苦味健胃薬生薬一覧と効果作用

苦味健胃薬生薬一覧

オブラートで包むと効果半減します

この記事の3つのポイント
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苦味健胃薬の種類と作用機序

オウバク、センブリ、オウレン、ゲンチアナなど代表的な苦味健胃生薬の成分と、味覚神経を刺激して胃液分泌を促進する仕組みを解説

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各生薬の特徴と使い分け

苦味成分の違いや止瀉作用など副次的な効果、芳香性健胃薬との組み合わせによる相乗効果について詳細に紹介

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服薬指導の実践ポイント

オブラート使用による効果減弱のメカニズムと患者説明の具体例、飲みやすさと効果のバランスを取る方法

苦味健胃薬の主な生薬成分と分類

 

苦味健胃薬は、その苦味成分によって味覚神経を刺激し、反射的に唾液や胃液の分泌を促進することで胃の働きを高める生薬です。医療現場では患者から「苦くて飲みにくい」という訴えを受けることも多いのですが、この苦味こそが薬効の中心となっています。

代表的な苦味健胃生薬には、オウバク、センブリ、オウレン、ゲンチアナ、ニガキ、リュウタン、ユウタンなどがあります。これらはすべて独特の苦味成分を含んでおり、その作用機序は基本的に共通しています。つまり、苦味が舌の味蕾を刺激することで、迷走神経を介して胃液分泌が促進されるのです。

一方で、苦味健胃薬とは別に芳香性健胃薬というカテゴリーも存在します。こちらはケイヒ、ショウキョウ、ハッカ、ウイキョウなど、香りによって嗅覚を刺激し胃の機能を高めるものです。多くの市販胃腸薬では、苦味健胃薬と芳香性健胃薬を組み合わせることで、より幅広い作用を期待しています。

薬局方に収載されている生薬の中には、健胃作用以外の効能を併せ持つものもあります。たとえばオウバク末は止瀉薬としての使用も認められており、下痢症状への対応が可能です。このような多面的な作用を理解しておくことで、患者の症状に合わせた適切な製剤選択ができます。

興和の苦味健胃生薬と芳香性健胃生薬の詳細解説(各生薬の基原植物と特徴が表形式でまとめられています)

苦味健胃薬オウバクとオウレンの成分比較

オウバクとオウレンは、どちらも極めて苦い生薬として知られており、舌をなめると黄色く染まるほど濃い黄色の成分を含んでいます。この黄色い成分の正体は、アルカロイドの一種であるベルベリンです。

オウバクは、ミカン科キハダの樹皮を乾燥させた生薬で、ベルベリンを主要成分として含みます。苦味健胃作用はもちろんですが、ベルベリンには抗菌作用や腸管運動抑制作用もあるため、日本薬局方収載のオウバク末は止瀉薬としても用いられます。つまり、胃を元気にするだけでなく下痢にも対応できるということですね。

一方、オウレンはキンポウゲ科オウレンの根茎を用いた生薬で、オウバクと同様にベルベリンを豊富に含みます。味は極めて苦く、その苦味の強さはオウバクと同等かそれ以上とも言われています。オウレンもまた健胃作用と抗菌作用を併せ持ち、胃腸炎や消化不良に効果を発揮します。

この二つの生薬の違いを患者に説明する際には、「どちらも黄色くて苦い成分が入っていて、胃の働きを良くしますが、オウバクは下痢止めとしても使える点が特徴です」と伝えると分かりやすいでしょう。実際の製剤では、両者を併用することで相乗効果を狙っているものも多く見られます。

採取部位や産地によってベルベリンの含有量には差があり、特にオウバクでは樹皮の採取時期が重要です。一般的に7月頃、樹皮が剥がれやすい時期に採取したものが良品とされています。これは樹皮が剥がれやすい状態の方が、有効成分が豊富に含まれているためです。

苦味健胃薬センブリとゲンチアナの特性

センブリは、日本特産のリンドウ科の植物で、その名前の由来は「千回振り出し(煎じ)てもまだ苦い」というほどの強烈な苦味にあります。開花期の全草を乾燥させたもので、においはほとんどありませんが、味は想像を絶する苦さです。

実は、センブリは当初、ノミやシラミ用の殺虫剤として使われていました。江戸時代の終わり頃になってようやく苦味健胃薬としての価値が認められ、医薬品の仲間入りを果たしたという意外な歴史があります。現在では、胃弱や食欲不振、消化不良に広く用いられており、家庭薬の定番成分となっています。

ゲンチアナは、リンドウ科ゲンチアナの根を用いた生薬です。センブリと同じリンドウ科ですが、使用部位が異なります。ゲンチアナの苦味成分はゲンチオピクロシドという配糖体で、これが胃液分泌を強力に促進します。ヨーロッパでは古くから健胃薬として用いられており、リキュールの原料としても知られています。

この二つの生薬を比較すると、センブリは日本伝統の生薬、ゲンチアナは西洋伝来の生薬という位置づけになります。効果の面では大きな差はありませんが、患者の中には「日本の薬草の方が体に合う気がする」と感じる方もいるため、そうした心理的な側面も考慮して説明すると良いでしょう。

服薬指導の場面では、「センブリはお茶として煎じて飲む民間療法もあるくらい、昔から日本人に親しまれてきた胃薬です」と伝えると、患者の理解と納得が得られやすくなります。苦味の強さについては事前に説明しておくことで、服用時の驚きを軽減できます。

全薬グループによるセンブリの詳細解説(殺虫剤から健胃薬への歴史的変遷が記載されています)

苦味健胃薬ニガキとその他の生薬

ニガキは、その名の通り木全体が苦いという特徴を持つニガキ科の落葉高木です。樹皮から葉、枝まで、すべてに強烈な苦味成分クアシンが含まれています。このクアシンは、天然物の中で最も強い苦味を持つとされる成分の一つで、その苦味はセンブリやキハダに並ぶほどです。

薬用には材(木部)を用いますが、良品とされるのは樹皮が剥がれた白色の木部です。太田胃散はニガキのシェア90%以上を占めており、その研究も最先端を行っています。興味深いことに、産地によってニガキの成分組成が異なることが分かってきており、より効果の高い産地のものを選別する研究が進められています。

ニガキには健胃作用だけでなく、抗菌作用や殺虫作用もあります。古くは駆虫薬として回虫やギョウ虫の駆除に用いられていました。現代ではそうした使い方は少なくなりましたが、整腸作用と消炎作用により胃腸炎や消化不良の改善に効果を発揮します。

リュウタンとユウタンは、名前は似ていますが全く異なる生薬です。リュウタンはリンドウ科トウリンドウの根茎で植物由来、ユウタンはクマ科ヒグマやツキノワグマの胆嚢を乾燥させた動物由来の生薬です。どちらも苦味健胃薬として配合されますが、ユウタンは希少価値が高く高価なため、現在では配合される製品は限られています。

これらの生薬を使い分ける際には、患者の症状や体質、予算なども考慮に入れる必要があります。単に「苦い胃薬」として一括りにするのではなく、それぞれの特性を理解した上で最適な製剤を選択することが、医療従事者としての専門性と言えるでしょう。

福山大学グリーンサイエンス研究センターによるニガキ成分の産地比較研究(太田胃散との共同研究内容が紹介されています)

苦味健胃薬の服薬指導における注意点

苦味健胃薬の服薬指導で最も重要なのは、「苦味そのものが薬効である」という点を患者に理解してもらうことです。多くの患者は薬の苦味を避けようとしてオブラートに包んだり、服薬ゼリーを使ったりしますが、これでは効果が大幅に減弱してしまいます。

実際の指導場面では、まず「この薬は苦味が舌を刺激することで、胃液の分泌を促す仕組みになっています」と作用機序を簡潔に説明します。その上で、「オブラートに包むと苦味が感じられなくなり、効果が半分以下になってしまう可能性があります」と具体的なデメリットを伝えることが効果的です。

どうしても苦味に耐えられない患者には、いくつかの工夫を提案できます。まず、先に水や白湯を口に含んでから薬を流し込む方法があります。これにより、薬が口内に残りにくくなり、苦味が軽減されます。また、服用後すぐに水を多めに飲むことで、口に残る苦味を早く洗い流せます。

液体タイプの胃腸薬を選択肢として提示するのも一つの方法です。液体の方が粉薬よりも煎じ薬に近い形態のため、苦味を感じつつもサラッと飲み込みやすいという利点があります。最近では、健胃生薬の特徴を生かしながら味を整えた飲みやすい製品も登場しているため、患者の状況に応じて提案すると良いでしょう。

高齢者や嚥下機能が低下している患者の場合は、誤嚥のリスクも考慮する必要があります。苦味を我慢するあまり慌てて飲み込もうとすると、むせてしまう危険性があるからです。こうした場合には、無理に粉薬にこだわらず、錠剤や液剤への変更を検討することも重要な判断となります。

服薬タイミングについても説明が必要です。苦味健胃薬は一般的に食前または食間の服用が推奨されますが、これは胃液分泌を食事前に高めておくためです。しかし、患者によっては空腹時の苦味が辛すぎて継続できないこともあります。そうした場合は医師と相談の上、食後服用への変更も検討する価値があるでしょう。

日経メディカルの健胃薬とオブラート使用に関する薬剤師向け解説(効果を損なわない服用方法の工夫が詳しく説明されています)

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