網膜色素上皮変性と症状原因検査
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網膜色素上皮変性の症状:夜盲と視野狭窄
網膜色素上皮変性という表現は、臨床では「RPEが傷んでいる(萎縮・脱色素・色素沈着などがある)」という所見のまとめとして登場しやすく、まず症状の出方で背景疾患の方向性を付けるのが安全です。代表例として網膜色素変性症(RP)は、視細胞(桿体・錐体)とRPEが広範に変性して進行性の視覚障害を来す遺伝性疾患群で、初期に夜盲と視野狭窄を自覚しやすいことが整理されています。
患者説明では「暗い所が見えにくい」「ぶつかりやすい」など生活場面の訴えに翻訳して拾うと、軽症でも受診動機につながり、医療者側の問診精度も上がります。RPは両眼性で緩徐進行が基本であることが難病情報としても明示されており、「急に片眼だけ悪化」なら別病態(裂孔、剥離、血管イベント等)を強く疑うべきです。
また、RPでは進行例の眼底で骨小体様色素沈着・網膜血管狭細化・RPE消失・視神経蒼白が典型とされ、ここまで揃うと「網膜色素上皮変性」という曖昧語から一段階進めて、疾患概念としてのRPに寄せた説明がしやすくなります。
網膜色素上皮変性の原因:遺伝子変異
RPを背景とする網膜色素上皮変性では、原因として遺伝子変異が中心で、視細胞と色素上皮細胞が広範に変性するとされています。
重要なのは「遺伝=家族歴あり」と短絡しないことで、孤発例でも分子遺伝学的検査で遺伝形式を決める必要がある点、また孤発が必ずしも常染色体劣性とは限らない点が指摘されています。
臨床実務では、家族歴が乏しい・不明でも遺伝学的検査や遺伝カウンセリングの導線を用意し、患者が「子どもに遺伝するのか」を相談できる体制を早期に整えることが、結果的に通院中断や不安増大を減らします。
網膜色素上皮変性の検査:OCTと自発蛍光
RPを含むRPE障害の評価では、近年は通常の眼底検査に加えて、通常検査では観察しにくいRPE変化をみる眼底自発蛍光撮影(FAF)や、断層評価のOCTが普及していると整理されています。
FAFはRPEに存在するリポフスチン由来の自発蛍光をとらえ、病勢把握に役立つ非侵襲的検査と説明されており、RPでは周辺の変性部が低蛍光になりやすい(RPE萎縮を反映)という解説もあります。
OCTでは、RPで視細胞が変性・消失することで外網膜が菲薄化し、外層の反射帯が不明瞭になる、といった「構造の失われ方」が読みどころになります。
臨床で意外に効く小技として、患者への説明は「写真(眼底)=地図」「OCT=断面」「FAF=細胞の代謝の痕跡」という役割分担で話すと、検査が増えても納得が得られやすく、再検査や長期フォローにもつながります。
網膜色素上皮変性の診断:ERGと視野検査
RPの診断は、網膜電図(ERG)と視野検査で示される視細胞機能の進行性低下を指標に行う、という整理が専門研究班の概説として提示されています。
ERGは「どの層の機能が落ちているか」を客観化できるため、眼底に派手な色素沈着が出る前でも診断の根拠になりやすく、患者の「見え方」と検査結果を結びつける説明材料にもなります。
一方で、ERGパターンは遺伝性・後天性のさまざまな要因で変化し得るため、ERGだけで決め打ちせず、症状の時間軸(夜盲が先か、中心視力低下が先か)と、OCT/FAFの分布を合わせて診断精度を上げる設計が実務的です。
網膜色素上皮変性の独自視点:地図状萎縮とリポフスチン
「網膜色素上皮変性」という言葉が黄斑領域で出てきたとき、RPだけでなく、RPE萎縮が主体となる地図状萎縮(例:萎縮型加齢黄斑変性や黄斑ジストロフィー)も同じ土俵で鑑別に上げると、紹介先(網膜専門外来・遺伝外来など)の選択がブレにくくなります。地図状萎縮の定義要素(境界明瞭、RPEの低色素/脱色素、脈絡膜中大血管の透見など)や、進行像の記載が難病情報としてまとまっています。
FAFの理解を一段深める鍵がリポフスチンで、リポフスチンは自発蛍光を発するためFAFとして捉えられ、加齢黄斑変性の発症・進行との関連が研究成果報告書でも触れられています。
さらに臨床現場の説明として「異常があるとリポフスチンが蓄積して明るく写り、進行して細胞が死ぬと暗く写る」という整理が提示されており、FAFの“明るい/暗い”を患者と共有する際の言語化に使えます。
参考:網膜色素変性症の概要・原因・症状・検査(OCT/自発蛍光など)がまとまっている
参考:RPの診断(ERG・視野)や遺伝学的検査の考え方、眼底の典型所見が詳しい
参考:FAFが非侵襲で病状把握に有用である点(リポフスチン由来の自発蛍光)が説明されている