網膜色素上皮症 とは
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網膜色素上皮症 とは 原因
「網膜色素上皮症」という言い方は、日常臨床では“RPE(網膜色素上皮)に主病変がある病態”をひとまとめに呼んでしまう場面で出てきやすく、厳密には診断名というより病態ラベルとして使われがちです。
そのため、医療者向けに整理する際は「網膜色素上皮(RPE)が障害される代表的なメカニズム」を先に押さえると、鑑別の方向性がぶれません。
主な原因(機序の軸)
・炎症(白点症候群の一群):若年~中年に急性発症し、RPE~外網膜レベルに白斑・滲出斑を作るタイプがあります(急性後部多発性斑状色素上皮症/APMPPEなど)。doctork1991+1
・脈絡膜循環・脈絡毛細血管板の関与:APMPPEでは、脈絡毛細血管板の炎症性閉塞(遅延型過敏反応が想定されるなど)が機序として語られることがあり、結果としてRPE・外網膜が二次障害を受けます。
・変性(加齢・代謝負荷):RPEの機能低下で老廃物処理が破綻し、ドルーゼン形成やRPE萎縮へ進む考え方が一般的です。kyo-eye+1
・滲出・剥離・裂孔(RPE構造破綻):加齢黄斑変性や中心性漿液性脈絡網膜症などで、RPE剥離が臨床上のキーワードになります。
参考)網膜色素上皮剥離
・細胞欠損(RPE欠損の病態):RPE細胞層の断裂・欠損が視機能低下に直結し、治療が確立していない領域もあります。
参考)加齢黄斑変性
ここでの“意外な落とし穴”
・患者さんは「網膜色素上皮“症”=網膜色素変性症(指定難病)」と混同しやすいです。
網膜色素変性症は遺伝性・進行性で、杆体優位の障害により夜盲や視野狭窄が初期から目立つ、という別軸の疾患概念です。
参考)網膜色素変性症(指定難病90) &#8211; 難病情報セン…
紹介状や説明文で「RPEの炎症性疾患(白点症候群)疑い」など、もう一段言語化すると誤解の連鎖を減らせます。
網膜色素上皮症 とは 症状
RPEは視細胞の代謝・維持に関わるため、RPE障害は“視細胞(特に外網膜)の機能低下”として症状に反映されやすい点が重要です。
一方で、症状は病態群により幅があり、「急性で片眼」「急性で両眼」「徐々に進行」など時間軸が鑑別の鍵になります。
急性に出やすい症状(白点症候群系を想定)
・視力低下、中心暗点、変視症、小視症など(APMPPEで典型的に挙がる)。
・左右差はあっても両眼性が多い、という整理も臨床では役立ちます(APMPPEの説明として)。
参考)APMPPE 急性後部多発性斑状色素上皮症 &#8211; …
変性・加齢関連で出やすい症状(黄斑疾患の文脈)
・黄斑部が障害されると「見ようとする中心が見えにくい」訴えになりやすいです(加齢黄斑変性の一般向け解説でも中心視の障害が強調される)。
症状から拾う“重症サイン”
・黄斑中心(中心窩)に病変がかかる、または瘢痕化が残ると不可逆な視機能障害になり得ます(APMPPEでも瘢痕が黄斑に残ると不可逆の可能性が示される)。
・視神経乳頭腫脹を伴うことがある、という所見は「単純な黄斑疾患」から鑑別を広げる合図になります。
患者説明のコツ(医療者向け)
・「炎症が落ち着けば戻ることが多い型」と「細胞が欠けたり萎縮すると戻りにくい型」がある、と最初に二分して伝えると、過度な安心・過度な不安の両方を避けられます。kyo-eye+1
・夜盲・視野狭窄が主訴なら、RPEという言葉が出ても網膜色素変性症の文脈も念頭に置き、病歴で丁寧に分けます。
網膜色素上皮症 とは OCT
RPEレベル病変の評価では、OCT(光干渉断層計)で「外網膜とRPEの形態」を押さえるのが基本線です。
特に白点症候群系では、眼底の白斑が“何層の病変か”をOCTで層別化できるため、鑑別と経過評価に直結します。
OCTで見たいポイント(臨床の見取り図)
・外網膜の障害:ellipsoid zone(EZ)の連続性が崩れる、外網膜に高反射領域が出る、などは白点症候群やRPE炎症で話題になりやすい所見です(APMPPEの解説で外層の高反射や断裂が触れられる)。
・漿液性網膜剥離:APMPPEでも漿液性網膜剥離がみられ得る、とされ、他疾患(VKHなど)との鑑別の文脈に出てきます。
・脈絡膜肥厚:APMPPEで脈絡膜肥厚が言及され、脈絡膜側の病態関与を示唆する材料になります。
“検査の組み立て”としてのOCT
・OCTは「病変の活動性」と「回復後に何が残ったか(外網膜の欠損など)」の両方を見られるため、再診ごとの説明が体系立てやすいです。
・蛍光眼底造影やICGが必要かどうかの判断材料にもなり、白点症候群の鑑別で“IAが有用”とされる流れ(VKH鑑別を含む)を理解しておくと紹介判断が速くなります。
参考リンク(眼底自家蛍光が黄斑外来で不可欠であること、短波長FAFなどの基本)
黄斑疾患外来における網膜自家蛍光(FAF)の位置づけ(主要画像検査・短波長FAFの普及)
網膜色素上皮症 とは 眼底自発蛍光
眼底自発蛍光(FAF)は、RPEに蓄積するリポフスチンなどの情報を手がかりに、RPE機能の変化を“面”で把握しやすい検査です。
RPE障害が進むとFAFが低蛍光になる、初期には過蛍光を示し得る、という整理は「活動性と萎縮の見分け」をする時に役立ちます。
FAFの読み方(実務の要点)
・過蛍光:RPEがストレス下にあり、リポフスチンなどの蓄積が反映されている可能性を考えます(初期は過蛍光になり得る、という整理)。
参考)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2015/153051/201510079A/201510079A0002.pdf
・低蛍光:RPEが萎縮・欠損し、機能が落ちた部位に一致して暗く見える、という理解が基本です。yakuoji-ic+1
・正常構造でも黒く見える部位:視神経乳頭や網膜血管はリポフスチンがないため黒く写る、という基本は新人指導でよく抜けるので注意点として有用です。
参考)薬王寺アイクリニック|新宿区市谷薬王寺町・眼科|OCTとFA…
“意外に効く”FAFの使いどころ
・眼底写真で目立たない段階でも、FAFでRPEの機能低下領域が先に見えることがあり、患者の「見え方の違和感」を説明しやすくなります(リポフスチンを撮る検査でRPE状態を探れるという説明)。
・慢性の脈絡膜網膜疾患(例:慢性CSC)の診断にFAFが有用とされる報告もあり、“RPEがどの程度痛んでいるか”の把握に寄与します。
参考)EDI-OCTと眼底自発蛍光が診断に有用であった慢性中心性漿…
参考リンク(FAFがリポフスチン=RPE負荷を撮る検査であること、正常像と異常像の例)
OCTとFAFの基礎:FAFはリポフスチンを撮影しRPE状態を推定する、正常像と異常例の見え方
網膜色素上皮症 とは 治療(独自視点)
「治療」を薬剤名で覚えるより先に、“どの病態にどこまで介入するか”の意思決定フレームを共有すると、チーム医療で方針が揃います。
ここでは検索上位が触れがちな一般論(自然軽快/経過観察)に加え、医療現場で実際に効く“運用の視点”を入れます。
- 自然軽快を前提にした治療設計(過剰治療を避ける)
・APMPPEは自然治癒傾向が強く、視力予後は通常良好で再発はまれ、という整理がされています。webview.isho+1
・ただし「黄斑に瘢痕が残ると不可逆になり得る」ため、初診で黄斑中心の巻き込みと病巣の密度を評価し、説明とフォロー間隔を調整します。
- “治療が確立していない領域”の伝え方(期待値調整)
・RPEが欠損する病態(例:RPE裂孔)では、現時点で治療法が確立されていないとされ、視細胞機能が保たれている場合にRPE細胞移植などが期待される、という開発文脈があります。
・このタイプは「炎症が治れば戻る」モデルで説明するとミスマッチが生じるので、“細胞が欠けた場合は回復が難しい”という前提を最初に置くとトラブルが減ります。healios+1
- 併存疾患を前提にする(RPE単独の病気として扱わない)
・加齢黄斑変性は、滲出型と萎縮型の2タイプがあり、いずれもRPE機能低下が関与するとされます。
参考)川崎医科大学附属病院
・RPE剥離は加齢黄斑変性や中心性漿液性脈絡網膜症で見られ、原因や程度で経過観察から抗VEGF、光線力学療法など選択が分かれる、という整理がクリニック解説でも示されます。
- 独自視点:患者コミュニケーションを“検査結果の翻訳”として設計する
・FAFの「低蛍光=RPEが痩せた/欠けた可能性」「過蛍光=負荷が高い可能性」という翻訳を、OCTの“外網膜の連続性”とセットで説明すると、患者は「今どの段階か」を理解しやすくなります。mhlw-grants.niph+1
・紹介の判断は、「OCTで外網膜断裂が残る」「FAFで低蛍光が拡大」「黄斑中心の巻き込み」のいずれかが強い時に早めに上げる、とルール化すると属人性が減ります(APMPPEで外層断裂や瘢痕が問題になり得るという背景)。
参考リンク(RPE萎縮の基礎、RPEが視細胞を支える重要細胞であること、治療がない現状と移植研究)
網膜色素上皮の役割(視細胞を支える)と、RPE萎縮の機序・治療がない現状、移植研究の位置づけ