共同性外斜視
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共同性外斜視の定義と恒常性外斜視と間欠性外斜視
共同性外斜視は、どちらかの眼位が外側へ偏位する外斜視のうち、視線方向(注視方向)によって偏位量が大きく変わりにくいタイプとして臨床的に扱われます。外来ではまず「いつも外斜視」か「ときどき外斜視」かの把握が最重要で、前者は恒常性外斜視、後者は間欠性外斜視として説明されます。
間欠性外斜視は、正常眼位と外斜視が行き来する状態で、疲労時・起床直後・明るい戸外などで出現しやすい特徴が整理されています。
恒常性外斜視は常に外斜視で、早期から出現する場合だけでなく、間欠性外斜視から移行する場合や、視力不良で両眼視機能が低下して恒常化する場合もあるとされています。
症状の捉え方も両者で異なります。間欠性では「普段は無意識に融像を保つ努力」をしているため疲れやすい、まぶしい環境で片目をつぶりやすい、といった生活上の特徴が臨床説明に直結します。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/008ffea099307738339f0bb452f17512ee1569d6
一方、恒常性では片眼視になりやすく、立体視や3D感覚の消失、視線が合っているか分かりにくいことによる対人面の問題が強調されています。
小児では複視を訴えにくく、ずれた眼の情報を抑制してしまう(抑制)ため、症状を聞くだけでは重症度を見誤りやすい点が注意点です。
共同性外斜視の症状と抑制と両眼視機能
外斜視が出現している瞬間、視覚入力としては「片眼視」か「複像(2つに見える)」のどちらかが起こり得ます。
小児では複像の自覚が乏しいことが多く、脳がずれた眼の像を消去する抑制が起こり、結果として両眼視機能が低下すると説明されています。
両眼視機能が低下すると、ボール遊びや平均台など奥行き推定が必要な活動が苦手になることがある、という臨床的な見立てが提示されています。
成人では、複像や「両眼で見ようとするとくっきりしない」といった訴えが生活障害として前景化しやすいとされます。
両眼視機能は、右眼と左眼の像を大脳で重ね合わせて単一像を作る働きで、同時視・融像・立体視の段階があると整理されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/61ec194bd78e72cf54f57a855f10a92069b0fdf1
この機能の発達は乳幼児期から進み、完成が5〜6歳頃と説明されており、斜視はこの発達と相互に影響し合う(斜視があると発達が阻害され、発達不全が斜視に関連する)という枠組みで理解されます。
医療従事者向けに強調したいのは、患者・家族の主訴が「見た目」中心でも、背景に両眼視機能低下や抑制が存在し得るため、機能評価の視点を外さないことです。semanticscholar+1
「意外に見落とされる点」として、抑制は“病的な現象”というより“脳の適応”として起こり得ることがQ&A形式で説明されており、症状が少ない=問題が小さい、とは限らない臨床メッセージになります。
この説明を患者教育に応用する場合は、「二重に見えないのは良いことでもあるが、両眼で合わせる力が育ちにくい(または維持しにくい)こともある」と、安心と注意を同時に伝える構成が有効です。semanticscholar+1
共同性外斜視の診断と遮閉試験とカバーテスト
斜視の有無の判断として、片眼ずつカバーする遮閉試験(カバーテスト)が基本であることが示されています。
カバーテストでは、遠見目標(例:5m)と近見目標(例:30cm)で評価し、カバーしていない眼の再固視運動から正位・内斜視・外斜視を疑う、という観察の骨格が説明されています。
同じ文脈で、カバーアンカバーテストは「遮閉を外したときの眼の動き」を見ることで斜位(潜伏斜視)の有無と方向を推定する検査として位置づけられています。
臨床運用のコツは、検査結果を「斜視か/斜位か」「恒常性か/間欠性か」という説明に直結させることです。恒常性外斜視では、遮閉試験で斜視と判断し、さらに“意識しても両眼で同時に見る瞬間が作れない”ことを確認して間欠性と区別する、というポイントが提示されています。
間欠性では、外斜視が出現しやすい状況(疲労・明るい戸外など)での再現性も臨床情報として価値があり、問診で「いつ・どんな時に片目をつぶるか」を取る意義が高まります。
乳幼児では遮閉試験の協力が得にくいことがあり、好きなおもちゃやペンライトを使いながら検査する、という実務的な工夫が記載されています。
また、乳幼児などで斜視角を正確に測れない場合に、角膜反射の位置で斜視角を推定するヒルシュベルグテストが用いられることも、検査選択の引き出しとして押さえておくと有用です。
参考リンク(外斜視の分類・症状・診断・治療の全体像)。
日本弱視斜視学会「外斜視」:恒常性外斜視/間欠性外斜視の症状・診断・治療の整理
参考リンク(遮閉試験や両眼視機能の基礎を復習)。
斜視の検査(カバーテスト、カバーアンカバーテスト、ヒルシュベルグ、両眼視機能の段階)
共同性外斜視の治療と視能訓練とプリズム眼鏡と斜視手術
外斜視の治療として、視能訓練・プリズム眼鏡・斜視手術が挙げられ、偏位量が小さい場合はプリズムなどの光学的療法や視能訓練が行われることがあると説明されています。
偏位量が大きい場合は斜視手術が行われ、さらに術後にもどり(再び外斜視となる)がしばしば見られるため、手術時期を含め慎重な検討が必要という注意点が示されています。
つまり「手術=完治の一回勝負」と短絡せず、再燃や追加介入の可能性も含めて、治療計画を長期視点で共有するのが現実的です。
恒常性外斜視に対しては、プリズムや視能訓練の効果は期待できないとされ、斜視手術が行われる方向性が明記されています。
ただし恒常性では、手術後に複視が出現することがあるため、術前に確認し、治療ができないと判断される場合もある、という重要な臨床判断が記載されています。
この「術後複視リスク」は、患者にとっては“治療したのに見え方が悪化する可能性”として強い不安要素になり得るため、術前説明では「なぜ起こるか(抑制の解除など)」「どの程度の頻度か(施設・症例依存)」を、施設の方針に沿って丁寧に言語化する必要があります。
外来での説明テンプレ(医療者向けメモ)としては、次の順で整理すると齟齬が減ります。
✅ 目的:見た目(眼位)だけでなく、両眼視機能・生活障害も評価対象。semanticscholar+1
✅ 方法:遮閉試験で斜視/斜位、恒常性/間欠性を切り分ける。semanticscholar+1
✅ 選択肢:小偏位→プリズム・視能訓練の余地、大偏位→手術を検討。
✅ 注意:術後もどり、恒常性では術後複視が問題になり得る。
共同性外斜視の独自視点:明るい戸外と片目つぶりの説明
間欠性外斜視では、明るい戸外で起こりやすく、片目をつぶりやすい特徴が挙げられています。
この所見は、保護者が最初に気づく“現場のサイン”になりやすい一方で、「まぶしいから」だけで片付けられ、受診が遅れる導線にもなり得ます。
独自視点としては、問診で「屋外で写真を撮る時に片目を閉じる」「運動会やスキー場など特定の環境で増える」といった具体場面に落とすと、家族が症状を再認識しやすくなり、遮閉試験での評価にもつながります。
さらに、患者説明の言い回しも工夫が効きます。
- 「まぶしさで“目を合わせ続ける努力”が途切れやすいタイプがある」→間欠性の病態説明に接続。
- 「二重に見えないのは、脳が上手に消している場合がある」→抑制の理解に接続。semanticscholar+1
- 「だからこそ、見た目だけでなく“両眼で合わせる力”も検査する」→両眼視機能評価の納得感を上げる。
外来での“見落とし回避”としては、片目つぶりを「癖」や「まぶしがり」と決めつけず、外斜視の出現条件として記録し、必要に応じて視能訓練・プリズム・手術を含む専門評価へつなぐ判断が重要になります。