内視鏡用硬化療法注入針の穿刺針と局注針
内視鏡用硬化療法注入針の定義と単回使用内視鏡用注射針
内視鏡用硬化療法注入針は、内視鏡下で消化管の患部(例:ポリープ、静脈瘤等)または近傍の粘膜下へ薬液を注入する目的で用いられる「単回使用内視鏡用注射針」という枠組みで整理すると理解が速いです。
PMDAに掲載されている単回使用内視鏡用注射針の添付文書では、内視鏡直視下で患部または近傍の粘膜下へ薬液を注入する滅菌済み・単回使用製品であることが明記されています。
つまり「硬化療法注入針」という呼び方は、臨床目的(硬化療法)を前面に出した表現であり、器具分類としては“内視鏡用注射針(局注針)/穿刺針”の仕様選定が実務の中心になります。
実務上は、次の言葉を同一線上に並べると混乱が減ります。
- 局注針:粘膜下局注(EMR/ESD前の生食局注など)に使われることが多いが、止血・硬化療法用途も包含しうる概念。
参考)https://www.bostonscientific.com/jp-JP/products/injection-needle.html
- 穿刺針:穿刺して注入する機能を強調した表現で、硬化療法(EIS)領域では「静脈瘤穿刺針」と呼ばれやすいです。
- 内視鏡用硬化療法注入針:用途(硬化療法)に最適化した針・チューブ剛性・流量などの設計思想を含む言い回しで、製品選定では針径・突出長・チューブ長・鉗子口径適合が最重要です。
内視鏡用硬化療法注入針の仕様(針径・突出長・鉗子口径)とJIS
添付文書のレベルで確認できる仕様として、針外径(例:22G/25G)、突出長(例:4.0mm/6.0mm)、有効長(例:上部用1800mm、下部用2300mm)、カテーテル外径、適合鉗子口径(例:2.2mm以上)などが具体的に示されます。
この「鉗子口径適合」は軽視されがちですが、適合しない内視鏡の使用は器具・内視鏡の損傷リスクに直結するため、使用前確認として添付文書でも明確に注意喚起されています。
また、内視鏡用穿刺針の製品添付文書ではJIS T 3235(内視鏡用せん(穿)刺針)準拠がうたわれ、用途として「消化器の粘膜下に薬液を注入」することが示されています。
針径・突出長の「選び方」は、単なる好みではなく“狙う層”で決めるのが原則です。
- 針径(G):細いほど穿刺抵抗・リークは減り得る一方、粘稠な薬液や高い注入圧が必要な場面では注入抵抗が問題になりやすいです(流量設計を含む製品差が出ます)。
- 突出長:短いほど穿孔リスクを下げやすい一方、狙った層へ確実に届かないと「思ったより浅い局注」になり、薬液分布が不十分になることがあります(とくに静脈瘤・粘膜下で狙う層が違う場面で差が出ます)。
- 有効長:上部・下部で必要長が違い、長いほど取り回しや抵抗感も変わるため、施設のスコープ構成(鉗子口径、湾曲特性)とセットで標準化すると安全です。
内視鏡用硬化療法注入針の使用手順と警告(視野・収納・抜去)
内視鏡用注射針の添付文書で繰り返し強調されるのが「視野が確保されている状態で挿入・操作する」「挿入/抜去時は針をカテーテル内に収納する」という2点です。
視野外での操作は、組織損傷・穿孔・出血・感染・器具破損につながり得るため、先端が視野内に入ってから突出・穿刺・注入を行うことが明記されています。
さらに、抵抗を感じたら無理に押し込まず、内視鏡のアングルをできるだけ戻す、医療用潤滑剤で挿入性を改善する、といった“現場で起きるトラブル”を想定した注意が具体的に書かれています。
実装しやすい形に落とすと、手技は次のチェックで事故率が下がります。
- ✅ 挿入前:包装・滅菌・有効期限、適合鉗子口径、針の曲がり/折れ、カテーテルの潰れ/キンクを確認。
- ✅ 挿入時:針は必ず収納、視野が確保できてからゆっくり進める(2~3cmずつ慎重に送るというレベルの具体性が推奨されています)。
- ✅ 注入前:シリンジ接続の確実化(ルアーロック等)、先端から薬液が出ることの確認。
- ✅ 注入後:リリース操作で針を完全に収納→抵抗が強い場合は無理に引かず、一体抜去も検討(添付文書に記載)。
意外に盲点なのが「勢いよく抜去しない」ことです。血液や粘液の飛散による感染リスクとして明文化されており、感染対策の観点でも“ゆっくり抜く”は手技の質の一部です。
内視鏡用硬化療法注入針とEIS(食道静脈瘤)の硬化剤・バルーン・合併症
食道静脈瘤に対するEISでは、内視鏡先端に装着したバルーンを膨らませて血流を遮断し、静脈瘤穿刺針から硬化剤を注入する、という流れが一般的に説明されています。
硬化剤は血管内注入用(例:EO)と血管外注入用(例:AS)を使い分ける、という整理が患者向け情報の中でも具体的に触れられており、針操作は“血管内/外”の狙いで要求精度が変わります。
また、硬化療法(EIS)では硬化剤が他臓器に流れることで腎機能障害・肺塞栓・脳梗塞等の合併症を起こし得るため、透視下で過剰投与に注意しつつ適量を見極める必要があると説明されています。
ここで針の役割を「合併症予防」まで広げて考えると、ポイントは3つです。
- 🎯 血管内に入った確信を持って注入する:穿刺の手応えだけでなく、透視・造影・逆血・抵抗感など施設の手順で“血管内判定”を統一すると、無駄な注入や血管外漏出を減らせます。
- 🧯 バルーン・遮断の意味を理解する:血流遮断は硬化剤の滞留・効果発揮に寄与し得るため、針の刺しやすさだけでなく「遮断下で狙う角度」を術者間で合わせると再現性が上がります。
- 🧱 合併症の“針起点”を潰す:穿孔・出血・感染は、視野不良での突出、過度な押し付け、抜去時収納不全など、器具操作の基本でかなりの割合が回避可能と添付文書が示唆しています。
参考(EISの概要とバルーン遮断の説明)。
EISでバルーンを膨らませて血流を止める流れ(手技の大枠)
食道・胃静脈瘤に対する内視鏡治療|和歌山県立医科大学 中央内…
参考(EISの合併症と投与量・透視確認の重要性)。
硬化剤が他臓器へ流れるリスクと、透視で過剰投与に注意する必要

内視鏡用硬化療法注入針の独自視点:端子材質と薬液相互作用と破損予防
検索上位の記事では「手技の流れ」や「EIS/EVLの違い」が中心になりやすい一方で、現場のインシデントに直結するのが“端子材質と薬液の相互作用”です。
ある内視鏡用穿刺針の添付文書では、端子にポリカーボネートを使用していること、油性造影剤やエタノール注入の際に端子のひび割れに注意すること、過度な締め付けや増し締めがひび割れを助長する要因になり得ることが明記されています。
さらに同文書では、製品として「内視鏡的硬化療法に使用しないこと(油性造影剤により本品が破損するおそれ)」という強い警告があり、硬化療法“だから”どの注入針でもよいわけではない現実を示しています。
この視点をチーム運用に落とすと、意外に効果が高い対策は次のとおりです。
- 🔧 シリンジ接続は「確実に固定」だが「過剰に締めない」:ルアーロックは漏れ防止に有効でも、締めすぎが破損リスクになり得るため、接続トルクの感覚をスタッフ教育で揃えます。
- 🧪 “硬化剤/造影剤/エタノール”は針の添付文書で適否が割れる:手技名で選ぶのではなく、実際に流す薬液(溶媒、粘度、溶剤性)で適合を確認します。
- 🧯 破損が起きた時の撤退手順を先に決める:針が戻らない場合の手動収納、手動でも戻らない場合の慎重抜去、強い抵抗時は内視鏡と一体抜去、といった“詰んだ時の分岐”が添付文書に書かれているため、術前に共有するとパニックが減ります。
参考(内視鏡用注射針の添付文書:視野確保、収納、仕様、禁忌など安全情報の要点)。
内視鏡用注射針の警告・禁忌・仕様・使用方法がまとまっている
参考(内視鏡用穿刺針の添付文書:材質、相互作用、ひび割れ注意、操作上の注意)。
端子材質と油性造影剤・エタノール等の注意、挿入/抜去・突出操作の注意