モーラステープとロキソニンテープの違い
モーラステープの主成分ケトプロフェンの特徴
モーラステープの有効成分であるケトプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のプロピオン酸系に分類されます 。この成分は、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害することで、炎症や痛みの原因となるプロスタグランジンの生成を抑制し、抗炎症・鎮痛効果を発揮します 。
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ケトプロフェンの最大の特徴は、経皮吸収性に優れていることです 。皮膚から効率よく吸収され、炎症・疼痛部位に直接到達して局所的に効果を発揮するため、全身への影響を最小限に抑えながら治療効果を得ることができます 。
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モーラステープには40mgの規格があり、1枚中にケトプロフェン40mgを含有しています 。添加物として l-メントール、ジブチルヒドロキシトルエンなどが含まれており、独特の芳香があります 。プロピオン酸系のNSAIDsの中でも比較的副作用の少ない成分とされ、古い世代のテープ剤と比べて独特な匂いが少ないという特徴もあります 。
ロキソニンテープの主成分ロキソプロフェンの特徴
ロキソニンテープの主成分であるロキソプロフェンナトリウム水和物も、NSAIDsに分類される抗炎症薬です 。この成分は発熱や痛み、腫れといった炎症反応を引き起こすプロスタグランジンの生成を阻害することで、抗炎症作用を示します 。
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ロキソプロフェンの重要な特徴として、体内への吸収速度が速いことが挙げられます 。体内に入る薬の濃度が最大になるまでにかかる時間が、モーラステープよりも短いため、より迅速な効果発現が期待できます 。
参考)https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/zbjmc/
ロキソニンテープには50mgと100mgの規格があり、それぞれ1枚中にロキソプロフェンナトリウム水和物を56.7mg(無水物として50mg)、113.4mg(無水物として100mg)含有しています 。患部の大きさに合わせて切って使用することも可能で、肘や膝などのよく動く部位に貼付する場合は切り込みを入れることで剥がれにくくなります 。
モーラステープの光線過敏症リスクと注意点
モーラステープの使用で最も注意すべき副作用が光線過敏症です 。これは、湿布を貼った部位が紫外線に当たることで起こる重篤な皮膚炎で、症状としては皮膚の赤み、かゆみ、水ぶくれなどがあり、重症化すると全身に広がることもあります 。
ケトプロフェンが含有されているモーラステープは、この光線過敏症を起こしやすいとされています 。一方、ロキソニンテープではこのような光線過敏症が起こりにくいと考えられており 、日光に直接患部が当たりやすい場所に使用する場合はロキソニンテープが推奨されます 。
参考)https://minacolor.com/articles/3837
光線過敏症の予防には、湿布を貼っている間はもちろん、はがしてからも4週間は紫外線を避ける必要があります 。長袖や長ズボン、サポーターで覆い、サンスクリーン剤でカバーすることも効果的です 。もし症状が現れた場合は、湿布の使用を中止し、皮膚科専門医を受診することが重要です 。
ロキソニンテープの皮膚への影響と利点
ロキソニンテープはモーラステープと比較して、皮膚への負担が軽減される特徴があります。研究によると、モーラステープの貼付部位では経時的に角質水分量の低下がみられ、ロキソニンテープよりも乾燥症状が出やすいことが報告されています 。
このため、皮膚が敏感な方や乾燥しやすい方には、ロキソニンテープの方が適している可能性があります 。また、ロキソニンテープは光線過敏症のリスクが低いため、屋外活動が多い方や、露出部位に使用する場合により安全です 。
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効果の強さについては、痛みを抑える効果に大きな違いはありません 。ただし、ロキソニンテープの方が体内に入る薬の濃度が最大になるまでの時間が短く、より迅速な効果発現が期待できる点で差別化されています 。
モーラステープとロキソニンテープの適応症の違い
両薬剤の適応症には重要な違いがあります。モーラステープは関節リウマチに対する適応を有していますが 、ロキソニンテープにはこの適応がありません 。これは、ケトプロフェンがリウマチによる関節炎に対してより特異的な効果を示すためと考えられます。
参考)https://sokuyaku.jp/column/morus_tape-pde.html
共通の適応症としては、変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛、腰痛症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎などがあります 。これらの疾患に対しては、どちらの薬剤も同等の効果が期待できます 。
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使用頻度についても違いがあり、一部のモーラステープ製品では1日2回の使用が推奨される場合がありますが、ロキソニンテープは基本的に1日1回の使用となります 。患者の症状や生活スタイルに応じて、適切な選択を行うことが重要です。
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モーラステープの経皮吸収特性と全身への影響
モーラステープに含まれるケトプロフェンは、高い経皮吸収率を持つことが特徴です 。この高い吸収率により、同時に貼付する枚数によっては内服薬や注射薬に匹敵する血中濃度に達する可能性があります 。
参考)https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=25272
この特性は治療効果の面では有利ですが、同時に全身への影響も考慮する必要があります。NSAIDsの共通の副作用として、胃腸障害や腎機能への影響があるため 、多数の湿布を使用する際は特に注意が必要です 。
参考)湿布の使い分け
一般的に、大きいサイズで2~3枚、小さいサイズで4~5枚までが安全な使用枚数とされています 。これ以上の使用は胃潰瘍や消化管出血のリスクを高める可能性があります 。複数の関節や筋肉が痛む場合は、湿布の枚数を増やすより内服薬への変更を検討することが推奨されます 。
参考)湿布など外用鎮痛消炎薬の上手な使い方・選び方|セルフケアお役…
<参考>
日本整形外科学会の湿布薬に関するガイドライン情報
厚生労働省医薬品安全対策情報における光線過敏症の注意事項

国立国際医療研究センターの疼痛管理に関する最新情報
