無菌操作とクリーンベンチの基本
無菌操作クリーンベンチの原理と構造
クリーンベンチは、HEPAフィルターを通した清浄空気を庫内に供給し、微生物やホコリの混入を防ぐ装置です 。内部を陽圧に保つことで、外部からの汚染物質の侵入を効果的に遮断します 。
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HEPAフィルターは0.3μmの微粒子を99.97%以上の効率で除去する高性能フィルターであり、細菌やウイルスといった病原体も確実に捕捉します 。この技術により、医薬品調製や細胞培養などの高度な清浄度が要求される作業環境を実現できます 。
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垂直層流型と水平層流型の2つの基本構造があり、作業内容に応じて選択されます。垂直層流型は天井から床に向かって空気が流れ、水平層流型は背面から前面に向かって空気が流れる設計となっています 。
参考）https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/40/1/40_77/_pdf
無菌操作における安全キャビネットとの違い
クリーンベンチと安全キャビネットは用途と安全性において明確な違いがあります。クリーンベンチは「コンタミネーション防止」を主目的とし、内部を陽圧に保ちサンプルを保護しますが、排気にはフィルターがないため試料の漏出リスクが存在します 。
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安全キャビネットは「作業者・環境・試料の相互保護」を目的とし、内部を陰圧に保ち、給気・排気の両方にHEPAフィルターを設置しています 。そのため病原体や遺伝子組み換え生物の取り扱いには安全キャビネットが必須となります 。
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クラスⅡ以上の安全キャビネットであれば無菌操作も可能ですが、一般的な無菌操作にはクリーンベンチで十分な効果が得られます 。医療現場では処置内容に応じて適切な装置を選択することが重要です 。
参考）https://www.ikedarika.co.jp/ikeda_bureau/contents/clean_bench202503.html
無菌操作クリーンベンチの準備手順
クリーンベンチを使用する際は、使用1時間前からUVランプを点灯させて庫内の殺菌を行います 。254nmの紫外線は強力な殺菌効果を持ち、表面に付着した微生物を効果的に死滅させます 。
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UVランプ消灯後は、作業用ライトとファンのスイッチを入れ、ドアを20cm程度開けて5分間稼働させます 。この手順により庫内の空気循環を確保し、清浄環境を整備します 。
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エタノールやベンザルコニウム塩化物液などの消毒剤をベンチ内全体に吹き付け、紙ワイパーや滅菌ガーゼで拭き取ります 。70%エタノールは最も効果的な濃度であり、無水エタノール100mLに対し水道水42.8mLを加えることで調製できます 。
参考）https://media.oat-agrio.co.jp/research/39
無菌操作における作業者の準備要件
作業者は衛生学的手洗いを実施し、速乾性アルコール消毒薬による手指消毒を行います 。目に見える汚染がある場合は石鹸と流水による手洗いを第一選択とし、その後にアルコール消毒を実施します 。
爪を短く切り、手から肘にかけて70%エタノールで消毒します 。マスクとキャップを着用し、必要に応じて未滅菌手袋を装着して準備作業を行います 。
清潔区域の作成には滅菌ドレープを使用し、鑷子や鉗子で内側に触れないよう注意しながら展開します 。滅菌包の開封時は外側をめくるように開き、内側の清潔部分への接触を避けることが重要です 。
無菌操作クリーンベンチのメンテナンス要点
クリーンベンチの定期的なメンテナンスは清浄度維持に不可欠です。HEPAフィルターの詰まりによる風速低下は清浄効果を減少させるため、定期的な風量測定と交換が必要となります 。
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クリーンルーム内での使用では高度な清浄度が要求されるため、法定点検は不要でも年1回の専門業者による清浄度確認が推奨されます 。吹き出し風速の測定により一定以上の風量があることを確認し、機器の性能維持を図ります 。
参考）https://www.ncvc.go.jp/wp-content/uploads/20220823_shiyousho_kai_cabinet.pdf
UVランプは人体や細胞に有害であるため直視を避け、プラスチック劣化防止のため1時間程度で消灯することが重要です 。使用後は庫内を消毒剤で清拭し、殺菌灯を点灯させて次回使用に備えます 。