脈絡膜ヘルニア と OCT と 脈絡膜肥厚

脈絡膜ヘルニア と OCT

脈絡膜ヘルニア と OCT:臨床の要点
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まず「病名の扱い」を確認

脈絡膜ヘルニアはICD-10上「脈絡膜のその他の明示された障害(H31.8)」に含まれる表記で、病名入力やレセプト・統計で出会いやすい一方、日常診療の会話では別名・近縁概念で語られることがあります。

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OCTは「形」を固定する

OCTは網膜・RPE・脈絡膜の位置関係を断層で示せるため、「陥凹」「突出」「連続性」「牽引」などの形態学的な論点を、診療録や紹介状で再現性高く共有できます。

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鑑別はパキコロイドも意識

脈絡膜肥厚や脈絡膜血流うっ滞(渦静脈のリモデリング)を背景とするパキコロイド関連疾患では、OCT/OCTAやICG所見の読み合わせが診療の質を左右します。


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脈絡膜ヘルニア の ICD10

医療者が最初に押さえるべき実務ポイントは、「脈絡膜ヘルニア」という表記が、ICD-10分類上はH31.8(脈絡膜のその他の明示された障害)に載っている、という点です。

このため、紹介状や返書で患者が持参する「病名一覧」「会計明細」「院内統計」などに“脈絡膜ヘルニア”が出現しても、臨床的には“どの形態・どの病態を指しているか”を再確認する必要があります。

特に眼底疾患は「症候(所見)」「疾患概念(スペクトラム)」「コード上の便宜的病名」が混在しやすく、コードだけで病態を固定すると、治療適応やフォロー間隔の判断を誤るリスクがあります。

脈絡膜ヘルニア の OCT 所見

OCTの価値は、眼底写真では推測になりがちな網膜色素上皮(RPE)と脈絡膜の位置関係を、断層構造として“見える化”できる点にあります。

後眼部OCTの総説では、脈絡膜からRPE下や感覚網膜下にかけての高反射塊や、状況によりRPEの断裂部が観察できることが述べられており、形態評価が診断の土台になることが分かります。

「脈絡膜ヘルニア」を疑う場合も、OCTで①境界(連続性)、②牽引・裂隙、③周囲の網膜下液やRPE変化の有無をセットで記録し、単なる“名称”ではなく“形態学的現象”として共有するのが安全です。

脈絡膜ヘルニア と 脈絡膜肥厚

脈絡膜肥厚は、中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)などで注目される所見で、近年はpachychoroid(パキコロイド)という枠組みで整理されることが増えています。

群馬大学の解説では、パキコロイドは脈絡膜外層血管(渦静脈)の拡張を伴う脈絡膜肥厚を指し、En face OCTなどマルチモーダルイメージングの進歩で渦静脈の吻合(分水嶺を跨ぐ連結)が多く観察される、とされています。

さらに、CSC/PNV/PCVでは黄斑部で上下の渦静脈吻合が90%以上の症例で確認された一方、正常眼では約40%だったという記載があり、脈絡膜うっ滞→側副血行路リモデリングという見方が示されています。

脈絡膜ヘルニアを「局所の形態異常」として見る際にも、背景に脈絡膜循環(うっ滞・肥厚・血管透過性)という“場”があるかどうかを評価することで、経過観察の説明や再発リスクの見立てが立てやすくなります。

脈絡膜ヘルニア と 中心性漿液性脈絡網膜症

中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)は、黄斑部に網膜剥離(網膜下液の貯留)が生じ、30~50代の男性に多い、と日本眼科医会の疾患解説で述べられています。

また、CSCでは脈絡膜側の血管透過性亢進などが関与するという説明が一般向け解説でも繰り返し示されており、脈絡膜を「原因側」として捉える視点が診療現場に浸透しています。

この文脈で「脈絡膜ヘルニア」という言葉が出てきた場合、CSCやパキコロイド関連病態と同時に語られていないか(=“脈絡膜の構造変化が強いケース”としてまとめられていないか)を確認し、蛍光眼底造影やOCT/OCTAの所見に立ち返るのが実務的です。

脈絡膜ヘルニア の 独自視点:説明文と紹介状

検索上位の解説は「病気の説明」や「治療」中心になりやすい一方、医療従事者が困りやすいのは“病名の言い換え”と“所見の翻訳”です。

脈絡膜ヘルニアという表記が来たとき、紹介状(あるいは院内カルテ)では、最低限つぎの3点を同じ段落に書くと、受け手の解釈がブレにくくなります:

・🔎 どの検査でそう呼んだか(OCT/眼底写真/造影など)

・🧩 構造の説明(RPE・網膜下液・脈絡膜肥厚の有無など)

・🕒 経過の軸(急性か、慢性か、CSC既往やステロイド使用歴の有無など)

患者説明では、「“ヘルニア”という言葉=必ず手術」ではないことを先に伝え、OCT画像を指しながら“ふくらみ・へこみ”のどちらなのか、液体の貯留があるのか、今後の観察目的は何かを短文で言語化すると、過度な不安を抑えやすくなります。

(病名コードの根拠・分類の参考)

ICD-10での「脈絡膜ヘルニア(H31.8)」の掲載:

参考)http://www.byomei.org/Scripts/ICD10Categories/default2_ICD.asp?CategoryID=H31.8

(脈絡膜循環・パキコロイド背景の参考)

パキコロイドにおける渦静脈吻合、うっ滞とリモデリングの説明(En face OCT等):

参考)術前診断し腹腔鏡補助下に整復したS状結腸間膜内ヘルニアの1例

(CSCの基礎説明の参考)

中心性漿液性脈絡網膜症の疫学・病態の概説(日本語):

参考)https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=51


黄斑に起こる中心性漿液性脈絡網膜症の概要(好発年齢・症状の説明)
パキコロイドの渦静脈吻合と脈絡膜うっ滞(病態の考え方と画像評価の要点)
ICD-10分類H31.8における「脈絡膜ヘルニア」のコード上の位置づけ