もやもや病手術費用と保険適用の全知識

もやもや病手術費用と治療の実際

もやもや病の手術費用のポイント
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基本的な手術費用

バイパス手術の自己負担額は15万円から30万円程度(3割負担の場合)で、入院期間は2週間から1ヶ月が標準的です

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高額療養費制度の活用

年収に応じて自己負担額の上限が設定されており、8万円から30万円の範囲で負担が軽減されます

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難病医療費助成制度

もやもや病は指定難病として認定されており、申請により医療費の自己負担額がさらに軽減可能です

もやもや病の手術費用の内訳と相場

もやもや病の手術治療にかかる費用は、手術方法や入院期間によって異なりますが、保険診療での自己負担額は15万円から30万円程度が一般的な目安になります。この金額は3割負担の場合で、入院期間は通常2週間から1ヶ月程度です。

参考)もやもや病 – 脳・神経疾患


具体的な費用の内訳を見ると、手術前の検査費用としてMRI検査が1万5000円から3万円、脳血管造影が4万5000円から6万円程度かかります。これらの検査は手術適応を判断するために必須で、もやもや病の診断確定には特に脳血管造影が重要な役割を果たします。

参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000157774.docx


手術後も継続的な薬物療法が必要になるケースが多く、抗血小板薬は月額3000円から8000円、血圧降下薬は月額2000円から5000円程度の費用がかかります。長期的な治療を見据えると、これらの維持費用も考慮に入れておく必要があります。​
バイパス手術の診療報酬点数から計算すると、手術そのものの医療費総額は数十万円から100万円を超えることもありますが、高額療養費制度を利用することで実際の自己負担額は大幅に抑えられるんです。

参考)入院費用について

もやもや病の直接バイパス術と間接バイパス術の費用比較

もやもや病の手術には直接バイパス術と間接バイパス術の2種類があり、それぞれ手術の難易度や効果の発現時期が異なります。

参考)もやもや病の手術の難易度と成功率とは?入院期間や寿命への影響…


直接バイパス術は、浅側頭動脈と中大脳動脈を顕微鏡下で直接縫い合わせる方法で、手術直後から血流改善効果が期待できます。この手術は4時間から6時間に及ぶ高度な技術を要する手術で、血管外科医の豊富な経験が必要とされます。京都大学医学部附属病院など専門施設では年間40例から50例という国内トップクラスの症例数を誇り、確立された治療法として安全に実施されています。

参考)https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis02/


一方、間接バイパス術は血流の豊富な頭皮の組織や筋肉を脳表面に移植して、新しい血管の自然成長を促す方法です。この手術は身体への負担が比較的少ないという利点がありますが、効果が現れるまでに1ヶ月から3ヶ月程度の時間を要します。特に成人では間接バイパス術の成功率が小児に比べて低いことが知られており、患者さんの3分の2程度でしか有効な効果が期待できないという報告もあります。

参考)もやもや病 | 秋田県立循環器・脳脊髄センター


費用面では、どちらの手術方法を選択しても保険診療での自己負担額に大きな差はありません。むしろ患者さんの年齢や血管の状態、病状の進行度合いによって最適な手術方法が選択されます。小児の場合は直接バイパス術に間接バイパス術を組み合わせた複合バイパス術が行われることもあり、より高い治療効果が期待できるんです。

参考)もやもや病(指定難病22) href=”https://www.nanbyou.or.jp/entry/209″ target=”_blank”>https://www.nanbyou.or.jp/entry/209amp;#8211; 難病情報センター

もやもや病における高額療養費制度の適用範囲

高額療養費制度は、医療費の自己負担額が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。この制度を利用することで、もやもや病の手術費用の経済的負担を大幅に軽減できます。​
制度の適用を受けるには、年齢と年収によって自己負担額の上限が異なります。70歳未満の方の場合、年収約370万円から770万円の一般所得層では月額の自己負担限度額が約8万円から9万円程度に設定されています。年収約770万円から1160万円の方は約17万円、年収約1160万円以上の高所得層では約25万円が上限となります。

参考)手術費用について – 当院について – ニューハート・ワタナ…


事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、医療機関の窓口での支払いが最初から自己負担限度額までに抑えられるため、一時的な高額の支払いをする必要がなくなります。この認定証は加入している健康保険の窓口で申請できるので、手術が決まったら早めに手続きをしておくことをおすすめします。​
もやもや病の手術は計画的に実施されることが多いため、入院前にこの制度の準備をしておけば安心です。また、同一世帯で複数の方が医療費を支払っている場合は、世帯合算という仕組みも利用できます。​
参考情報として、高額療養費制度の詳細は新古賀病院の入院費用案内で確認できますよ。

もやもや病の難病医療費助成制度による費用軽減

もやもや病は国が指定する指定難病(指定難病22)として認定されており、一定の条件を満たせば難病医療費助成制度の対象となります。この制度は高額療養費制度とは別に適用され、さらなる医療費の軽減が可能です。

参考)https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/moyamoyasupportcenter/content/josei/


制度の申請には、もやもや病専門外来医師または難病指定医の資格を持つ主治医が作成する診断書(臨床調査個人票)が必要になります。申請に必要な書類は診断書のほか、申請書、保険証のコピー、住民票のコピーなどで、これらを都道府県に提出します。審査で認定されると「特定医療費(指定難病)受給者証」が交付され、医療費の補助が受けられるようになるんです。​
重症度の判定基準として、手術適応者および術後5年間以内の手術患者は症状の有無にかかわらず重症患者として扱われます。虚血発症例、出血発症例、SPECTやPETで脳循環代謝の障害が認められる症例、出血リスクを示す所見が認められる症例などが手術適応となります。

参考)https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001173459.pdf


また、18歳未満のお子さんの場合は「小児慢性特定疾病医療費制度」も適用されるため、さらに手厚い支援を受けられます。受給者証の有効期限は1年間なので、毎年更新手続きが必要になる点は注意が必要です。​
医療費助成制度について詳しく知りたい方は、京都大学医学部附属病院のもやもや病医療費助成制度の案内を参考にしてください。

もやもや病の入院期間と検査費用の詳細

もやもや病の診断から手術、退院までには複数の段階があり、それぞれの段階で費用が発生します。診断確定のための検査は医療費助成を受けるためにも重要なプロセスです。

初診時の検査として、まずMRIとMRAによる画像診断が実施されます。1.5テスラ以上の静磁場強度の機種を用いたMRIおよびTime of Flight法によるMRAで、内頚動脈終末部の狭窄やもやもや血管の所見を確認できます。ただし、片側性病変や動脈硬化を合併する病変の場合には、確定診断として脳血管造影が必須となります。​
脳血管造影検査は4万5000円から6万円程度の費用がかかりますが、もやもや病の診断には欠かせない検査です。この検査では、頭蓋内内頚動脈終末部を中心とした領域の狭窄や閉塞、動脈相においてもやもや血管が明確に観察されます。​
手術適応の判断には、脳循環予備能の評価も重要になります。SPECTやPETなどの検査で安静時と負荷時の脳血流を比較することで、脳循環代謝の障害の程度を評価し、手術の必要性が判断されます。

参考)https://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/21_04_10.html


入院期間中の費用には、手術費用だけでなく入院基本料、食事代、差額ベッド代(個室を希望した場合)などが含まれます。標準的な2週間から1ヶ月の入院で、総額は15万円から30万円程度の自己負担となりますが、病状や合併症の有無によって変動することがあります。​

もやもや病手術後の継続費用と経済的計画

もやもや病の治療は手術だけで完結するわけではなく、術後も長期的な経過観察と薬物療法が必要になります。経済的な計画を立てる上では、これらの継続費用も考慮に入れることが大切です。

術後の薬物療法では、抗血小板薬が中心となります。アスピリンやシロスタゾールなどの薬剤により血栓形成を予防し、月額3000円から8000円程度の費用がかかります。血圧降下薬が必要な場合は月額2000円から5000円、抗てんかん薬を服用する場合は月額3000円から1万円程度が追加されます。​

手術後の経過観察には定期的な画像検査も含まれます。MRI検査を年に1回から2回程度実施し、バイパス血管の開存状態や新たな脳梗塞・脳出血の有無を確認します。この検査費用も継続的に発生するため、年間で数万円の医療費を見込んでおく必要があります。

術後5年間は難病医療費助成制度の対象となるため、この期間中は医療費の自己負担が軽減されます。ただし、5年経過後も症状や画像所見によっては引き続き助成の対象となる場合があるので、主治医と相談しながら更新手続きを進めることが重要です。​
直接バイパス術の場合、手術直後から血流改善効果が得られますが、間接バイパス術では新しい血管網の形成に3ヶ月から6ヶ月程度かかります。この期間中も定期的な通院と検査が必要になり、それに伴う交通費なども含めた総合的な経済計画を立てておくと安心です。​

もやもや病の手術費用は決して安くはありませんが、高額療養費制度と難病医療費助成制度を適切に活用することで、経済的負担を大幅に軽減できます。手術が決まったら早めに主治医や医療ソーシャルワーカーに相談し、利用できる制度について詳しく確認しておくことをおすすめします。治療に専念できる環境を整えるためにも、経済的な不安を最小限に抑えることが大切なんです。