脈絡膜硬化症
<% index %>
脈絡膜硬化症の概要と網脈絡膜萎縮
脈絡膜硬化症という言葉は現場で使われる一方、患者説明や紹介状では「脈絡膜が薄い」「脈絡膜が萎縮している」など、所見寄りの表現に置き換えられることが少なくありません。近視性網脈絡膜萎縮のように、強度近視を背景に網膜と脈絡膜が萎縮して機能が低下していく病態は、臨床的には“脈絡膜の菲薄化・萎縮”を中心に理解すると整理しやすいです。
網脈絡膜萎縮は「網膜と脈絡膜が傷んで正常の機能を果たさなくなった状態」と説明され、強度近視に伴う代表例として、びまん性萎縮(diffuse atrophy)と斑状萎縮(patchy atrophy)のパターンが提示されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/797753f23ec33eeb10221dad83aa36b19e008f0b
この“萎縮パターン”の把握は、単に診断名を付けるためではなく、黄斑に及ぶリスクや視野欠損の説明、今後のフォロー設計(どの検査を、どれくらいの頻度で)に直結します。semanticscholar+1
脈絡膜硬化症を「動脈硬化の眼底版」として短絡すると、網膜動脈硬化や高血圧性変化(網膜細動脈の変化)と混線しやすい点が注意点です。脈絡膜(後極の血流・外網膜栄養)と、網膜血管(内網膜循環)を意識して、どの層・どの血管が主座なのかを言語化するだけで、紹介・逆紹介の質が上がります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/008ffea099307738339f0bb452f17512ee1569d6
脈絡膜硬化症の眼底検査と脈絡膜血管の透見
眼底写真で「脈絡膜の血管が透けて見える」という所見は、強度近視に伴う近視性網脈絡膜萎縮の例として具体的に示されており、黄斑部から視神経乳頭にかけて脈絡膜血管に沿った黄白色の変化として観察されています。
この“透見”は、脈絡膜や網膜色素上皮側の菲薄化を示唆する視覚的サインとして説明しやすく、健診での指摘(「眼底異常」)から専門受診につなぐ際の共通言語にもなります。
びまん性萎縮は境界がはっきりしない広い変化として、斑状萎縮は斑状に白く変化する所見として提示されており、同一患者の左右眼でパターンが異なる例も示されています。
左右差や病変分布の違いは、単なる“進行度”だけでなく、生活上の困りごと(読書、運転、段差など)にどう結びつくかの問診にも影響します。
また、萎縮部位に対応して視野が欠損しうる点、そして黄斑部へ進行すると視力低下につながる点は、患者説明で最も重要なメッセージです。
患者が「片目が見えるから大丈夫」と感じている場合でも、両眼で進行し得ること、視力だけでなく視野欠損が日常生活に影響し得ることを具体例で伝えると受診継続につながります。
脈絡膜硬化症とOCTと黄斑
眼底検査で萎縮が疑われる場合、より詳しく調べるためにOCT(光干渉断層計)が用いられることがあり、近赤外線で網膜の断層画像を撮影して網膜の状態を鮮明に捉えられる、と整理されています。
脈絡膜硬化症というラベルにこだわるよりも、「黄斑が障害されているか」「萎縮がどの層まで及ぶか」「中心窩周囲の構造が保たれているか」といった、視機能に直結する情報へ翻訳するのが実務的です。
近視性網脈絡膜萎縮は、黄斑が障害されるまで自覚症状が出ないことがある一方、黄斑が障害されると視力低下を自覚し、進行すると失明に至ることがある、と説明されています。
この「無症状期があり得る」という特徴は、健診で偶然見つかった患者のフォローを組み立てる際に重要で、病状説明では“今困っていない=放置でよい”ではないことを丁寧に言語化する必要があります。
一方で、萎縮した網膜や脈絡膜を再生させる根本治療は現時点でない、という前提も明示されています。semanticscholar+1
だからこそ、OCTは「治すため」だけでなく、「黄斑の巻き込みを早期に捉える」「見え方の変化を構造と結びつける」「患者の納得感を上げる」ための検査として位置づけると、説明の筋が通ります。
参考:疾患の概要(原因・症状・検査・治療がまとまっている)

脈絡膜硬化症の原因と強度近視と眼軸長
近視性網脈絡膜萎縮の背景として、眼球が前後方向に伸びる(眼軸長が延長する)ことで網膜と脈絡膜が引き伸ばされ、薄くなり、栄養が届きにくくなって萎縮すると考えられている点が整理されています。
さらに、強度近視は屈折力だけでなく眼軸長が関与し、眼軸の延長に伴って強膜の変形が起こり、その内側の脈絡膜や網膜が引き伸ばされて障害される、という説明も提示されています。
臨床的には「強度近視=屈折が強い」よりも、「強度近視=眼球が構造的に引き伸ばされている可能性が高い」という視点が重要です。semanticscholar+1
この視点を持つと、眼底所見の説明が“血管が悪い”から“組織が薄くなっている”へ変わり、患者のセルフケア(近視進行対策、定期受診、症状出現時の受診)にもつながりやすくなります。
また、強度近視の目安として、度数が−6.0Dを超える状態が挙げられ、進行により網膜や脈絡膜、視神経などが引き伸ばされてさまざまな眼疾患が生じる状態を病的近視と呼ぶ、と説明されています。
「脈絡膜硬化症」という言葉を使う場面でも、背景が強度近視なのか、別の全身要因(高血圧など)が疑われるのかを分けて記載すると、次に診る医療者が迷いにくくなります。
脈絡膜硬化症の独自視点:説明文テンプレと紹介状
検索上位の一般向け解説は「原因・症状・検査・治療」を一通り述べる構成が多い一方、医療現場で差が出るのは“説明の言葉選び”と“紹介状での要点抽出”です。
そこで、脈絡膜硬化症(あるいは脈絡膜萎縮が疑われる所見)を伝える際に、眼底所見→機能→次のアクションの順に固定すると、患者にも医療者にも伝わりやすくなります。
例えば患者説明では、以下のように短文で組み立てると誤解が減ります(必要に応じて言い回しを調整)。semanticscholar+1
- 📷「眼底で、脈絡膜の血管が透けて見える部分(萎縮)が確認できます。」
- 👁️「今は症状がなくても、黄斑に広がると視力低下や視野欠損が出ることがあります。」
- 🧾「眼底検査に加えてOCTで断層を確認し、黄斑の状態を定期的に見ていきます。」
紹介状・診療情報提供書では、病名ラベルより“所見の具体”が役に立ちます。semanticscholar+1
- 「近視性網脈絡膜萎縮疑い:脈絡膜血管透見、黄斑〜乳頭周囲の黄白色変化、びまん性/斑状萎縮の印象」など、観察した所見をそのまま書く。
- 「自覚症状の有無(視力低下、視野欠損)」「OCT実施の有無と黄斑所見」を添える。
参考:眼底写真での“透見”やびまん性/斑状萎縮の具体例がある(所見の言語化に役立つ)