眼瞼下垂手術費用と保険適用
眼瞼下垂の保険適用時の費用相場
眼瞼下垂手術が保険適用される場合、費用は全国一律で診療報酬点数によって決定されます。3割負担の患者さんの場合、最も一般的な眼瞼挙筋前転法や挙筋短縮法では片眼につき約2万2千円となっています。眉下切開による手術では約1万8千円、先天性眼瞼下垂などで適応される筋膜移植術では約5万6千円と、手術方法によって費用が異なります。
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これらの費用には手術そのものの料金が含まれていますが、診察料、検査料、麻酔代、処方料などは別途必要です。また1割負担の患者さんの場合は、これらの金額の約3分の1になります。保険診療では術式が限定されることが多く、機能回復を主な目的とした治療が行われます。
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高額療養費制度の対象となる場合もあり、所得に応じて自己負担限度額が設定されているため、実質的な負担額がさらに軽減される可能性があります。ただし、同月内に複数回の治療を受けた場合や他の医療費との合算によって適用されることが多いです。
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眼瞼下垂の自由診療における費用
自由診療で眼瞼下垂手術を受ける場合、費用はクリニックによって大きく異なり、20万円から60万円程度が一般的な相場となっています。眼瞼挙筋前転法や短縮法では約20万〜30万円、眉下切開では約30万〜40万円、筋膜移植術では約40万〜60万円と手術方法によって価格帯が変わります。
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自由診療の大きなメリットは、美容的な仕上がりにこだわった治療が可能な点です。執刀医を選択できること、1年間の修正保証が受けられるクリニックもあること、術後の細かなデザイン調整が可能なことなどが挙げられます。保険診療では機能回復が優先されるため、二重の幅や左右のバランスなど美容面での細かい希望に対応しきれないケースもあります。
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ただし自由診療を選択する場合は、医療費控除の対象になるかどうか事前に確認することが重要です。治療目的であれば控除対象となる可能性がありますが、純粋な美容目的の場合は対象外となります。また、クリニックによってはカウンセリング料や術前検査料が別途かかる場合もあるため、総額をしっかり確認しましょう。
眼瞼下垂で保険適用される条件
眼瞼下垂手術が保険適用されるためには、医師による正式な診断が必要です。診断基準として一般的に使用されるのがMRD-1(Marginal Reflex Distance)という指標で、上まぶたの縁と黒目の中心までの距離が3.0〜3.5mm以下の場合に眼瞼下垂と判断されることが多いです。ただし、この数値は絶対的な基準ではなく、医師の総合的な判断によって決定されます。
保険適用の重要な条件は「日常生活に支障があること」です。具体的には、まぶたが下がって視野が狭くなっている、顎を上げて物を見る癖がある、眉に力を入れてまぶたを上げるために肩こりや頭痛が発生しているなどの症状があれば、軽度であっても保険適用の可能性があります。視界障害や生活支障の有無が判断の大きなポイントとなります。
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手術の目的が美容目的ではなく治療目的であること、また国が認めた治療法であることも保険適用の条件です。そのため切らない治療法や一部の美容外科的手術方法では保険が適用できません。加齢、コンタクトレンズの長期使用、アイメイクなどが原因で発症した眼瞼下垂でも、症状が保険適用の条件を満たしていれば治療を受けられます。
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眼瞼下垂手術の種類と特徴
眼瞼下垂手術には複数の術式があり、症状の程度や原因によって適切な方法が選択されます。最も一般的なのが眼瞼挙筋前転法で、挙筋腱膜を前方に移動させて瞼板に固定する方法です。挙筋自体を切除せず折りたたむように短くするため、ミュラー筋を損傷するリスクがほとんどなく、術後の自然なまばたきが保たれやすいという特徴があります。
眼瞼挙筋短縮法は重度の眼瞼下垂に適応される術式で、挙筋腱膜を実際に切除して短縮します。挙筋前転法と比較して効果が強い反面、筋肉を切除するため腫れやすく、ダウンタイムがやや長くなります。また一度切除すると元に戻すのが困難で、修正手術の難易度も上がるというデメリットがあります。
眉下切開は上まぶたの皮膚を眉毛の下から切開して余分な皮膚を取り除く方法で、皮膚のたるみが主な原因の場合に適しています。傷跡が眉毛に隠れて目立ちにくく、顔の雰囲気が大きく変わらないというメリットがあります。先天性眼瞼下垂で挙筋機能がほとんどない場合には、大腿部や側頭部から採取した筋膜、またはゴアテックスなどの人工素材を使って瞼板と前頭筋をつなぐ筋膜移植術(前頭筋吊り上げ術)が行われます。
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参考情報:日本形成外科学会では眼瞼下垂症の診療ガイドラインを公開しており、各術式の適応や標準的な治療方針について詳しく解説されています。
眼瞼下垂手術後のダウンタイムと経過
眼瞼下垂手術のダウンタイムは、傷跡が落ち着くまで2週間から1ヶ月程度、傷が完全に治るまでには3ヶ月程度必要です。特に切開した箇所は腫れが強く出やすく、術後1週間から2週間程度は腫れが続きます。切開部分の痛みが強く出るのは手術日から3日程度で、この期間は処方された鎮痛剤を使用することで対処可能です。
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内出血が生じた場合は10日から2週間程度続きますが、数日すると色が薄くなり徐々に目立たなくなります。切開部分の赤みは2週間から3週間程度でおさまるのが一般的です。抜糸は通常術後1週間から10日前後に行われ、抜糸直後はまだ縫合糸による歪さが残る状態ですが、皮下出血がなくなり相当に落ち着いた状態になります。
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ダウンタイムを長引かせないためには、術後の適切なケアが重要です。手術当日から数日間は患部を冷やすこと、頭を心臓より高い位置に保つこと、激しい運動や飲酒を控えること、処方された薬を指示通り服用することなどが推奨されます。腫れは2週間で8割程度改善しますが、完全な消退には約6ヶ月かかることを理解しておく必要があります。
眼瞼下垂手術のリスクと合併症
眼瞼下垂手術には、他の外科手術と同様にいくつかのリスクと合併症の可能性があります。最も一般的なのは眼の周りの腫れと内出血で、これらは手術に伴う通常の反応です。腫れは2週間で大部分が改善しますが完全消退には約6ヶ月、内出血の完全消退には約4週間程度かかります。
参考)https://www.kyoritsu-biyo.com/column/double-plastic-surgery/gankenkasui_sequelae/
左右差や矯正不足・過矯正も起こりうる合併症です。できるだけ左右対称になるように手術を行いますが、完全に左右対称にすることは困難で、人の手による施術である以上完成度には限界があります。術後に左右差が大きい場合や、開き具合が不十分(低矯正)または開きすぎている(過矯正)と判断された場合には、再縫合処置や再手術を行うことがあります。再手術の可能性は約10%程度とされています。
その他のリスクとして、ドライアイや涙目、めやになどの症状が出ることがあります。まぶたが閉じにくくなる兎眼症状や、乱視が強い方では視力に影響が出る可能性もあります。また術後に眼瞼痙攣などの瞼の不調を起こすケースもあり、特にミュラー筋を操作する術式では注意が必要です。これらのリスクについては術前カウンセリングで十分な説明を受け、理解した上で手術を受けることが重要です。
参考)眼瞼下垂の手術には、挙筋短縮法、挙筋前転法、経皮法、経結膜法…
保険診療と自由診療の違い、具体的な料金体系について詳しく解説されています。
保険適用となる診断基準や条件について、医療機関の視点から説明されています。