急性腎障害 症状 診断 原因 検査 治療

急性腎障害 症状

急性腎障害の症状を「見える化」
🧪

症状が乏しくてもAKIは成立

尿量が保たれる場合もあり、採血で初めてCr上昇に気づくケースがあるため、症状だけで除外しない。

🚰

尿量と溢水は最優先で確認

乏尿・無尿、体重増加、浮腫、胸水、呼吸苦などは進行のサインになりうる。

高カリウム血症など致死的合併症

不整脈、意識障害、痙攣などは電解質・尿毒症・酸塩基異常の可能性があり、緊急対応と腎代替療法の検討が必要。

急性腎障害 症状 尿量減少 と むくみ

 

急性腎障害(AKI)の症状として臨床でまず意識したいのは、尿量減少(乏尿・無尿)と体液貯留(むくみ、体重増加、溢水)です。

ただし「尿量減少がないAKI」もあり、尿量だけで安心すると見逃しが起こります。

溢水が進むと胸水や呼吸不全、心不全の形で表面化することがあり、患者の訴えとしては「息苦しい」「横になると苦しい」など循環・呼吸症状に寄ることもあります。

一方で、腎前性(脱水や循環血液量低下)では、浮腫よりも口渇・皮膚ツルゴール低下・起立性低血圧など“脱水の徴候”が前面に出る場合があり、「むくみがない=AKIではない」とは言えません。

✅現場での実装ポイント(チェックの順番)

  • 尿量:6時間の尿量推移(導尿やカテ管理の有無も含めて評価)。
  • 体重:前日比+1kg以上など、溢水の進行を早期に拾う。
  • バイタル:血圧低下・頻脈・発熱(敗血症)を同時に見る。

急性腎障害 症状 倦怠感 と 食欲低下 と 嘔気

AKIでは、全身倦怠感、食欲低下、悪心・嘔吐など“非特異的”な症状がみられ、病棟では他疾患の随伴症状として埋もれやすいのが難点です。

これらは尿毒症そのもの、あるいは原因疾患(感染、心不全、薬剤など)の症状と重なりうるため、「症状の原因をAKIと断定」するより「症状をきっかけに採血・尿検査で確認」する流れが安全です。

とくに高齢者や小児では、訴えが乏しい・表現が曖昧なことがあり、傾眠や活動性低下が先行することもあります。

📝病棟で拾いやすい問診例

  • 「昨日より食べられない」「ムカムカする」「だるさが強い」→採血でCr/BUN/Kを確認。
  • 「水分がとれていない/下痢・嘔吐が続く」→腎前性AKIの文脈で尿所見と循環評価へ。

急性腎障害 症状 検査 クレアチニン と BUN と カリウム

AKIは症状より検査で顕在化することが多く、血清クレアチニン(Cr)上昇、BUN上昇、高カリウム血症などが重要な手がかりになります。

診断・重症度評価ではKDIGOの基準が広く用いられ、Crの上昇(例:48時間以内に0.3mg/dL以上、または7日以内に1.5倍以上)や尿量低下でステージ分類します。

「乏尿期」に高窒素血症・高カリウム血症・代謝性アシドーシスなどがそろうと、症状(悪心、意識変容、不整脈など)も急に重くなり得るため、数値の変化速度も含めて評価が必要です。

また腎後性(閉塞)の見逃しは致命的になりうるため、AKIを疑ったら“まず閉塞がないか”を意識して残尿や腎エコーを検討するのが定石です。

腎機能の基本とAKIの症状(尿量低下、むくみ、倦怠感など)の整理に有用。

日本腎臓学会:急性腎障害と慢性腎臓病

AKIの定義・ステージ(KDIGO)を日本語で確認でき、教育資料として使いやすい。

KDIGO AKIガイドライン(日本語版)

急性腎障害 症状 原因 腎前性 と 腎性 と 腎後性

AKIの原因は大きく腎前性(循環血液量低下など)、腎性(腎実質障害)、腎後性(尿路閉塞)に分けて考えると、症状・所見の解釈と初期対応が整理しやすくなります。

腎前性では脱水や出血、下痢・嘔吐、利尿薬などが背景になり、身体所見は「むくみ」より「脱水」を示すことが多い、という逆説が臨床の落とし穴です。

腎性では薬剤性腎障害なども含まれ、採血で高カリウム血症や代謝性アシドーシスが進むと症状が急変し得るため、原因薬剤や併用薬の棚卸しが重要になります。

腎後性は「出ない(排尿できない)」が全てではなく、排尿があっても高度の閉塞があり得るため、残尿評価や腎エコーの優先度を高く置きます。

📌原因推定に役立つ観察(入れ子にしない要点)

  • 腎前性を示唆:下痢・嘔吐、発汗、利尿薬、出血、血圧低下。
  • 腎性を示唆:新規薬剤開始後の経過、感染後、膠原病背景など(病歴が鍵)。
  • 腎後性を示唆:下腹部膨満、排尿困難、前立腺疾患既往、残尿増加。

急性腎障害 症状 独自視点 乏尿単独 と リスク

検索上位の解説では「Cr上昇」が中心になりがちですが、独自視点として強調したいのは“乏尿単独”が軽視できない点です。

日本腎臓学会のAKIガイドライン資料では、KDIGOのCr基準と尿量基準をともに満たす患者が最も予後不良である一方、Cr基準を満たさない乏尿単独でも長期的な死亡や腎代替療法(RRT)導入リスクと関連しうることが示されています。

つまり「Crがまだ上がっていないから様子見」ではなく、尿量の時間軸(何時間続くか)と臨床状況(敗血症、術後、造影後など)を合わせて、早期の介入余地を検討するほうが安全です。

現場では、体液量の過不足の修正(輸液・利尿薬の適正化)、原因薬の中止、閉塞解除、感染源コントロールなど“原因に直結する介入”ほど効果が出やすい一方、遅れるほど取り返しがつきにくくなります。

🔍見逃しにくくする運用の工夫

  • 「尿量が6時間で減った」時点でAKIアラート:KDIGOの尿量基準に沿う。
  • 「乏尿+敗血症疑い」は別枠で扱う:敗血症が背景に多いことが示される資料もある。
  • 「腎後性の除外」をテンプレ化:残尿・エコーを初動に組み込む。


Medical Practice 2023年 08 月号 [雑誌]【特集】急性腎障害(AKI) 新たな局面に向けて