吸入後にうがいをしてしまうと、2回目の吸入前に口腔内が湿りすぎて手技に影響が出る可能性があります。これは意外ですね。

参考)www.inazawa.jaaikosei.or.jp/…/1_breez.pdf

また、「ルーチン2回吸入」と「1日2回投与」を混同するケースも指導現場で見られます。オンブレスは1日1回・1カプセルが正しい用法用量です。 カプセルは1日1個のみ使用し、1回あたりのカプセルを2回に分けて吸入するのが正しい理解です。

オンブレス吸入用カプセル150μgの効果・効能・副作用 | 薬剤情報 | HOKUTO
オンブレス吸入用カプセル150μgの効果・効能・副作用をまとめた薬剤情報ページ。医師向け臨床支援アプリHOKUTO(ホクト)では、「薬剤情報」の他、 ガイドライン、 抗菌薬ガイド ERマニュアル、 ノート機能など、 欲しかった全てを無料で利...

患者指導の際は以下のポイントを確認するとよいでしょう。

  • 💡 カプセルは1日1個のみ使用する(2個使用は誤り)
  • 💡 吸い込む際はカラカラ音が聞こえるかを確認する
  • 💡 すべての吸入が終わった後にまとめてうがいを行う
  • 💡 うがい後は水を飲み込まず必ず吐き出す

吸入の完全性確認がポイントです。カプセルに粉末が残っていないかを目視で確認する習慣をつけてもらうことが、薬剤師・看護師の指導で重要です。

オンブレス吸入後のうがいを習慣化させる患者指導のコツ

うがいの必要性を患者が理解していても、自宅で実際に継続できるかは別問題です。この継続性こそが、副作用発生率に直結します。

指導の現場でよく効果的とされているのが、「吸入と歯みがきをセットにする方法」です。 環境再生保全機構(ERCA)も「歯みがきの前に吸入し、吸入→歯みがき→口をゆすぐ」という流れを推奨しています。 これにより、「うがいを忘れた」という状況を構造的に防ぐことができます。これは使えそうです。

参考)www.erca.go.jp/…/No.41.pdf

患者への具体的な説明例としては次の内容が参考になります。

  • 🦷 「毎朝(毎晩)の歯みがき前にオンブレスを吸入する習慣をつけてください」
  • 🪥 「吸入→歯みがき→ブクブクうがい3回→ガラガラうがい3回の順に行うと忘れません」
  • 💧 「うがいの水は少量で十分です。コップ1杯程度の水を用意しておきましょう」

また、外出先や職場での吸入後は洗面所まで移動するのが難しいケースも多いです。 そのような患者には、ペットボトルの水やスポーツドリンク(ただし糖分なし)を携帯し、その場でうがいをする方法を提案するのが実践的です。うがいが困難な状況では最低でも「口腔内のすすぎ」だけでも行うよう伝えることが重要です。

参考)www.fukujuji.org/…/kiyose12.pdf

吸入指導を実施した際は、指導内容をカルテや指導記録に記録することも忘れずに行いましょう。医療安全の観点から、指導履歴は薬剤師・看護師間で共有されることが望ましく、特に初回指導時と手技確認のタイミングでは、チェックリストを用いた文書記録が推奨されています。

参考)www.okaya-hosp.jp/…/…2bfc42f104c182.pdf

吸入指導の連携体制(医師・薬剤師・看護師)に関する詳細な実践マニュアルは、以下の資料も参考になります。

吸入指導の医師・薬剤師・看護師の連携手順と評価基準が詳しく記載されています。

大阪医科薬科大学:吸入指導連携マニュアル(PDF)

ブリーズヘラー(オンブレス・ウルティブロ・シーブリ)の吸入手順チェックリストとして活用できます。

福岡病院:吸入指導チェックリスト ブリーズヘラー製剤(PDF)