肉芽腫 肉芽組織 違い
肉芽組織は組織修復の過程で発生し、新生血管や線維芽細胞が増殖した構造体。創傷治癒では出血しにくく健康な赤色を示し、コラーゲンや血管網の形成を通じて再生の足場となる。過度な炎症や虚血による病的肉芽もみられ、臨床での状態判定に重要。
・線維芽細胞、血管内皮細胞によるコラーゲン産生と血管新生
・健康肉芽 vs 病的肉芽—創傷の経過観察で現れる違い
肉芽腫は慢性炎症が持続する際に異物や病原体が残り、免疫細胞(マクロファージや類上皮細胞、多核巨細胞)が集まってできる結節状病変。体が排除しきれない刺激物を封じ込める特殊な防御反応で、結核・サルコイドーシス・クローン病など各種疾患にみられる。組織検査でその存在が疾患診断の重要な手がかりとなる.
・類上皮細胞+多核巨細胞+リンパ球などが集積
・慢性炎症(例:結核・サルコイドーシス・クローン病)
特徴 | 肉芽組織 | 肉芽腫 |
---|---|---|
役割 | 傷の修復・再生 | 異物隔離・慢性炎症反応 |
主な細胞 | 線維芽細胞・血管内皮細胞 | 類上皮細胞・多核巨細胞・リンパ球 |
状態 | 生理的(治癒反応) | 病的(慢性炎症病変) |
例 | 創傷治癒過程 | 結核、サルコイドーシス等 |
病理組織学的所見では、肉芽腫は異物型・サルコイド型・類結核型などさらに細分類される。
肉芽腫は病原体の種類や免疫応答により特徴が現れ、サルコイドーシス診断では皮膚や臓器の病変から非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の病理診断が重視される。類上皮細胞肉芽腫の鑑別には、結核とクローン病で組織学的な違いもみられる。慢性肉芽腫症においては、免疫不全状態が原因で感染症や肉芽腫性炎症が全身に拡がる。
近年の研究では、肉芽組織の健康状態がその後の瘢痕形成や機能回復に直結し、毛細血管の再構築が治癒コントロールの鍵となる。一方で肉芽腫疾患では、臨床像が多彩なため、確定診断や病因特定に皮膚生検や分子診断が不可欠。特異な細胞免疫応答やサイトカインネットワークのバランス調節が注目集めている。肉芽腫性炎症の治療方針決定には病理学的・免疫学的評価が要である。
【皮膚病理の詳細やサルコイドーシスの診断フローについて解説】
非乾酪性類上皮細胞肉芽腫によるサルコイドーシス診断基準の解説(学会ガイドラインPDF)
【肉芽組織の構造、線維芽細胞・血管新生・瘢痕形成の詳細】
傷の治り方と肉芽組織の役割(専門医監修記事)