ネット回収具で内視鏡異物回収具と回収ネット

ネット回収具と回収ネット

ネット回収具で押さえる3要点
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構造と適合

ネット式バスケット/シース/ハンドルの基本構造と、内視鏡チャンネル径・有効長との適合を先に確認する。

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視野内操作

回収は「視野内」で完結させ、回収物を見失わない運用が合併症と取り違えを減らす。

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検体品質

挫滅低減や回収後の取り出し手順を整えると、病理評価の質と再提出リスクが変わる。

ネット回収具の構造と使用目的の基礎(内視鏡・チャンネル径)

 

ネット回収具(回収ネット/ディスポーザブル回収ネット)は、シースの先端からネット式バスケットを出し入れし、組織や異物を「把持・回収」するための非能動処置具で、自然開口部を介して用いられる設計です。

例えばPMDA掲載の「レスキューネット ディスポーザブル回収ネット」では、ワイヤケーブルとネット式バスケットから構成され、ハンドル操作でシース内へ収納・展開できること、単回使用であることが明記されています。

また、適合最小内視鏡チャンネル径が2.8mmと示されており、「チャンネル径に対して器具が入るか」は購入前・準備段階での一関門になります。

一方で「回収ネット」という同系統の製品でも、仕様は複数モデルがあり、シース外径・有効長・ネット幅、適合チャンネル径(例:2.8mm以上、3.2mm以上等)が異なります。

参考)ディスポーザブル 回収ネット

現場でよく起こるのは、処置直前に“入らない/通らない/曲がりで出ない”が発覚するパターンです。

内視鏡の有効長やチャンネル径、想定部位(上部・下部、深部大腸など)に対して、ネット回収具の「長さ」と「太さ」を先に合わせることで、手技中の中断や器具交換を減らせます。

ネット回収具の回収ネットのサイズ選択とネット幅(ポリープ・異物)

回収ネットは“とにかく大きければ安心”ではなく、ネット幅が大きいほど展開スペースや操作抵抗の影響を受けやすくなるため、対象(ポリープ、食物塊、異物)と部位に合わせた選択が重要です。

オリンパスの「回収ネット」添付文書では、ネット幅が18~30mm、35~54mmなど複数レンジで用意され、モデルごとにチャンネル径要件も変わることが示されています。

「小さすぎるネット」は捕捉できず、「大きすぎるネット」は屈曲部で開きづらく、結果として回収に時間がかかり、粘膜損傷や手技ストレスの原因になりえます(※添付文書上も屈曲・過度な力に注意がある)。

臨床的に見落としがちなのは、回収対象が“柔らかい塊”か“硬い異物”かで最適解が変わる点です。

PMDAの文書では回収対象として「異物、食物塊、組織、切除したポリープ等」が例示されており、回収ネットは幅広い対象に使われる前提です。

そのため、施設として「よく遭遇する回収物(例:大腸EMR後の複数検体、ESD後の大きい検体、食物塊)」に合わせた定番サイズを決め、バックアップのサイズを最低1つ用意しておく運用が実務的です。

ネット回収具の操作手順と注意点(視野内・破損・穿孔)

ネット回収具の基本は、(1)回収物を確認→(2)シース先端を視野で確認→(3)回収物をわずかに過ぎた位置でネット展開→(4)捕捉→(5)視野を保ちながら抜去、という流れで、重要なのは「視野内で段階を踏む」ことです。

PMDA文書では、回収物が確認できたらチャンネルに挿入し、視野内にシース先端が見えるまで小刻みに進めること、回収物を見失わないよう観察が必要であることが具体的に書かれています。

さらに、回収物を捕捉したネットを“チャンネルを通して引き抜かない”など、やってしまいがちな誤操作が禁止事項として示されています。

破損リスクの代表例は「鋭利な異物」です。

PMDA文書には、鋭利な異物を回収しない(ネット式バスケットが破損するおそれ)と明記されており、ここは鉗子・バスケット・オーバーチューブ等への切り替え判断が必要になります。

また、オリンパス文書でも、過度の力や速度で開く、極度に屈曲した状態で開く、極度に巻かれた状態で作動させるなどで「正しく機能しない」可能性があると注意喚起されています。

合併症としては出血・穿孔などが挙げられており、回収具そのものが直接の原因にならない場合も含め、回収時の視野不良や不用意な押し込みがリスクを上げます。

実務では、回収直前に吸引・送気のバランスを整え、視野が崩れたら一旦止める、抵抗が出たらアングルを戻す、といった“中断のルール”をチームで共有しておくと事故が減ります。

こうした基本動作は地味ですが、ネット回収具は「回収できて終わり」ではなく、回収過程の安全性が最終アウトカムを左右します。

ネット回収具で検体の取り扱いと病理評価(挫滅低減)

ネット回収具は回収の成否だけでなく、検体の“形”をどれだけ守れるかが重要です。

オリンパスの製品情報では、ネット型で多発性ポリープや「組織がバラバラになりやすい」病変の一括回収をサポートすること、ESD後など大きな病変回収にも適したサイズをラインアップし、組織の挫滅低減をサポートすると説明されています。

挫滅が強いと、病理で断端評価や構造の読み取りが難しくなり、追加切除や再検の判断に影響することがあるため、回収具の選択と操作は“病理品質の前工程”として位置づけるのが実務的です。

意外に見落とされるのが「回収後にネットから取り出す工程」です。

PMDA文書では、回収物がネットから取り出せない場合は水で満たした容器の中ですすいで取り除くこと、指や器具で無理に取り除くとネットが損傷するおそれがあることが書かれています。

オリンパス文書にも同様に“水ですすいで取り除く”旨があり、ここは使い捨て器具の破損というより、検体の取り違えや飛散(紛失)を防ぐうえでも、トレー内での取り出し手順を標準化しておく価値があります。

ネット回収具の独自視点:回収失敗を減らす「準備チェック」と廃棄プロトコル

検索上位で語られやすいのは「製品ラインアップ」や「手技の概要」ですが、実際のトラブルは“準備の抜け”と“運用の曖昧さ”から起きがちです。

オリンパス文書では、滅菌パックの破れ・ぬれ等の点検、外観の曲がりや折れ、作動(開閉)確認など、使用前点検が具体的に示されています。

さらに「抵抗が大きく挿入困難なら、無理なく挿入できるところまで内視鏡のアングルを戻す」など、現場で判断に迷うポイントが注意事項として明文化されています。

そこで、ネット回収具に関しては“チェックリスト化”がコスパ良く効きます(物品管理・看護・内視鏡技師・医師の共通言語になるためです)。

例として、開始前に次を口頭確認すると、回収失敗の再発を減らせます。

  • ✅ チャンネル径と器具仕様の適合(2.8mm/3.2mmなど)​
  • ✅ ネットの開閉がスムーズ(屈曲状態で無理に開かない)​
  • ✅ 鋭利な異物の可能性がある場合は別手段も準備(ネット破損回避)
  • ✅ 回収後、ネットから外れない時は水中ですすいで回収(無理にこじらない)​

廃棄も“手技の一部”として扱うと、感染対策と物品ロスの両面で事故が減ります。

オリンパス文書では、使用後は病院の廃棄物処理プロトコルに従って適切に廃棄することが明記されており、個人判断での保管・再利用を防ぐ文脈が含まれています。

単回使用の回収ネットは再使用禁止が明示されているため、器具台・廃棄容器・記録の導線を整え、回収ネットが「いつ、どの患者に、どの回収物に使われたか」を最低限追える形にすると、インシデント対応が速くなります。

回収ネットの使用目的・操作上の注意(鋭利異物、視野外操作、チャンネルから引き抜かない等)の根拠として有用。

PMDA:レスキューネット ディスポーザブル回収ネット 添付文書

回収ネットの仕様(ネット幅、シース外径、有効長、適合チャンネル径)と使用前点検・注意事項の根拠として有用。

オリンパス:回収ネット 添付文書(PDF)

検体回収におけるネット型の利点(多発ポリープ一括回収、挫滅低減、サイズ展開)の背景理解に有用。

オリンパス:ディスポーザブル 回収ネット 製品情報

日本マタイ(Nihon Matai) マルソル(MARSOL) なんでも回収袋 6mm角目メッシュ 100cm×120cm