ナルフラフィン先発薬価効能差後発比較

ナルフラフィン先発後発比較

ナルフラフィン先発後発の基本情報
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先発品レミッチ

東レ製造のナルフラフィン塩酸塩製剤、薬価503.9円

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後発品

複数メーカーから発売、薬価234.2円から114.4円

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特許訴訟

史上最高額218億円の損害賠償判決が確定

ナルフラフィン先発レミッチ薬価効能特徴

ナルフラフィン塩酸塩の先発品である「レミッチ」は、東レ株式会社が製造販売する経口そう痒症改善剤です。レミッチカプセル2.5μgとレミッチOD錠2.5μgの2つの剤形があり、薬価はOD錠で503.9円/錠と設定されています。

先発品レミッチの最大の特徴は、オピオイドκ受容体の選択的アゴニストとして作用することです。この独特な作用機序により、従来の抗ヒスタミン薬抗アレルギー薬では効果不十分な難治性のそう痒症に対して効果を発揮します。

効能・効果は以下の患者におけるそう痒症の改善に限定されています。

臨床試験では、2.5μg投与群でプラセボ群と比較して有意なそう痒症改善効果が確認されており、副作用発現率は25.0%でした。主な副作用として不眠(7.1%)、眠気(4.5%)、便秘(2.7%)が報告されています。

ナルフラフィン後発品一覧価格比較表

現在、ナルフラフィン塩酸塩の後発品は複数のメーカーから発売されており、薬価に大きな差があります。以下に主要な後発品の一覧を示します。

メーカー 販売名 剤形 薬価(円)
キッセイ薬品 ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「キッセイ」 カプセル 234.2
シー・エイチ・オー新薬 ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「トーワ」 カプセル 234.2
ニプロ ナルフラフィン塩酸塩ODフィルム2.5μg「ニプロ」 ODフィルム 234.2
沢井製薬 ナルフラフィン塩酸塩OD錠2.5μg「サワイ」 OD錠 234.2
ビオメディクス ナルフラフィン塩酸塩カプセル2.5μg「BMD」 カプセル 114.4

先発品レミッチOD錠(503.9円)と比較すると、後発品は約53%〜77%の薬価となっており、医療費削減効果は significant です。特にビオメディクス製の後発品は114.4円と最も安価で、先発品の約23%の価格設定となっています。

後発品の生物学的同等性については、沢井製薬のOD錠で健康成人における生物学的同等性試験が実施されており、AUCtとCmaxの対数値の平均値の差の90%信頼区間が後発医薬品ガイドラインの基準内であることが確認されています。

ナルフラフィン特許訴訟218億円判決詳細

ナルフラフィン関連の特許訴訟は、医薬品業界で史上最高額となる218億円の損害賠償が言い渡された注目すべき事件です。2025年5月27日に知財高裁で判決が出されたこの訴訟は、東レ株式会社が特許権者として後発品メーカーを相手取って起こしたものでした。

争点の核心は、特許に記載された「ナルフラフィン(フリー体)」と実際の製剤に含まれる「ナルフラフィン塩酸塩」の関係でした。地裁では当初、後発品は非侵害との判断でしたが、知財高裁では東レ側の主張が認められる結果となりました。

この判決が業界に与える影響は以下の通りです。

  • 医薬品特許の解釈において前例のない高額賠償
  • 塩酸塩とフリー体の特許範囲に関する新たな判例
  • 後発品参入時期の慎重な検討が必要
  • 特許期間延長に関する解釈の変化

なお、慢性肝疾患患者における適応については、2022年11月21日まで特許が存在していたため、この分野での後発品開発には特に注意が必要でした。

ナルフラフィン透析患者そう痒症効果機序

ナルフラフィン塩酸塩が透析患者のそう痒症に効果を示す機序は、従来の治療薬とは全く異なるアプローチにあります。

作用機序の特徴:

  • オピオイドκ受容体選択的作動薬として作用
  • 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬とは異なる機序
  • G蛋白質偏向性アゴニストとしての特性

血液透析患者を対象とした国内第III相試験では、337例の既存治療抵抗性そう痒症患者に対して14日間の投与が行われました。Visual Analogue Scale(VAS)を用いた評価において、2.5μg群ではプラセボ群と比較して9.13mm(95%信頼区間:3.78-14.49mm、p=0.0005)の有意な改善が認められました。

透析との相互作用に関する注意点:

  • 血液透析開始までは十分な間隔をあける必要
  • 本剤は血液透析により除去される可能性
  • 腹膜透析では透析液交換までの間隔を考慮

長期投与試験(52週間)では、VAS値が投与前75.22±12.41mmから52週目30.87±25.92mmまで持続的に改善し、依存性や身体依存を示す症例は認められませんでした。

ナルフラフィン先発独自剤形設計技術

先発品レミッチの独自性は、単なる有効成分だけでなく、剤形設計技術にも現れています。東レが開発したレミッチには、通常のカプセル剤に加えて口腔内崩壊錠(OD錠)があり、この剤形は嚥下困難な患者や高齢透析患者にとって重要な選択肢となっています。

先発品の剤形技術的優位性:

  • 口腔内崩壊技術による服薬コンプライアンス向上
  • 透析患者特有の服薬タイミングへの配慮
  • 2.5μgという極少量の安定製剤化技術

後発品各社も同様の剤形を開発していますが、沢井製薬のOD錠では「水なしで服用する試験」を含む生物学的同等性試験が実施されており、先発品との同等性が確認されています。

興味深い点として、海外では疼痛管理への応用研究も進んでおり、ナルフラフィンアナログ24種類の構造活性相関研究では、より長い作用持続時間を持つ化合物の開発が報告されています。これは従来のオピオイド系鎮痛薬の依存性問題を回避する可能性のある新たなアプローチとして注目されています。

ナルフラフィンは日本で臨床使用されているκオピオイド受容体アゴニストとして、腎透析患者や慢性肝疾患患者のそう痒症治療において重要な役割を果たしており、市販後調査でも1186例中9.4%の副作用発現率で安全性と有効性が確認されています。

医療従事者向けの詳細な添付文書情報は以下で確認できます。

レミッチカプセル添付文書詳細 – CareNet医療用医薬品データベース

支払基金の統一見解による併用投与に関する取扱いについて。

ナルフラフィン塩酸塩と抗ヒスタミン剤併用の保険適用 – 社会保険診療報酬支払基金