休日加算算定要件 と 救急医療管理加算 や 輪番制 の 関係

休日加算の算定要件

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休日加算算定要件の重要ポイント
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対象日の特定

日曜、祝日、年末年始(12/29-1/3)が対象。振替休日の扱いにも注意が必要です。

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体制による区別

輪番制や救急指定なら「休日加算」。恒常的な日曜診療なら「夜間・早朝等加算」になります。

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レセプト記載

受診時刻の記載は必須。「緊急やむを得ない」理由の明記が査定対策の鍵です。

[基本] 休日加算算定要件 の対象となる日と 12月29日 の扱い

 

医療事務の現場において、休日加算算定要件を正確に理解することは、適切な診療報酬請求の第一歩です。多くの医療機関で混同されがちなのが、「カレンダー上の休日」と「診療報酬上の休日」の定義の違いです。基本的に、休日加算が算定できる日は、日曜日および国民の祝日に関する法律(祝日法)で定められた休日ですが、これに加えて年末年始の特例が存在することを忘れてはいけません。

具体的には、以下の日程が休日加算の対象となります。

  • 日曜日
  • 国民の祝日(振替休日を含む)
  • 1月2日および1月3日
  • 12月29日、12月30日および12月31日

特に注意が必要なのが、年末の12月29日から31日の扱いです。官公庁の御用納めは通常12月28日であり、一般企業もそれに準じることが多いため、12月29日からは事実上の「年末休暇」に入ります。しかし、カレンダー上は平日である年もあるため、「平日だから時間外加算ではないか?」と誤認してしまうケースが散見されます。診療報酬点数表においては、この期間は明確に「休日」として扱われるため、要件を満たせば休日加算の対象となります。

また、休日加算の点数は、初診料においては250点、再診料においては190点という高い点数が設定されています。これは、医療スタッフの確保が困難な休日に診療体制を維持するためのコストを評価したものです。そのため、単に「休みの日だから」という理由だけで算定できるわけではなく、その背景には「地域医療の確保」という目的があることを理解しておく必要があります。

さらに、処置や手術、検査などを休日に行った場合、所定点数に160/100(つまり1.6倍の加算)を加算できる「休日加算1」などの規定も存在します。これらは基本診療料の休日加算とは別に計算されるため、算定漏れがないように注意が必要です。特に、緊急手術などが行われた場合は、その点数差が経営に大きく影響するため、医師と事務スタッフ間での情報共有が不可欠です。

参考リンク:休日加算について – 厚生局(休日加算の基本的な定義と対象日について詳述されています)

[区分] 休日加算算定要件 と 夜間・早朝等加算 の 標榜時間 による違い

休日加算の算定において最も複雑で、かつ査定(減点)を受けやすいのが、「夜間・早朝等加算」との区別です。この二つの加算の境界線は、その医療機関が「いつを診療時間(標榜時間)として届出しているか」によって決まります。

原則として、休日加算は「休日に急病患者が発生した場合の救急医療」を評価するものです。したがって、医療機関が自らの意思で「日曜日は毎週午前中に診療を行います」と保健所に届け出ている(標榜している)場合、その日曜日の診療は「通常診療」とみなされます。この場合、日曜日であっても休日加算は算定できず、代わりに「夜間・早朝等加算」(50点)を算定することになります。

この区別を整理すると以下のようになります。

診療の状況 算定できる加算 理由
輪番制や救急指定で休日に診療 休日加算 地域医療確保のための公的な要請に基づく診療であるため。
自主的に日曜・祝日を診療日としている 夜間・早朝等加算 医療機関の都合(サービスの一環)による通常診療であるため。
上記の通常診療時間外に急患が来た 休日加算 通常診療時間を過ぎれば、そこは純粋な「休日対応」となるため。

ここで重要なキーワードとなるのが「客観的」な体制確保です。休日加算を算定するためには、単に「休日に店を開けている」だけでは不十分で、「客観的に休日における救急医療の確保のために診療を行っている」と認められる必要があります。具体的には、地域医師会の在宅当番医制(輪番制)に参加している場合や、救急病院として告示されている場合などがこれに該当します。

多くのクリニックで陥りやすいミスが、「日曜日は他が開いていないから患者サービスのために開けよう」と善意で診療を行い、誤って高い点数である休日加算を請求してしまうケースです。これが監査や指導で指摘されると、過去に遡って返還を求められる可能性があります。「標榜時間内であれば、たとえ祝日であっても休日加算は取れない(夜間・早朝等加算になる)」という原則を、事務スタッフ全員で共有しておくことが重要です。

ただし、標榜時間内であっても、「急患」として通常の予約枠とは別に緊急対応したようなケース(例えば、日曜診療を行っているクリニックに、診療終了間際や休憩時間に呼吸困難の患者が担ぎ込まれた場合など)では、例外的に休日加算が認められるケースもゼロではありませんが、そのハードルは極めて高いと考えておくべきです。基本的には「標榜時間内=夜間・早朝等加算」という図式を徹底してください。

[実務] 休日加算算定要件 における レセプト 摘要欄 と 救急医療管理加算

休日加算を算定する際、レセプト(診療報酬明細書)の作成には細心の注意が必要です。特に重要なのが摘要欄への記載です。単に加算コードを入力するだけでなく、なぜその加算を算定したのかという根拠を明確に示すことが求められます。

まず必須となるのが、受診した「日付」と「時刻」の記載です。さらに、その診療が「緊急やむを得ない」ものであったかどうかを示すコメントが重要になります。特に、通常の診療時間と隣接する時間帯(例えば、土曜日の午後など)に休日加算を算定する場合、審査側は「本当に緊急だったのか?」「単なる時間外診療ではないか?」という疑いの目を持ちます。

ここで関連してくる重要な加算が「救急医療管理加算」です。休日加算を算定するような状況では、患者の状態が重篤であることも少なくありません。もし患者が入院を要するような状態で、緊急に診療を行った場合、休日加算に加えて救急医療管理加算(1または2)を算定できる可能性があります。

  • 救急医療管理加算1(950点): 意識障害、呼吸不全、心不全など、生命に関わる重篤な状態。
  • 救急医療管理加算2(475点): 1に準じる重篤な状態。

この加算を同時に算定する場合、レセプトの摘要欄には、具体的な「患者の状態」や「行われた処置の内容」、「入院の必要性」などを詳細に記載しなければなりません。単に「腹痛」と書くだけでは不十分で、「急性腹症の疑いがあり、激しい疼痛と嘔吐を伴うため緊急入院とした」といった具体的な記述が必要です。

また、休日当番医(輪番制)として診療を行った場合は、その旨を摘要欄に記載するか、あるいは地域の取り決めで省略可能となっているかを確認する必要があります。地域によっては、「当番医」というコメントを入れるだけで審査がスムーズに通る場合もありますが、基本的には「いつ」「どのような状態で」「なぜ緊急対応が必要だったか」という5W1Hを意識した記載が、返戻や査定を防ぐ最大の防御策となります。

参考リンク:診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項(厚生労働省による公式な留意事項通知です)

[対策] 休日加算算定要件 の 査定 を防ぐ 基礎額 と算定不可ケース

休日加算の算定において、最も恐ろしいのが審査機関による「査定(減点)」です。苦労して休日対応をしたにもかかわらず、数ヶ月後に「算定要件を満たしていない」として加算分がカットされるのは、経営的にもスタッフのモチベーション的にも大きな痛手です。査定を防ぐためには、算定できないケース(算定不可要件)を熟知しておく必要があります。

まず理解すべきは、休日加算の計算構造です。休日加算は通常、初診料や再診料といった「基礎額」に加算される形をとりますが、処置や手術の場合は「所定点数の100分の160」といった形で計算されます。ここでミスが起きやすいのが、慢性疾患の患者への対応です。

よくある査定パターン:

  1. 慢性疾患の定期処方:

    「仕事が忙しくて平日に来られなかったから、休日の当番医でいつもの血圧の薬をくれ」という患者に対し、休日加算を算定して処方を行った場合。これは「緊急やむを得ない受診」とは認められ難く、休日加算が査定され、通常の再診料のみ(あるいは時間外加算への振替)とされる可能性が高いです。この場合、特定疾患療養管理料なども同時に査定されることがあります。

  2. 電話再診のみ:

    休日に患者から電話相談を受け、指示料を算定する場合。電話再診には休日加算はつきません(深夜などの時間帯による加算も原則つきません)。

  3. 往診との併用:

    往診料には既に「休日往診加算」などが設定されているため、外来の休日加算とは区別しなければなりません。

また、施設基準の届出漏れも致命的な査定理由になります。「夜間・早朝等加算」を算定するためには、週30時間以上の診療時間を確保していることなどの施設基準を届け出る必要がありますが、これを満たしていないのに、標榜時間内の日曜診療で加算を取ろうとすると全額査定になります。

さらに、医師会等の輪番制に参加していない医療機関が、独自の判断で「今日は特別に開けよう」として休日加算を算定することも、前述の通り「客観的」要件を満たさないため認められません。査定対策としては、自院が「どの加算を算定できる体制にあるか」を院内掲示板などで明確にし、受付スタッフが迷わず判断できるフローチャートを作成しておくことが有効です。

[独自] 休日加算算定要件 における患者トラブル回避と「納得感」の醸成

最後に、検索上位の記事ではあまり触れられていない、しかし現場では極めて重要な「患者トラブル」への対策について解説します。休日加算算定要件を完璧に満たしていても、患者さんが「なぜこんなに高いのか」と窓口でクレームをつければ、現場は疲弊し、最悪の場合は未収金リスクにもつながります。

休日加算は、3割負担の患者さんであれば、初診時に750円〜(250点×10円×0.3)もの自己負担増となります。患者さんからすれば、「病院が開いていたから来ただけなのに、なぜ追加料金を取られるのか」という心理になりがちです。特に、日曜診療を標榜しているクリニック(夜間・早朝等加算:50点=150円増)と、当番医(休日加算:250点=750円増)の違いは、患者さんには区別がつきません。

トラブルを未然に防ぐためには、以下の3つの「納得感醸成アクション」が有効です。

  1. 「当番医」であることの強調表示:

    院内の掲示やウェブサイト、さらには電話の自動音声案内で、「本日は地域の救急医療を担う『当番医』としての診療です。そのため、通常の診療費とは異なる休日加算が適用されます」と明確に伝えます。「高い」ではなく「特別な体制である」ことを伝えます。

  2. 待ち時間の「意味づけ」:

    休日診療は混雑しがちです。「40分も待たされた上に高い」という不満がクレームの温床になります。「本日は地域で当院のみが開いているため、重症の方を含め多くの急患対応をしております」とアナウンスすることで、待ち時間が「病院の不手際」ではなく「地域医療への貢献の結果」であると認識を変えてもらいます。

  3. 「お薬の日数」への配慮:

    休日加算算定要件の趣旨は「救急対応」です。したがって、長期の投薬は本来の趣旨にそぐわないだけでなく、支払額の高騰を招きます。「本日は救急対応の日ですので、お薬は平日にかかりつけ医を受診されるまでの数日分となります」と説明することで、加算の正当性(あくまで緊急避難的な受診であること)を暗に伝え、納得感を高めることができます。

事務スタッフが「点数表のルールですから」と機械的に答えるのと、「休日の急な症状に対応するために、スタッフを緊急招集して体制を整えている費用です」と説明するのとでは、患者さんの受け止め方は天と地ほど異なります。休日加算算定要件の知識は、レセプト請求のためだけでなく、患者さんとの信頼関係を守るための「説明の武器」としても活用すべきです。

参考リンク:薬局・医療機関でのクレーム事例と対応(待ち時間や加算に関する具体的な対話例が参考になります)

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