網膜血管痙攣と検査と治療
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網膜血管痙攣の症状と一過性黒内障の見え方
網膜血管痙攣は「網膜の血流が一時的に落ちる」現象として捉えると理解しやすく、患者訴えは突然の視野暗転・灰色化・ぼやけなど多彩です。
とくに一過性黒内障は、片眼が無痛性に見えなくなり「カーテンが下りる」ように表現されることが多く、持続は数秒〜数分が典型です。
重要なのは、同じ“見え方の発作”でも背景が塞栓(頸動脈プラークなど)なのか、血管攣縮(片頭痛関連を含む)なのか、炎症(巨細胞性動脈炎など)なのかで、緊急度と導線が変わる点です。
現場で役立つ問診の整理(例)
- 発作の持続:数十秒〜数分か、45〜60分など長いか(視覚性前兆の時間幅も意識)。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/ef31c51f9fc0af2812b6babe83b82f1292095668
- 片眼か両眼か:片眼なら網膜・視神経・頸動脈系を強く疑い、両眼なら中枢・片頭痛前兆も視野に入れる。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/29ab0a9d7c81d02a49363df0abdbdec32befec07
- 付随症状:頭痛の有無だけで除外しない(頭痛がない片頭痛関連発作もある)。
- 危険サイン:初発、高齢、動脈硬化リスク、顎跛行・側頭部痛・全身炎症症状などは別枠で扱う。
網膜血管痙攣の原因と片頭痛と血管攣縮
片頭痛に関連して、網膜動脈の局所的な攣縮が起きうることが報告されており、視野の一部がキラつく・揺れるなどの訴えと同時に、動的な血管攣縮が観察された症例報告があります。
同報告では、片頭痛患者で網膜血管の攣縮が起こり得ること、さらに「血管攣縮症候群(vasospastic syndrome)」の眼症状として一過性黒内障や網膜動静脈閉塞、虚血性視神経症、緑内障などが挙げられることが述べられています。
また、血管攣縮症候群は冷刺激や精神的ストレスなどへの過反応性が特徴とされ、基礎疾患がない一次性と、自己免疫疾患・薬剤・感染症などに伴う二次性がある点も臨床上の整理に有用です。
意外と見落としやすいポイント
- 「頭痛がないから片頭痛関連ではない」とは言い切れず、視覚症状のみの経過もあり得ます。
- “攣縮”はそれ自体が診断名というより、背景(片頭痛、自己免疫、塞栓リスク、薬剤、低血圧傾向など)を探すためのサインとして扱うと、検査設計がブレにくくなります。
網膜血管痙攣の検査と眼底と頸動脈
一過性黒内障が疑われる場合、眼科的評価(視力、眼底、前眼部)に加えて、頸動脈狭窄や塞栓源検索を含む全身評価が重要とされています。
具体的には、頸動脈ドップラー、心電図(ホルター含む)、心エコー、必要に応じてMRA/CTA、脳MRI(DWI)などが検討され、原因を「眼の中」だけで完結させない設計が推奨されます。
また炎症性疾患の鑑別としてESR/CRPが挙げられており、高齢者や全身症状を伴うケースでは、側頭動脈炎を含めた評価の優先度が上がります。
現場の流れを止めないための“分類”のコツ
- ①塞栓・狭窄(頸動脈/心原性)ルート:再発予防と脳卒中リスク管理が主目的。
- ②炎症ルート:採血(ESR/CRP)と迅速紹介をセットで。
- ③血管攣縮(片頭痛関連含む)ルート:他を除外した後に、再発予防(誘因・予防薬・生活背景)まで落とし込む。
網膜血管痙攣の治療とカルシウム拮抗薬
網膜血管攣縮の病態生理は未解明部分が残るものの、網膜血管トーンがエンドセリン-1(ET-1)と一酸化窒素(NO)のバランスなどで調節され、攣縮関連疾患ではET-1上昇や血管の過反応性が関与し得る、という整理が紹介されています。
同症例報告では、発作性の網膜動脈攣縮に対してカルシウム拮抗薬の予防的使用を鑑別に入れるべき、という臨床的示唆が述べられています。
ただし、実臨床では「攣縮だけを治す」より、塞栓・炎症などの緊急疾患を除外し、片頭痛管理や危険因子介入(血圧・脂質・不整脈評価)を含めた再発予防の設計が安全側です。
患者説明で使える言い換え(例)
- 「血管が一時的に細くなって、網膜に流れる血液が減るタイプの発作が疑われます。」
- 「ただし、同じ症状が“首や心臓由来の血栓”でも起きるので、目だけでなく全身の検査で原因を探します。」
網膜血管痙攣と独自視点と救急トリアージ
網膜血管痙攣を“良性の一過性症状”として片付けると危険で、一過性黒内障は頸動脈狭窄や塞栓症など血管疾患の兆候であることが多く、脳卒中リスクが高い可能性がある、という位置づけが重要です。
独自視点として、医療機関内の連携設計(眼科→脳神経内科/救急→循環器/血管外科)を「症状の持続時間」と「初発か再発か」で定型化すると、紹介の迷いが減り、患者の安心にもつながります。
また、片頭痛関連が疑われる場合でも、症例報告レベルでは網膜血管攣縮が網膜動脈閉塞と同時に観察された例があり、“攣縮=安全”ではない点をチーム内で共有しておくと判断の質が上がります。
トリアージの実務メモ(例)
- すぐ紹介(救急・脳卒中導線):初発の片眼暗転/危険因子あり/高齢/神経症状合併。
- 迅速に精査予約:繰り返す片眼発作、頸動脈評価未実施、心房細動疑い、炎症疑い。
- 眼科フォロー+再発予防設計:他疾患を除外し、片頭痛や攣縮素因が濃厚で、説明と予防戦略が立つケース。
一過性黒内障の症状・リスク因子・検査(頸動脈ドップラー、心電図、ESR/CRPなど)の整理。
片頭痛に関連した網膜動脈の動的攣縮(稀だが写真で記録された症例)と、血管攣縮症候群・ET-1/NOなど病態仮説の解説。