脳腫瘍の症状と初期サイン

脳腫瘍の症状

脳腫瘍の主な症状
🧠

頭蓋内圧亢進症状

頭痛、嘔吐、意識障害などが特徴的な症状として現れます

局所神経症状

発生部位に応じた麻痺、言語障害、視野障害などが出現します

🔍

てんかん発作

腫瘍による神経細胞の異常興奮で発作が起こります


脳腫瘍の症状は、腫瘍自体の圧迫や脳浮腫によって現れる頭蓋内圧亢進症状、発生部位の機能障害による局所神経症状、そしててんかん発作の3つに大きく分類されますよ。頭蓋骨に囲まれた閉鎖空間である頭蓋内に腫瘍が発生すると、圧力が上昇して多彩な症状を引き起こすんです。悪性腫瘍では脳浮腫を伴うため、サイズの割に症状が強く出現することが少なくありません。

参考)神経膠腫(グリオーマ)について:[国立がん研究センター がん…

脳腫瘍の初期症状と頭痛の特徴

脳腫瘍患者70名のデータでは、発見のきっかけとなった最多の初期症状は認知機能障害で18名、次いで頭痛や吐き気が15名、運動麻痺が11名という結果が報告されていますよ。頭痛は若年者に多く認められる一方で、高齢者では脳の萎縮により頭蓋内圧が上がりにくいため頭痛が少ないという特徴があるんです。

参考)脳腫瘍に前兆はある? 初期症状やかんたんなチェック方法も解説…


脳腫瘍による頭痛の特徴として、朝起きたときに強くなると言われていますが、実際には起床時の頭痛症状があった患者さんは17~32%とそこまで頻度は高くなかったという報告がありますよ。痛みの種類は頭を締め付けるような痛み、あるいはズキズキとした痛みが多く、数時間続く頭痛が1週間に1~3回起こるパターンが典型的なんです。場所は前頭部が最も多く、次いで側頭部、頭頂部の順となっていますが、個人差があります。​
これまでに経験のない頭痛、吐き気やしびれなど頭痛以外の症状を伴う場合、頭痛の痛みが徐々に進行している場合には特に注意が必要で、速やかに脳神経外科や脳神経内科を受診すべきですよ。早朝時頭痛(morning headache)は脳腫瘍の特徴とされており、頭痛の悪化に伴い嘔気・嘔吐が出現し活動性が低下してきます。

参考)脳腫瘍 │ がんの標準治療 │ 徳島大学病院 がん診療連携セ…


脳腫瘍の初期症状やチェック方法について

脳腫瘍による頭蓋内圧亢進と脳浮腫

脳は頭蓋骨に囲まれているため、腫瘍ができると頭蓋内の圧力が高まり、脳が圧迫されることで頭痛や吐き気が生じるんですよ。脳腫瘍が脳に発生して大きくなると、腫瘍の周りには脳浮腫という脳のむくみが生じ、脳の機能は腫瘍や脳浮腫によって影響を受けます。

参考)脳腫瘍〈成人〉 全ページ:[国立がん研究センター がん情報サ…


頭蓋内圧亢進による全身症状として、持続的な頭痛が発生し、朝方に症状が悪化して安静時でも激しい痛みを伴いますよ。この頭痛は脳組織の浮腫によって頭蓋内の容積が増加し、脳血管や神経組織が圧迫されることで起こり、通常の鎮痛薬では緩和が難しいんです。嘔気や嘔吐といった消化器症状も頻繁に見られ、食事摂取が困難になることもあります。

参考)脳浮腫 – 脳・神経疾患


頭蓋内圧が上昇すると脳の血管や組織は圧迫され、さらにむくみやすい状況になるんです。浮腫が悪化すると脳組織の一部が脳の境界や隙間からはみ出す脳ヘルニアという状態になり、致命的になる可能性が高くなります。小脳の中あるいは近くに腫瘍ができた場合、髄液の出口をふさぐため脳室内に液が貯まり、水頭症と呼ばれる状態になって頭蓋内圧が上昇することもありますよ。

参考)脳浮腫と脳梗塞の関係とは


脳浮腫の症状と頭蓋内圧亢進について

脳腫瘍の発生部位別の症状

脳は部位によって異なる機能を担っているため、脳腫瘍の発生部位によって異なる症状が現れるんですよ。前頭葉に腫瘍ができると、片側の手足のしびれや無気力、性格変化や特定の脳腫瘍 – 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 – MS…


側頭葉に腫瘍ができるとてんかん発作が起こり、優位側の側頭葉に腫瘍ができた場合は言語を理解し、言語で表現する能力が失われますよ。後頭葉では両眼の視力が部分的に失われることがあり、幻覚やけいれん発作がみられることもあるんです。小脳の中あるいは近くに腫瘍ができると、眼振、協調運動障害、歩行時のふらつきが引き起こされ、ときに難聴や回転性めまいが生じることもあります。​
頭頂葉に腫瘍ができると位置覚が失われ、感覚に変化が起きますよ。体を1箇所で触れられているのか、2箇所で触れているのかを判断できなくなることがあり、ときに両眼の視力が部分的に失われ、両眼とも腫瘍の反対側が見えなくなることもあるんです。運動神経のセンターである運動野が障害されれば顔や手足の運動麻痺、ことばのセンターである言語野が障害されれば失語症、目から入った信号が通る神経が障害されれば視力・視野障害などの症状が出ますよ。

参考)メニュー

脳腫瘍によるてんかん発作の特徴

脳腫瘍が原因となる症候性てんかんは、てんかん全体の4%と報告されており、また脳腫瘍患者の30~50%程度は意識消失発作や痙攣発作などで初発すると考えられていますよ。腫瘍による脳の圧迫や機能障害によって、突発的に神経細胞の異常な興奮が繰り返されることがあり、意識の低下やけいれん、体が硬直するなどの発作を引き起こすんです。

参考)https://www.scchr.jp/cms/wp-content/uploads/2021/03/brain_meta3.pdf


てんかん発作の症状は局所だけだったり全身に及ぶものだったりしますが、脳へダメージを与えるため発作の予防が重要なんですよ。部分発作・焦点発作では、右腕だけがけいれんする、左下肢だけの痺れが生じる、むかむか吐き気が発作的におこる、ありもしないカレーの匂いがする、いつか聞いた音楽が聞こえる、視野の一部が数十秒光るなどの症状が見られます。

参考)脳腫瘍とてんかん


複雑部分発作では、ごく短時間数秒とか意識減損という状態になり、意識がぼーっとして訳がわからない動きをしたり、意識が飛んで口をモゴモゴさせて自分で覚えていないなどの症状が出ますよ。全般発作では、意識がなくなって白目をむいて歯を食いしばり泡を吹いて全身がガクガクする強直間代発作が一般の方がてんかんと言って一番想像しやすい発作型なんです。脳腫瘍の場合は二次的全般化がほとんどですよ。​
脳腫瘍とてんかんの発作型について

脳腫瘍による認知機能障害と精神症状

脳腫瘍患者では記憶・思考・集中力などの認知機能が変化することがあり、具体的な症状として日常のできごとを思い出せない、考えがまとまらない、集中力が続かない、同時に複数のことができない、作業に時間がかかる、言葉を思い出すのに苦労する、判断力が低下するなどが挙げられますよ。これらの症状は必ず出るというわけではなく、出方や程度もさまざまなんです。

参考)記憶・思考・集中力などへの影響:[国立がん研究センター がん…


脳腫瘍患者では実行機能、記憶、注意、社会的・感情的機能を含む多様な神経認知障害が一般的に影響を受けますよ。認知機能障害には行動変化、記憶障害、視野障害などの症状が含まれており、脳腫瘍発見のきっかけとなった最も多い初期症状として報告されているんです。記憶には「覚える」「保持する」「思い起こす」の3段階がありますが、そのいずれかが障害され、新しいことが覚えられない、覚えていたことが思い出せない、人の名前が思い出せないなどの症状が現れます。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9407441/


脳腫瘍は様々な精神症状を伴うことがあり、神経症状の有無にかかわらず臨床像を複雑にするんですよ。教育的または行動的問題が脳腫瘍の初発症状として10%に認められており、認知機能障害は生活の質に大きな影響を与えるため早期発見が重要なんです。近年はCTやMRIなどの画像診断技術の発達や脳ドックの普及により、無症状の段階で脳腫瘍が発見される機会が増加しており、早期発見・早期治療につながるケースが増えてきていますよ。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7997443/

脳腫瘍の診断と検査方法

脳腫瘍が疑われる場合、専門的な診察や神経学的検査を行い、頭部CT検査や頭部MRI検査で頭の中の画像検査を行いますよ。これらの診察や検査によって脳腫瘍であるかどうか、また腫瘍の種類や性質などをある程度推測できるんです。CT検査はX線を、MRI検査は磁気を使った検査で、頭蓋骨の内部を描き出し腫瘍の存在を調べます。

参考)脳腫瘍の診断・治療について – 独立行政法人国立病院機構 信…


多くの施設では、CT検査はMRI検査に比べて迅速に検査することができるため、緊急性があるときはCT検査を行いますよ。しかしCTだけでは出血性病変の診断は優位性が保てていますが、小さい脳梗塞や脳腫瘍に関してはほぼ診断ができないんです。一方、MRIは脳梗塞、脳腫瘍、血管病変が得意分野となります。

参考)脳腫瘍〈成人〉 検査:[国立がん研究センター がん情報サービ…


造影剤を使うと腫瘍の広がりや悪性度なども術前に推定することができ、通常のCT検査やMRI検査に加え特殊なMRI検査を行うこともありますよ。例えば脳の血液の変化を視覚化するfMRIを用いて、脳の運動野や言語野の位置を調べることがあるんです。最終的には生検もしくは手術を経て、病理組織検査と遺伝子解析を行うことによって詳細な診断を確定します。​
脳腫瘍の検査と診断について
治療方針を決定するために手術中に行われる術中迅速検査(病理組織検査)により、脳腫瘍と確定診断するんですよ。各検査の結果、すぐに治療の必要がないと診断された場合は定期的なMRI検査による経過観察となり、治療の必要があると診断された場合は手術可能かどうかが判定されます。良性腫瘍と診断された場合は摘出手術が行われ、完全切除されればMRI検査による経過観察となるんです。

参考)脳腫瘍の検査・診断 href=”https://cancer.qlife.jp/brain/brain_tips/article20092.html” target=”_blank”>https://cancer.qlife.jp/brain/brain_tips/article20092.htmlamp;#8211; がんプラス


脳腫瘍の種類によって異なりますが、外科的手術、放射線治療、化学療法、薬物療法などを組み合わせて治療を行いますよ。転移性脳腫瘍の場合、大きな腫瘍や手術しやすい場所の腫瘍は手術で摘出し、比較的小さな腫瘍はガンマナイフやサイバーナイフといった定位的放射線治療を行うんです。世界保健機関(WHO)の最新の脳腫瘍分類(2021年)では、良性脳腫瘍や転移性脳腫瘍も含めると脳腫瘍は109種類に細分類されており、頻度の比較的多いものからかなり稀なものまで存在しますよ。

参考)脳腫瘍 – 脳神経外科 – 独立行政法人国立病院機構 岡山医…