急性虹彩炎 症状
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急性虹彩炎 症状 眼痛 羞明 充血 視力低下
急性虹彩炎(臨床的には急性前部ぶどう膜炎に含めて扱われることが多い)では、患者の訴えとして「眼痛」「真の羞明」「充血」「霧視(視力低下)」が前面に出ます。MSDマニュアルでは急性前部ぶどう膜炎の所見として、眼痛、真の羞明、角膜周囲の充血(毛様充血)、細隙灯での前房細胞・フレアが挙げられています。
この“真の羞明”は、角膜表層刺激のチクチクした痛みというより、光刺激で眼内の炎症が増幅されて起こる不快感として表現されることがあり、問診で拾えると診断の精度が上がります。患者が「片目が赤い」だけを主訴にしていても、光で悪化する痛みや見えにくさ(かすみ)を追加で確認すると、結膜炎と違う経路に乗せやすくなります。
診察では、充血のパターンが重要です。結膜炎のようなびまん性の結膜充血より、角膜周囲に近接した毛様充血が目立つと前眼部炎症を疑う根拠になります。加えて、霧視は角膜浮腫、高度の前房フレア、散瞳/縮瞳異常、合併する眼圧上昇など複数要因で起こり得るため、症状だけで「軽症」と決め打ちしない姿勢が必要です。
医療従事者向けに一言でまとめるなら、「赤い+痛い+眩しい+見えにくい」は“前部ぶどう膜炎の言葉”として記憶しておくと便利です(ただし鑑別は必須)。また高齢者では痛みの訴えが弱いこともあるため、羞明・見えにくさ・頭痛や吐き気の有無までセットで確認すると取りこぼしを減らせます。
急性虹彩炎 症状 前房細胞 フレア SUN グレード
急性虹彩炎の症状を「所見」に翻訳する要が、前房細胞とフレアの評価です。日本眼炎症学会の「ぶどう膜炎診療ガイドライン」では、SUN(Standardization of Uveitis Nomenclature)に基づく前房細胞の評価(1mm×1mmスリット光での細胞数)や、前房フレアのグレーディングが整理されており、炎症活動性の共通言語として機能します。
前房細胞は、1視野あたりの細胞数により 0、0.5+(1〜5個)、1+(6〜15個)、2+(16〜25個)、3+(26〜50個)、4+(51個以上)という段階で評価されます。フレアはTyndall現象として観察され、none(0)から intense(4+:線維素や“プラスティック前房水”)までの段階で評価されます。
ここで臨床的に効くポイントは、「症状の強さ」と「炎症グレード」が必ずしも一致しないことです。痛みが軽くても前房にしっかり細胞が出ている例はありますし、逆に痛みが強いが細胞が少ない場合は角膜疾患や急性緑内障発作など別軸の病態を考える必要があります。
また、経過記載の用語(acute / chronic / recurrent など)もSUNで定義が提案されており、再発性の扱い(発作間の非活動期など)をチーム内で共有しやすくなります。電子カルテ上のテンプレにSUNグレードを組み込んでおくと、当直帯や紹介状での情報劣化を減らせます。
この“定量化”は研究のためだけではなく、ステロイド点眼の頻度調整、漸減のタイミング、再燃の判定など、日常診療の意思決定を安全側に寄せるための道具になります。
急性虹彩炎 症状 鑑別 急性緑内障発作 角膜炎 眼内炎
急性虹彩炎を疑ったときに、症状が似ていて見逃すと危険度が上がる鑑別として、まず急性緑内障発作(急性閉塞隅角緑内障)を外しておく必要があります。急性緑内障発作は、突然の眼痛や視力低下に加えて、頭痛・吐き気・嘔吐など全身症状を伴うことがあり、迅速な眼科緊急紹介が必要とされています。
同じ「充血+痛み」でも、急性緑内障発作は高眼圧による角膜浮腫で“かすみ”が強く、瞳孔が中等度散瞳で固定気味、圧痛が強いなどの所見が組み合わさります。眼圧測定が可能な環境なら、急性虹彩炎を疑っても“まず測る”という順序が安全です(ただし測定前に明らかな角膜障害がないかも確認)。
次に、角膜炎(細菌・ウイルス・アカントアメーバ等)や角膜びらんは、羞明と流涙が前景に出やすく、フルオレセイン染色で上皮欠損が見つかることがあります。前房反応が二次的に出ることもあるため、「角膜所見の有無→前房所見」という順序で情報を統合すると迷いにくいです。
さらに、眼内炎(術後など)や重篤な感染性ぶどう膜炎は、前房蓄膿・線維素析出・硝子体混濁など強い炎症所見を伴い得ます。ぶどう膜炎診療ガイドラインでも、細菌性眼内炎は眼痛、毛様充血、前房炎症(線維素析出)、前房蓄膿、硝子体混濁などを示しうると整理されています。
つまり「急性虹彩炎“らしい”」で止めず、(1)眼圧、(2)角膜染色、(3)前房の線維素/蓄膿、(4)硝子体混濁で眼底が見えるか、の4点を最低限チェックできる導線をチームで作ると、危険な取り違えが減ります。
参考:ぶどう膜炎の標準化(前房細胞・フレアのSUN評価、治療の原則や合併症)がまとまっている
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/uveitis_guideline.pdf
急性虹彩炎 症状 合併症 後癒着 続発緑内障 白内障
急性虹彩炎は「症状が治まれば終わり」ではなく、炎症そのものと治療の両方が合併症を作り得る点が重要です。ぶどう膜炎診療ガイドラインでは、炎症を繰り返し慢性経過をとる場合に併発白内障、続発緑内障などを生じうること、続発緑内障の機序として虹彩後癒着による瞳孔ブロック、周辺虹彩前癒着による隅角閉塞、線維柱帯の障害、さらには治療薬(ステロイド)による眼圧上昇の可能性が述べられています。
臨床で特に意識したいのは、後癒着(虹彩後癒着)が短期間でも形成され得ることです。後癒着が進むと散瞳不良や瞳孔変形だけでなく、瞳孔ブロックを介して眼圧上昇を招くため、単なる“見た目の問題”ではありません。点眼ステロイドだけでなく、瞳孔管理(散瞳薬併用)を組み合わせる意義はここにあります(ただし、閉塞隅角素因が強い症例では散瞳がリスクになるため眼科判断が前提)。
続発緑内障は、炎症性デブリによる線維柱帯の目詰まり、ステロイド反応性、癒着性変化など機序が複数で、同じ患者でも経過中に“原因が入れ替わる”ことがあります。そのため、眼圧が上がった時に「炎症が強いから仕方ない」と固定観念で流さず、前房所見・隅角所見・薬剤歴を見直す必要があります。
白内障も、炎症によるものとステロイドによるものが重なり得ます。若年者の再発例では、視力低下の原因が“炎症の再燃”だけでなく“水晶体混濁の進行”であることもあるため、視力低下=炎症悪化と短絡しない観察が大切です。
患者説明では「再発」「癒着」「眼圧」「白内障」を、怖がらせずに“モニタリングが必要な理由”としてセットで伝えると、通院中断の予防に繋がります。
急性虹彩炎 症状 独自視点 仕事運転 点眼アドヒアランス
検索上位の一般向け記事では、症状や治療薬の名前は書かれていても、「なぜ通院と点眼の継続が途切れるのか」「現場でどう支えるか」という運用面は薄くなりがちです。医療従事者向けには、急性虹彩炎の症状そのものが、点眼アドヒアランスを落とす要因になり得る点を“独自視点”として押さえると、指導の質が上がります。
例えば、羞明と霧視が強い患者は、点眼後の一時的なかすみ、診察での散瞳による眩しさ増悪を「悪化した」と誤解しやすく、自己判断で点眼を中断することがあります。ぶどう膜炎診療ガイドラインでも治療としてステロイド点眼と散瞳薬(瞳孔管理)の併用が記載されており、散瞳薬が生活に与える影響(近見困難・まぶしさ)を見越した説明が実務上重要になります。
また、運転・夜間作業・精密作業がある患者では、散瞳による見え方の変化が安全性に直結します。勤務調整やサングラス使用、屋内照明の工夫、点眼タイミングの提案(例:就寝前に散瞳薬を寄せるか等)は、病態を変えないままQOLを下げすぎないための介入になります。
さらに再発性の患者ほど「いつものやつ」と受診が遅れがちですが、同じ症状に見えてもヘルペス性前部ぶどう膜炎など病因が異なるケースが混ざります。ガイドラインではヘルペス性前部ぶどう膜炎でPCR等による病因同定が有用で、ステロイド点眼単独では効果が乏しく慢性化することがある点も述べられており、“自己判断で残薬を使う”行動を抑える説明が必要になります。
このセクションの狙いは、症状・所見・治療の知識を、患者の行動(点眼継続、早期受診、危険兆候の理解)に接続することです。外来では数分しかないため、「危険なサイン(強い頭痛・吐き気、急激な視力低下、角膜の白濁感)」「点眼の目的(炎症を止める+癒着を防ぐ)」「次回までの生活注意(運転、遮光)」の3点に絞って伝えると再現性が高くなります。