偽近視と近視の違いと原因と治療

偽近視と近視の違い

偽近視と近視の違い:医療者向け要点
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定義の軸は「調節」か「眼軸」か

偽近視は調節緊張(過剰な調節)による一時的な近視化、近視は屈折異常として恒常化しやすい状態。

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鑑別の鍵は調節麻痺下の屈折検査

小児は調節力が強く、無麻痺下の屈折はブレやすい。調節麻痺薬で真の屈折状態を評価する。

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治療は「点眼」だけに依存しない

点眼の位置づけを理解しつつ、近業負荷の調整・休憩・屋外活動など生活指導が再発予防に重要。


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偽近視と近視の違いと原因(調節・眼軸)

 

偽近視(仮性近視)は、近業が続いた結果として毛様体筋が緊張し、ピント調節が“近くに固定されやすい”状態になって遠方がぼやける現象として説明されます。

一方、近視(とくに小児期の近視)は、眼軸長などの要素が関与する屈折異常として固定化しやすく、休ませれば戻るという単純な回復モデルでは扱いにくい点が臨床上の違いです。

医療現場で誤解が多いのは、視力低下=近視進行と短絡してしまう点です。実際には、近業の直後や夕方などで見え方がぶれるケースでは、緊張性調節(tonic accommodation)の残存が測定値を近視側へ寄せることがあります。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8459808/

したがって「原因」を患者に説明する際は、偽近視は“調節の過活動”、近視は“屈折状態そのものの変化(眼軸など)”という二軸で語ると整理しやすくなります。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

また、偽近視と近視は排他的ではありません。調節緊張が長期に続き、見えにくさを放置して過矯正や過負荷が重なると、近視の管理をさらに難しくすることがあります(少なくとも、測定のばらつきと生活負荷が増えます)。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

偽近視と近視の違いの診断(屈折検査・調節麻痺)

偽近視と近視の鑑別で最も重要なのは、「調節を介入させない条件で屈折を評価する」ことです。

日本眼科学会の小児の眼鏡処方手引きでも、小児は調節力が非常に強く、正確な屈折評価のために調節麻痺薬を用いる必要がある旨が明記されています。

調節麻痺薬の実務的な使い分けとして、一般に内斜視がなければシクロペントラート塩酸塩、内斜視などでより強い麻痺が必要な場合はアトロピン硫酸塩を用いる、といった選択が述べられています。

さらに、トロピカミドはアトロピンやシクロペントラートより調節麻痺作用が弱く、中学生以上や再評価など特定状況で用いる一方、フェニレフリンを含まないトロピカミドは「主に偽近視の治療に用いられる」と記載があります。

鑑別の実務で役立つポイントは、調節麻痺前後での屈折値差(近視側へのズレがどの程度戻るか)、視力の再現性、近見視力との組み合わせです。

「遠見視力だけが落ちるが近見は保たれる」「日内変動が大きい」「近業後に急に悪化する」といった所見は、検査戦略(雲霧の十分な時間確保、調節麻痺下測定)を選ぶ根拠になります。

意外に見落とされやすいのは、測定環境そのものが偽近視を“作る”点です。暗室・小さな視標・強い覗き込み・説明不足で被検者が力んでしまうと、緊張性調節が残り、近視を過大評価しやすくなります。

偽近視と近視の違いの治療(点眼・メガネ)

偽近視(仮性近視)について、日本眼科医会の一般向け解説では、近業により毛様体が異常に緊張して一時的に近視状態になること、そして調節を麻痺させる点眼薬を用いて治療する考え方が紹介されています。

ただし同ページでは、偽近視の存在自体に賛否があり、点眼治療も根拠が強い方法ではなく、2~3か月治療して視力が出ないなら続けても意味が乏しい、という慎重な姿勢も明確です。

この「点眼の立ち位置」を医療者側が言語化できると、現場の説明が安定します。つまり、点眼は万能な視力回復手段ではなく、調節介入が強いケースで“状態をほどく・評価を正す”ための要素として位置づけるほうが安全です。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

点眼で十分な改善が得られない場合は、生活に支障があるなら眼鏡処方を検討する、という現実的な導線も同ページで述べられています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8950661/

眼鏡に関して重要なのは、過矯正が調節努力を増やし得る点です。手引きでは、小児の近視に過矯正眼鏡を処方すると過剰な調節努力が負荷され、近視進行を促進する恐れがある、と注意喚起されています。

偽近視が疑われる段階で“強めに合わせてしまう”と、患者の自覚は一時的に良くなっても、長期では負荷を増やし得るため、処方意図(どの屈折値を採用し、何を狙っているか)をチームで共有しておくと事故が減ります。

偽近視と近視の違いとセルフケア(生活・近業)

患者の行動変容に落とし込むなら、まず近業の“連続時間”を切ることが最優先です。日本眼科医会の解説でも、勉強・ゲームなど近くを見る作業を長く続けない、一定時間ごとに休む、といった負荷低減が具体的に示されています。

また、姿勢と作業距離も基本で、目と本の距離を約30cm確保する、といった指導はシンプルですが再現性があります。

医療者向けにもう一段深掘りすると、患者が言う「夕方に見えにくい」「日によってムラがある」は、屈折異常の変化というより、調節(+疲労+環境)の変動として説明すると納得されやすい場面があります。

このとき「休めば戻る可能性がある=偽近視」と断定するのではなく、「調節要素が強いので、まず正確に測る」「生活負荷を調整しつつ経過で見極める」と段階づけると、過剰な期待や自己流の視力回復商材に流れるリスクも下げられます。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

意外な盲点として、近業負荷の高い子ほど“本人は困っていない”ことがあります。板書が見えづらい、頭痛、集中力低下など周辺症状から拾い上げる必要がある、という視点は手引きの背景説明(学習や行動への影響)とも整合します。

偽近視と近視の違いの独自視点(過矯正・説明)

検索上位であまり強調されないが臨床で効くのは、「説明の仕方」が治療成績を左右する点です。偽近視を“治る近視”と断言すると、点眼やトレーニングに過剰な期待が乗り、眼鏡導入が遅れたり受診中断が起きたりします。

逆に近視を“もう戻らない”と決めつけると、調節要素が強い段階での介入(測定条件の最適化、作業負荷の是正)を逃し、不要な強矯正に寄る危険があります。

そこで、説明フレームを次のように固定すると現場が安定します。

✅「今の見えにくさは、(A) 調節の影響(偽近視成分)と、(B) 屈折異常(近視成分)が混ざり得る」pmc.ncbi.nlm.nih+1​

✅「まず(A)を取り除く条件=調節麻痺下の屈折検査で“土台の度数”を確認する」​
✅「生活に必要な見え方は矯正で確保しつつ、過矯正は避ける」​

加えて、治療の意思決定で役立つ“チェック項目”を共通言語化しておくと便利です。

  • 📌 視力の変動:日内変動・近業後悪化が強いか。​
  • 📌 調節麻痺前後差:屈折値がどれだけ戻るか。​
  • 📌 生活支障:黒板・運転・転倒リスク・頭痛など。​
  • 📌 処方リスク:過矯正により調節負荷が増えないか。​

診断名の選び方よりも、患者の行動(近業の設計、矯正の使い方、受診継続)をどう変えるかが結果に直結します。偽近視と近視の“違い”は、そのまま説明と介入の順番(正確に測る→負荷を減らす→必要なら矯正)として提示すると、医療の文脈に馴染みます。pmc.ncbi.nlm.nih+1​

(偽近視の説明・点眼治療の位置づけ、生活指導の具体例)

日本眼科医会「子供が近視といわれたら」

(小児の屈折検査で調節麻痺薬が不可欠であること、薬剤選択・副作用、過矯正の注意)

日本眼科学会「小児の眼鏡処方に関する手引き(PDF)」

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