急性角膜炎原因と症状と検査と治療

急性角膜炎 原因

急性角膜炎の原因を短時間で整理
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感染性か非感染性かを先に分ける

細菌・真菌・ウイルス・アカントアメーバなどの感染性と、外傷・薬剤毒性・紫外線・CL関連などの非感染性を最初に切り分けると、検査と初期治療が迷いにくくなります。

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塗抹と培養が診断の軸

感染性が疑われるときは、角膜擦過物で塗抹検鏡と培養を行い、原因微生物を特定して治療の精度を上げます。

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ステロイド点眼は「原因確定前」に注意

感染性角膜炎では、病型によってステロイドが悪化要因になり得るため、所見と検査結果の整合を確認しながら判断します。

急性角膜炎 原因の分類と感染

 

急性角膜炎は、角膜に炎症が急速に起こる状態の総称で、臨床的には「感染性」と「非感染性」に分けて考えると整理しやすいです。感染性角膜炎は、角膜組織に病原体が侵入・増殖して炎症を起こす疾患で、細菌・真菌・ウイルス(HSV/VZV/CMV)・アカントアメーバなどが原因になります。

感染性角膜炎は発症後の進行が速いことがあり、初期の見立てを誤ると重篤な視力障害につながり得るため、病原体推定と検査・治療の同時進行が重要です。

原因微生物の頻度は発症誘因で変わり、たとえばCL関連では緑膿菌やアカントアメーバが問題になりやすい、とガイドラインでも背景として強調されています。

一方、非感染性の急性角膜炎には、角膜上皮の障害を起点に炎症が起こるパターンが含まれます。代表例は外傷(異物・擦過)、紫外線(雪目)、薬剤毒性や化学物質ドライアイ眼瞼炎など眼表面環境の破綻、そしてコンタクトレンズによる上皮障害です。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/2e8798770c0ac50402761e5d64c2c88b4dd46176

実臨床では「非感染性の傷」から二次感染に移行することがあるため、問診で契機(外傷、CL、手術、薬剤、紫外線)を具体的に拾い、所見と矛盾がないかを確認します。

医療従事者向けの注意点として、原因分類は“病原体名を当てる”こと自体が目的ではなく、「今すぐ角膜擦過をしてよい状況か」「初期治療を広く張るべきか」「ステロイドを避けるべきか」を決めるための手段です。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/dc5be42878ccb40337787f8307c916de025c11e8

特に感染性が疑わしいのにステロイド点眼が先行すると、所見が修飾されて診断が遅れたり、病態が悪化したりするリスクがあるため、診断プロセスの順序を意識します。

急性角膜炎 原因としてのコンタクトレンズと外傷

急性角膜炎の原因として、コンタクトレンズ(CL)装用は国内でも主要な誘因とされ、ガイドラインでも発症誘因として最多を占める背景が示されています。

特に日常のレンズケアが必要なSCLでケア不良があると、レンズや保存ケースの汚染を介して病原体が眼表面に持ち込まれる機序が想定され、重症例では緑膿菌やアカントアメーバが多い点が注意事項として挙げられています。

CL関連の感染性角膜炎は両眼性の頻度が高いこともあるため、「片眼だから軽い」と決めつけず、装用状況(種類、交換周期、就寝時装用、洗浄方法、ケース管理)を系統立てて確認します。

外傷(異物、突き目、擦過)も急性角膜炎の代表的な原因で、細菌感染が多い一方、植物外傷では糸状菌(Fusariumなど)も鑑別に入れるべきだとガイドラインに明記されています。

「外傷=細菌」と短絡しないことが重要で、治療抵抗性、痛みの割に進行が緩徐、境界不明瞭で羽毛状などの所見があれば真菌性を疑って検査・治療を組み替えます。

加えて、角膜移植や屈折矯正手術などの眼手術既往、ドライアイや眼瞼炎などの眼表面疾患も誘因として頻度が高い背景が示されており、外傷がはっきりしない症例でもリスク因子から再評価します。

臨床で見落としやすいのは「小さな上皮障害+強い疼痛」の組み合わせです。アカントアメーバ角膜炎ではCLを契機とすることが多く、初期に偽樹枝状病変や放射状角膜神経炎などの特徴的所見を呈するため、ヘルペスや単純な擦過傷として処理しない視点が必要です。

また、CL関連の重症例では頻回点眼が必要になりやすい一方、患者のアドヒアランス不良が治療不成功の要因になることがあるため、治療計画を「現実に実行できる形」に落とし込む説明も医療側の重要な役割になります。

急性角膜炎 原因と症状と角膜所見

急性角膜炎の症状は、眼痛、流涙、充血、視力低下、眼脂などが中心で、感染性角膜炎では日常生活に支障を来し得る疼痛や流涙を伴うことがガイドラインでも述べられています。

ただし症状の強さと重症度は一致しないことがあり、たとえばステロイド点眼が投与されていると充血が目立たないことがあるため、見た目の軽さで判断しない姿勢が求められます。

所見の読み取りは原因推定の核で、上皮病変(樹枝状、偽樹枝状、地図状)と実質病変(浸潤、膿瘍、潰瘍、浮腫)を分けて観察します。

ウイルス性では、HSVによる樹枝状病変(terminal bulb、上皮内浸潤)が典型で、治療されず遷延すると地図状病変へ進展し得ることがガイドラインに詳述されています。

一方、VZV(帯状ヘルペス)でも偽樹枝状病変が出現し、terminal bulbがなく細い病変でフルオレセイン染色性が弱いなど、HSVとの違いを意識して鑑別します。

帯状ヘルペスでは三叉神経領域の皮疹や神経痛など全身所見がヒントになり、鼻背・鼻尖に皮疹がある場合に眼合併症が増える(Hutchinson徴候)こともガイドラインに記載されています。

細菌性では、角膜実質の浸潤や膿瘍、潰瘍形成が問題になり、緑膿菌はCL関連で重要かつ急速進行して穿孔し得るため、早期から強い警戒が必要です。

真菌性では、糸状菌で羽毛状潰瘍(hyphate ulcer)や角膜後面プラーク(endothelial plaque)などが特徴的で、植物外傷やステロイド点眼が背景にある場合に疑いを強めます。

意外性のあるポイントとして、真菌性でも炎症反応に乏しい表層限局型があり、角膜沈着物との鑑別が必要になることがある、とガイドラインは注意喚起しています。

ここでの実務的なコツは、「所見の型」と「誘因」の矛盾を探すことです。たとえばCL装用者で、上皮欠損が小さいのに痛みが極端に強い、経過が緩徐、偽樹枝状病変がある場合は、アカントアメーバやVZVも含めて再点検します。

また、前房炎症(前房内炎症細胞、前房蓄膿)を伴うかどうかは感染性の可能性を押し上げ、非感染性角膜炎との鑑別の助けになると整理されています。

急性角膜炎 原因を見極める検査と治療

急性角膜炎で感染性が疑われるとき、原因を詰める検査の基本は角膜病巣部擦過物による塗抹検鏡と培養検査で、ガイドラインでは細菌性角膜炎の診断に「強く推奨」されています。

塗抹は迅速性が利点で、GiemsaやGram染色を状況に応じて使い分け、真菌やアカントアメーバでは蛍光染色(ファンギフローラY)なども選択肢になると整理されています。

培養は同定と薬剤感受性の情報が得られる一方、常在菌の混入を踏まえて「起炎菌かどうか」を検鏡所見・臨床像・治療反応と総合判断する必要がある点もガイドラインに明記されています。

HSV角膜炎の診断では、PCRや免疫クロマトグラフィー(ICG)が有用とされ、ICGは特異度が高い一方で感度が十分でないため陰性でも否定できない、という実務上の落とし穴が解説されています。

さらに、PCRは微生物DNAの存在を示すにとどまり、生菌や活動性ウイルスを必ずしも証明しないため、結果の解釈には注意が必要とされています。

医療従事者向けには、この「検査の限界」を患者説明にも落とし込み、陰性結果で安易に治療を止めない判断が重要です。

治療は原因別に大きく変わり、細菌性では起炎菌に有効な抗菌薬点眼が必須で、同定前は背景・誘因・角膜所見から起炎菌を推測して初期治療を開始するとガイドラインに示されています。

軽症では1剤、重症では作用機序の異なる2剤併用(例:グラム陰性桿菌疑いでフルオロキノロン+アミノグリコシド、グラム陽性球菌疑いでフルオロキノロン+セフェム)という考え方が具体例として提示されています。

重症例では30分~1時間ごとの頻回点眼が必要になることがあり、PAE(post-antibiotic effect)を踏まえて投与設計する視点も解説されています。

真菌性では、日本で保険適用の局所薬が限られる現実があり、糸状菌(特にFusarium)ではピマリシン(ナタマイシン)が第一選択であること、ボリコナゾール点眼は広域だがFusariumに弱い場合があることなど、薬剤選択の注意点が整理されています。

アカントアメーバ角膜炎では、ビグアナイド系消毒薬(クロルヘキシジンやPHMB)の自家調整点眼が第一選択に位置づけられ、ステロイド点眼が予後不良因子になり得る報告があるため推奨されない、とガイドラインは述べています。

この領域は施設差が出やすいので、転帰を分けるのは「疑った時点で専門的検査・治療が可能な体制へつなげるか」であり、紹介のタイミングも治療の一部として捉えます。

参考リンク(感染性角膜炎の原因微生物、誘因、検査(塗抹・培養・PCR)、治療選択と注意点が体系的にまとまっています)

感染性角膜炎診療ガイドライン(第3版)PDF

参考リンク(角膜ヘルペス等の概要、症状、再発しやすさ、感染予防の注意点など患者説明にも転用しやすい要素があります)

日本眼科医会:角膜の病気

急性角膜炎 原因と独自視点の医療安全

急性角膜炎の原因を追うとき、検索上位の解説では「病原体の種類」や「症状の典型像」に焦点が当たりがちですが、医療安全の観点では“原因を固定してしまう認知バイアス”が最も危険な落とし穴になります。ガイドラインでも、臨床所見から原因病原体を推定しつつ、塗抹・培養など微生物学的検査で確定診断し治療へ進むことが強調されており、推定と確定を混同しない流れが重要です。

つまり「ヘルペスっぽい」「CLだから緑膿菌だろう」という直感は出発点としては有用でも、検査結果・経過・治療反応で随時上書きされるべき仮説です。

現場で実装できる安全策として、原因推定のブレを減らす“チェック項目の固定化”が有効です。たとえば初診時に以下をテンプレ化すると、忙しい外来でも原因見落としが減ります。

・問診テンプレ(原因の手がかり)

  • CL:種類、装用時間、就寝装用、洗浄・こすり洗い、保存液、ケース交換、入浴・水場での取り扱い。​
  • 外傷:植物外傷の有無、粉塵/金属、異物感の持続、受傷から受診までの時間。​
  • 薬剤:点眼薬の種類、頻回使用、自己判断でのステロイド使用の有無。​
  • 既往:角膜移植/眼手術、ドライアイ、眼瞼炎、免疫抑制状態。​

・所見テンプレ(原因の手がかり)

  • 上皮:樹枝状/偽樹枝状/地図状、染色性、terminal bulbの有無。​
  • 実質:浸潤、膿瘍、潰瘍、羽毛状、輪状浸潤、角膜後面プラーク。​
  • 前房:炎症細胞、前房蓄膿、KPの分布と形状。​

次に、治療開始後の“再評価の時点”をあらかじめ決めておくことが、独自視点として重要です。感染性角膜炎は進行が速いことがあるため、開始治療で改善が乏しい場合は「アドヒアランス」「混合感染」「起炎菌推定の誤り(細菌→真菌/アメーバ/ヘルペス)」を順に疑うべきだとガイドラインは整理しています。

具体的には、(1)点眼手技と頻度が守れているか、(2)培養結果と塗抹・臨床像の整合、(3)ステロイドが紛れ込んでいないか、(4)水場曝露+CLでアカントアメーバの取りこぼしがないか、という順序で点検すると、軌道修正が早くなります。

最後に、患者説明(医療者間連携も含む)も“原因対策”の一部です。ガイドラインが示すように頻回点眼が必要になるケースがあるため、点眼回数・生活調整・再診の重要性を言語化し、実行可能性を担保することが治療成績に直結します。

急性角膜炎は「原因が何か」だけでなく、「原因を取り違えない仕組み」を作れるかで視機能予後が変わる領域であり、その意味で医療安全の設計が臨床力そのものになります。



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