マイボーム腺炎 犬 原因の理解
マイボーム腺炎 犬 原因としての感染と閉塞
マイボーム腺炎は大きく、急性の細菌感染による麦粒腫と、マイボーム腺の閉塞による霰粒腫に分けられ、原因の整理にはまずこの二分が有用です。 麦粒腫ではマイボーム腺に黄色ブドウ球菌など皮膚常在菌が侵入し急性炎症を起こし、人の「ものもらい」と同様に発赤・腫脹・疼痛が強く現れます。 一方、霰粒腫はマイボーム腺導管の閉塞によって分泌物が排出されず、内容物が貯留・変性し、慢性肉芽腫性炎症を形成することで、白く硬いしこりとして触知されることが多い病態です。
犬のマイボーム腺炎では、一つの腺だけでなく複数腺が同時に炎症を起こすことも少なくなく、まぶた全体の腫脹やびまん性の発赤として認識されることがあります。 眼瞼縁にニキビ様あるいはイボ状の小結節が多発するケースでは、単発の霰粒腫ではなく、複数のマイボーム腺で閉塞・感染が並行している可能性を考える必要があります。 臨床では「小さなできもの」として軽視されることもありますが、慢性化により二次的な結膜炎や角膜炎、眼瞼変形に至ることもあり、早期の病態把握が重要です。
参考)https://www.ishiguro-ac.net/wp/wp-content/uploads/2010/03/80c604058a437511c9c7d45b136b46f4.pdf
感染と閉塞は独立した原因というよりも、互いを増悪し合う関係にあります。 導管の閉塞で貯留した脂質は細菌増殖の温床となりやすく、逆に細菌感染が慢性化することで導管周囲の組織反応が強くなり、さらなる閉塞を招く悪循環が生じます。 このため、単に抗菌薬で感染を抑えるだけでなく、温罨法や洗浄で物理的にマイボーム腺内容物を排出させるなど、機械的な閉塞の解除を合わせて行うことが再発予防の観点でも重要です。
参考)犬と猫のマイボーム腺炎|まぶたの腫れや小さなできものが見られ…
マイボーム腺炎 犬 原因と犬種・年齢・体質
犬のマイボーム腺炎は、年齢や犬種を問わず発症し得ますが、統計的には高齢での発症が目立ち、特に長毛種で多いとされています。 長毛種では眼瞼縁や睫毛周囲の被毛が密で皮脂分泌も多い傾向があり、マイボーム腺開口部に被毛や皮脂が付着して閉塞を助長しやすい点が一因と考えられています。 さらに、加齢に伴う上皮ターンオーバーの変化や脂質分泌の質的変化も、マイボーム腺内容物の粘稠化や排出不良に関与している可能性が指摘されています。
年齢別では、免疫機能が未熟な子犬と、免疫力が低下したシニア犬で麦粒腫が発生しやすいとされ、いずれの年齢層でも防御機構の脆弱さが細菌感染の成立を後押しします。 一方、霰粒腫を含む慢性のマイボーム腺炎は、眼瞼構造が完成し、生活習慣や基礎疾患の影響が蓄積してくる成犬~シニア期で多く、長期的なマイボーム腺機能不全との関連が考えられます。
参考)https://vth-tottori-u.jp/wp-content/uploads/2019/06/topics.vol_.86.pdf
アレルギー体質やアトピー性皮膚炎など皮膚疾患を持つ犬では、マイボーム腺炎の発症リスクが高いとする報告もあり、眼瞼皮膚の慢性炎症による環境悪化が背景にあると考えられます。 アレルギー性結膜炎を併発している個体では、痒みによる掻擦行動がマイボーム腺開口部への機械的刺激となって炎症や閉塞を誘発しやすく、臨床的には「アレルギー+マイボーム腺炎」の組み合わせを念頭に置いた診察が求められます。 このような体質背景を考慮すると、マイボーム腺炎の診療は眼科疾患にとどまらず、皮膚科・内科的視点を含めた全身管理が重要であることが分かります。
参考)眼科 – 診療案内
マイボーム腺炎 犬 原因としての腫瘍・マイボーム腺腫
高齢犬では、マイボーム腺炎の原因としてマイボーム腺腫などの眼瞼腫瘍が潜んでいるケースがあり、単純な炎症性疾患として扱うと診断が遅れるリスクがあります。 マイボーム腺腫は多くが良性とされますが、眼瞼内側に生じると腫瘤が角膜に常に接触し、慢性角膜炎や角膜潰瘍の原因となるため、視機能への影響という観点からも見逃せません。 腫瘤が導管を物理的に圧迫・閉塞することで、同部位のマイボーム腺炎や霰粒腫を二次的に誘発することもあり、「腫瘍が原因で導管が詰まり、炎症が起きている」パターンを想定する必要があります。
臨床では、マイボーム腺炎として受診した症例の中に、よく観察すると眼瞼縁に色調の異なる小さな腫瘤が存在し、その周囲に炎症性変化が波及しているケースが見られます。 こうした症例では、局所の温罨法や抗菌薬のみでは改善が乏しく、腫瘤の外科的切除が行われることで初めて再発が抑えられることが多い点が特徴です。 悪性腫瘍の可能性も完全には否定できないため、高齢犬でのマイボーム腺炎や霰粒腫が繰り返し発生する場合には、早期に生検や専門的な眼科検査を検討する価値があります。
眼瞼腫瘍の存在がマイボーム腺炎の原因となる場合、腫瘍そのものが炎症性変化を伴っていることも多く、飼い主にとっては「できものが赤く腫れている」という訴えとして認識されがちです。 そのため、肉眼的には単純なマイボーム腺炎と区別がつきにくい症例もあり、腫瘤の性状(色、硬さ、表面の凹凸)、増大スピード、潰瘍や出血の有無などを丁寧に評価することが求められます。 こうした視点を持つことで、マイボーム腺炎の診察が「炎症だけを見る」段階から一歩進み、腫瘍性病変を含めた包括的な眼瞼評価へと発展します。
マイボーム腺炎 犬 原因とマイボーム腺機能不全・涙液脂質層
近年、非接触型マイボグラフィなどを用いた研究から、犬においてもマイボーム腺の形態異常や機能不全が存在し、ドライアイや慢性眼表面疾患と関連していることが報告されています。 マイボーム腺機能不全では、マイボーム腺開口部の閉塞や、分泌される脂質(マイバム)の粘稠化・質的変化が起こり、涙液の脂質層が不安定となることで眼表面からの涙液蒸発が増加し、眼の乾燥感や刺激感を引き起こします。 こうした慢性的なマイボーム腺機能不全は、炎症の場としてのマイボーム腺環境を変化させ、マイボーム腺炎の素地となる可能性があります。
マイボグラフィによる観察では、マイボーム腺の短縮や欠損、蛇行などの形態変化が確認されることがあり、これらは機能不全と関連していると考えられています。 犬では人ほどマイボーム腺機能不全が一般的に意識されていないものの、「原因不明のマイボーム腺炎を繰り返す症例」では、実は基盤に慢性の機能不全が存在している可能性を想定する必要があります。 特にシニア犬で、軽度の結膜充血や眼脂増加を繰り返す症例では、単発の炎症や感染だけでなく、涙液の質的異常やマイボーム腺機能の視点から眼表面を評価することが、長期的な管理に役立ちます。
マイボーム腺機能不全が背景にある場合、マイボーム腺炎の治療は抗菌薬や切開だけでは不十分で、継続的な温罨法や眼瞼マッサージ、眼瞼清拭など、マイボーム腺の排出を促すケアが重要になります。 また、脂質層の安定化を目的とした人工涙液の選択や、アトピー性皮膚炎・内分泌疾患など全身性の背景疾患への介入も、再発を抑えるうえで欠かせない視点です。 マイボーム腺炎を単なる局所の「できもの」ではなく、涙液動態や眼表面環境の異常の一端として捉えることで、より包括的なアプローチが可能になります。
マイボーム腺炎 犬 原因と臨床での見落としポイント・予防的視点
臨床現場では、マイボーム腺炎は「よくあるまぶたのトラブル」として扱われることが多い一方で、その原因の精査や背景因子の評価が十分に行われないまま対症療法に終始してしまうケースも少なくありません。 例えば、同居犬との粗いじゃれ合いやグルーミング習慣、トリミング時の誤った毛抜きなど、生活環境に由来する慢性的な眼瞼刺激が見逃されると、何度も同じ部位にマイボーム腺炎を繰り返すことがあります。 また、アレルギー体質や皮膚疾患の管理が不十分なまま局所治療のみを行うと、眼瞼縁の炎症環境が改善せず、結果としてマイボーム腺炎が慢性化・再発化しやすくなります。
予防的な観点では、定期的な眼瞼周囲の清拭やトリミング時の被毛管理、アレルゲンコントロールなどが、マイボーム腺開口部の清浄化と炎症負荷の軽減に寄与します。 特に長毛種や涙やけの強い犬では、眼瞼縁に常に湿潤環境と汚れが存在しやすく、細菌や酵母の増殖を助長するため、ホームケアの指導はマイボーム腺炎の一次予防として重要です。 さらに、シニア犬ではマイボーム腺腫を含む眼瞼腫瘍の早期発見を目的として、健診時に眼瞼縁をルーペやスリットランプで意識的に観察する習慣を持つことが、重篤な角膜合併症の予防に直結します。
マイボーム腺炎を繰り返す症例に対しては、「なぜこの犬だけ何度も起こるのか」という問いを立て、マイボーム腺機能不全、アレルギー体質、腫瘍性変化、生活環境など、多層的な原因を一つずつ検証していく姿勢が求められます。 こうした背景因子の評価は時間と労力を要しますが、再発を重ねるたびに局所の組織ダメージや瘢痕が蓄積し、眼瞼の形態変化や涙液動態異常を固定化させてしまう可能性を考えると、長期的には十分な投資と言えます。 飼い主への説明においても、「原因は一つではなく、体質や年齢、生活環境が重なっていることが多い」点を共有し、日常ケアと定期的な眼科チェックの重要性を理解してもらうことが、再発抑制とQOL向上につながります。
参考)犬と猫のマイボーム腺炎について|まぶたの腫れやニキビ、放って…
犬のマイボーム腺炎の原因と臨床的な考え方の整理には、総説的な解説や眼科専門施設の情報が参考になります。
マイボーム腺機能不全や眼瞼疾患の病態と検査・治療の概説(マイボーム腺機能不全・涙液脂質層の項目の参考リンク)

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