mrsa結膜炎 治療 点眼戦略
mrsa結膜炎 治療 の基本方針とガイドラインの位置づけ
MRSA結膜炎は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による結膜の感染症であり、基礎疾患や長期入院、既往の抗菌薬曝露などを背景に日和見感染として発症することが多いと報告されています。
日本眼科学会「感染性角膜炎診療ガイドライン」では、MRSAやMRSEが起炎菌と診断された場合にクロラムフェニコール点眼や自家調整バンコマイシン点眼・眼軟膏などの選択が言及されており、通常のブドウ球菌性結膜炎よりも抗菌薬選択に慎重な姿勢が求められています。
ガイドラインは主に角膜炎を対象としていますが、MRSA結膜炎でも「起炎菌に応じた適切なスペクトラムの局所薬」「耐性菌出現を抑えるための投与期間・頻度の最適化」という原則は共通であり、重症化や角膜浸潤を伴う例では角膜炎の章の推奨を準用して治療強度を調整することが実臨床では多くなります。
日本眼科学会の感染性角膜炎診療ガイドライン(MRSA・MRSEへの局所薬選択や投与方法の詳細)
mrsa結膜炎 治療 における点眼薬選択と頻度調整
感染性角膜炎診療ガイドラインでは、軽症例には1剤、重症例には作用機序の異なる2剤の抗菌点眼薬を使用することが推奨されており、黄色ブドウ球菌が疑われる場合はフルオロキノロン系にセフェム系を加えるなどのレジメンが例示されています。
MRSAやMRSEが起炎菌と診断された場合、クロラムフェニコール点眼は保険適用がありますが静菌的であり、自家調整のバンコマイシン塩酸塩点眼より効果は劣るとされるため、角膜浸潤を伴う重症例ではバンコマイシン眼軟膏1%や高頻度点眼を含む積極的な局所療法が検討されます。
ガイドラインでは点眼回数について、重症例や流涙が強い症例では30分〜1時間ごとの頻回点眼も選択肢に入る一方で、post-antibiotic effect(PAE)を考慮し薬剤ごとに至適間隔を調整するよう求めており、単に「効かないから回数を増やす」という発想ではなく、薬力学に基づいた調整が重要とされています。
mrsa結膜炎 治療 におけるフルオロキノロン系長期投与の落とし穴
国内の調査では、フルオロキノロン系点眼の長期投与や同系統への偏った依存が問題とされており、MRSAを含む耐性菌の選択的増加との関連が指摘されています。
「その結膜炎は本当に感染か?」という抗菌薬適正使用の啓発資料では、非感染性結膜炎に対して惰性的にニューキノロン点眼を継続することが、MRSA結膜炎など耐性菌感染の土壌となりうることが強調され、実際に長期のキノロン点眼でMRSAが増加した例が報告されています。
また、薬剤感受性検査で一見耐性と判定された薬剤でも、頻回点眼によって結膜囊内濃度を高く維持できれば臨床的には有効な場合があるとされており、「感受性結果だけを根拠にすべてのキノロン系を中止し強力な抗MRSA薬に一気に切り替える」のではなく、臨床経過・局所濃度・既往投与期間を総合的に判断する必要があります。
抗菌薬点眼の使いすぎとMRSA増加リスク、非感染性結膜炎との鑑別の重要性について解説した資料
mrsa結膜炎 治療 とバンコマイシン・クロラムフェニコールの位置づけ
MRSA感染に対しては、クロラムフェニコール点眼およびバンコマイシン眼軟膏1%などが使用可能であり、日本のガイドラインではMRSAやMRSEが起炎菌と診断された感染症に対する適応や保険上の取り扱いが明記されています。
クロラムフェニコール点眼はMRSAに対しても適応があるものの静菌的であり、短い接触時間での菌増殖抑制効果は低く頻回点眼が必要とされる一方、バンコマイシン点眼・眼軟膏は自家調整製剤として高い抗MRSA活性を示し、重症角膜炎や結膜炎では前者より優れた臨床効果が期待できると述べられています。
ただし、バンコマイシン眼軟膏1%は上市後、厳重な管理のもとで使用が行われていると報告されており、耐性化リスクや他部位でのバンコマイシン必要症例への影響を考慮して、培養・感受性検査による起炎菌確定や、点眼以外の全身抗MRSA薬(バンコマイシン、リネゾリドなど)の適正使用も感染症科と連携しながら判断することが望まれます。
MRSA感染症全般におけるバンコマイシン・リネゾリドなど抗MRSA薬の位置づけと基本的な使い方
mrsa結膜炎 治療 とステロイド・全身治療の意外な落とし穴
感染性角膜炎診療ガイドラインでは、強い前房炎を伴う重症例では点滴併用が必要な場合があるとされ、角膜炎を合併したMRSA結膜炎では、局所点眼・眼軟膏に加え全身の抗菌薬投与を併用することも検討されていますが、全身バンコマイシンなどの使用は他部位感染や腎機能への影響も含め慎重なモニタリングが不可欠です。
眼科領域ではステロイド点眼が局所免疫を低下させMRSAやMRSEによる角膜炎・結膜炎の誘因となることが知られており、特に長期のステロイド・キノロンの併用は、初期の軽微な結膜炎像の背後に耐性菌が潜んでいる可能性を高めるため、「ステロイドで炎症を抑える前に必ず感染性の有無を評価する」というプロセスが重要とされています。
一方で、検査室レベルで耐性を示す薬剤でも頻回点眼により臨床的効果が得られる可能性があることや、ニューキノロン系点眼の偏重を是正する必要性が複数の報告で指摘されており、「培養結果だけでステロイドを全否定する」あるいは「感受性表だけを頼りに全身抗MRSA薬へ直行する」といった極端な対応は避け、病勢・角膜浸潤の有無・全身状態を踏まえたバランスのよい治療設計が求められます。
MRSA・MRSEを含む難治細菌性角膜炎に対する局所・全身治療の実際と注意点