メディセオ神奈川ALCとは何か

メディセオ神奈川ALCの概要と役割

メディセオ神奈川ALCの基本構造
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都市型高機能物流センターの正体

ALCは「Area Logistics Center(エリア・ロジスティクス・センター)」の略称。メディセオ神奈川ALCは2009年5月に全国初の都市型フルライン物流センターとして横浜市戸塚区に竣工しました。この施設は医療用医薬品をはじめ、医療機器・医療材料・臨床検査試薬など、最大約5万点の膨大な商品在庫を保有。従来の支店経由の流通体制を廃止し、直接医療機関や薬局へ配送する革新的なシステムを実現しています。

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建築設計と災害対応機能

メディセオ神奈川ALCは敷地面積17,290㎡、延床面積25,008㎡の地上5階建て。最大の特徴は建物全体が免震構造で設計されていることです。大規模災害発生時でも医療施設への安定供給を実現する対策拠点として機能。ハイテクコンベアなどのマテハン機器を縦横に配置し、入荷から梱包・荷揃・出荷までの全流れをスムーズかつフレキシブルに対応。室温管理、セキュリティゾーニング、人の流れに配慮した動線設計により、清潔さと効率性を両立させています。

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地域カバー範囲と配置戦略

横浜市戸塚区に位置するメディセオ神奈川ALCは、関東地域の医療機関を広域カバー。2023年9月に阪神ALCが竣工し、メディパルグループ全体で全国13拠点のALC配置が完成。神奈川ALCはこのネットワークの中核として、都市圏の複雑な物流需要に対応。医療の質向上と患者ニーズの多様化に応える流通戦略の一環として位置づけられています。

メディセオ神奈川ALCは、医療における流通プロセスの全体最適化を目指した、メディパルグループ独自の高機能物流センターです。2009年の開設以来、医療用医薬品、医療機器、医療材料、臨床検査試薬など、医療現場で必要とされるあらゆる製品を一元管理。最大約5万点の在庫を保有することで、医療機関の欠品を最小限に抑え、安定的な医療サービス提供を支援しています。

このセンターが誕生した背景には、医療用医薬品市場の急激な多品種化があります。従来の支店経由の流通では対応しきれない複雑な需要に対応するため、メディセオは2009年に株式会社メディセオへの商号変更と同時に、神奈川ALCを全国初の都市型フルライン物流センターとして稼働させました。建物全体を免震構造にすることで、有事の際も止まらない流通体制を実現。これは医療というインフラを支える責任の現れです。

メディセオ神奈川ALCの在庫管理システムと品質保証

メディセオ神奈川ALCでは、出荷実績をベースにした需要予測システムを独自開発しました。商品1品目ごとに必要在庫量を自動計算し、最適な在庫量と入出荷作業量のバランスを精密に調整しています。その結果、99%以上の納品率と欠品率わずか1%を実現。医療現場が必要とする医薬品がいつでも供給できる体制が整備されているため、治療の中断や患者への負担を最小化できます。

品質保証面では、ALCの全工程においてバーコードや電子秤を用いたチェックシステムを導入。人為的ミスを徹底排除した結果、出荷精度は6σ(100万分の3.4の不良率)を維持しています。この統計的な品質管理手法は、自動車産業などで採用される最高水準の基準。医療現場において誤配送は患者の健康に直結する問題だからこそ、このレベルの精度が求められるのです。

さらに注目すべき点は、メディセオ神奈川ALCが独自開発したハイテクピッキングカート「SPIEC(スピーク)」の導入です。無線データで出庫情報を画面に表示し、指示に従ったピッキング、バーコードスキャン、電子計量による多重チェックを実行。誰でも正確に商品を取り揃えられる仕組みにより、出荷ミス率を0.0003%以下に抑えています。

メディセオ神奈川ALCの配送システムと時間短縮効果

メディセオ神奈川ALCでは、従来の医薬品流通を根本から変える「完全梱包・ノータッチシステム」を業界初で実現しました。商品はお客様ごとに注文量に合わせた最適サイズの納品箱に入れられ、梱包用テープでバンディング。出荷後、医療施設の手元に届くまで、納品箱内の商品には誰も触れない仕組みになっています。

納品時の検品作業も革新的です。従来は50品目で約3分かかっていた検品作業が、納品箱のラベルをスキャンするだけで10秒で完了。この劇的な時間短縮により、医療スタッフの負担が大幅に軽減されます。さらにEDI(電子商取引)にも対応しているため、ペーパーレス化による業務効率の向上も可能です。

配送方法も工夫されています。バスが定期的に運行するように、決まった時間帯に配送する仕組みを取り入れることで、医療機関の受け取り体制を効率化。また、あらかじめ医療機関から薬品棚の配置情報を受け取ることで、専用ボックス内の商品を棚ロケーション順に箱詰めして納品します。これにより、従来の棚入れ時間と比較して2分の1以下に短縮可能です。重量物(点滴バッグ・液剤など)については、専用カートラック台車のまま納品するユニットロードシステムを開発し、医療スタッフの身体的負担を大幅に軽減しています。

メディセオ神奈川ALCにおける次世代型自動化システム「AUPUS」の導入

近年、メディセオ神奈川ALCを含む最新のALCでは、「AUPUS」という次世代型物流システムが導入されています。商品の保管・払い出し・仕分けなどの作業を自動化・機械化することで、従来のALCの基本コンセプトを維持しながら、庫内作業の生産性を大幅に向上させています。

AUPUSは複数の自動化機器から構成されています。出荷量の少ない商品は専用トレーで効率的に保管し、省スペース化と多品種格納を実現。出荷量の多い商品については高速入出庫装置により、格納・保管・払い出しを完全自動化します。さらに「お得意様別高速仕分け装置」により、ピッキング担当者のもとに商品が自動的に届く仕組みになっています。

このシステム導入の背景には、少子高齢化による人手不足への対応があります。医療を支える流通体制を持続可能にするため、メディセオは人海戦術に依存しない効率化を積極的に推進。さらなる研究開発を続けることで、将来的な医療ニーズの変化に対応する準備を整えています。

メディセオ神奈川ALCが医療現場にもたらす革新的価値

メディセオ神奈川ALCは単なる物流施設ではなく、医療提供体制全体の質向上を支えるインフラとしての役割を担っています。従来の流通モデルでは、医療機関が検品に費やす時間が膨大でした。完全梱包・ノータッチシステムにより、その時間を劇的に短縮できた結果、医療スタッフが患者ケアに注力できる環境が実現しています。

また、EDI対応と自動検品システムの組み合わせにより、ペーパーレス化が進行。医療機関の事務業務が簡潔化され、経営効率の向上にも貢献しています。メディパルグループの調査によると、棚入れ作業時間が従来の2分の1以下に短縮された医療機関では、その時間を患者対応に充当することで、診療の質向上につながったという事例も報告されています。

さらに、全国13拠点のALC配置完成により、メディセオ神奈川ALCは関東地域の医療ネットワークの中核として機能。他拠点との連携により、供給途絶を防ぐバックアップ体制も構築されています。医療は地域社会の根幹を支えるサービス。メディセオ神奈川ALCの存在は、その基盤を堅牢にするための投資として位置づけられます。

参考リンク:メディセオ群全体の物流戦略について、詳細な事業内容や各ALCの機能比較

メディセオ公式 高機能物流センター(ALC・FLC)

参考リンク:メディパルグループ全体の物流ネットワークとALC・FLCの連携体制についての解説

メディパルグループ公式 ALC・FLC事業説明