薬機法施行令改正と薬機法改正の全体像
薬機法施行令改正と薬機法改正の位置づけ整理
薬機法は国会で改正される「法律」であり、その具体的な運用ルールを定めるのが内閣が定める薬機法施行令と厚生労働省が定める省令という階層構造になっています。
近年の改正では、まず薬機法本体で品質・安全性確保や安定供給体制強化といった大枠を規定し、その後に施行令・省令で対象医薬品の範囲や責任者の要件、届出・報告義務の具体像を細かく定める形が踏襲されています。
医療現場の実務としては、条文レベルの薬機法改正だけでなく「いつの政令改正で何が変わり、どの省令通知で現場ルールになったのか」を押さえることが、コンプライアンス対応の抜け漏れ防止に直結します。
薬機法とその政省令の改正経緯・資料が体系的にまとめられている厚生労働省の解説ページ。立法趣旨を確認したい場面の参考になります。
参考)令和4年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等…
薬機法施行令改正と医療用医薬品の安定供給体制管理責任者
2025年前後の薬機法改正に連動する施行令改正では、医療用医薬品の安定供給を目的に「特定医薬品」の定義や供給体制管理責任者の位置づけが政令レベルで整理されつつあります。
特定医薬品を製造販売する企業には、供給状況を常時把握し、出荷停止や供給不足時に増産や代替提案などを講じる体制整備が義務化され、医療機関側では電子処方箋管理サービス等のデータを活用した需給モニタリングの仕組みが想定されています。
この政令改正によって、これまで「努力義務」に近かった供給情報の共有が法的義務として明文化されるため、病院薬剤部では企業からの供給情報の読み解き方やリスクコミュニケーションのフロー見直しが重要なテーマになります。
安定供給体制の見直しと薬剤師業務への影響を医療現場向けに解説しているコラム。供給不足時の対応フロー検討に役立ちます。
2025年薬機法改正のポイントを分かりやすく解説(ヤクヨミ)
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薬機法施行令改正と薬局機能・調剤外部委託の実務
薬機法改正に伴う施行令・省令改正では、薬局の機能分化や調剤業務の一部外部委託を可能にする枠組みが整備されつつあり、都道府県知事の許可条件や委託可能な「定型的な調剤業務」の範囲が具体化されます。
外部委託が認められる一方で、薬歴管理、疑義照会、服薬指導といった患者アウトカムに直結する業務は薬局側の責任として残る想定であり、政令・省令による線引きが薬剤師の業務設計やシフト体制に直接影響します。
意外なポイントとして、薬局情報の報告義務と公表制度の整備により、在宅対応や専門性、夜間対応の有無などが可視化されることで、患者の薬局選択行動が変化し、結果として医療圏での処方集中・分散の構造にも影響を及ぼす可能性があります。
薬局機能の見直しと情報公表制度について、図表付きで整理している事業者向け解説。薬局側の準備事項の洗い出しに有用です。
参考)2025年改正薬機法で何が変わる?変更のポイントと薬局で取る…
薬機法施行令改正と広告・情報提供規制(ステマ・ウェブ発信を含む)
2023年前後の薬機法改正と景品表示法の改正では、医薬品・医療機器等の広告や健康食品の表示に関して、虚偽誇大広告やステルスマーケティングに対する規制が強化され、これに連動して施行令・省令でも対象行為の定義や罰則適用範囲が整理されています。
特に、インフルエンサーや個人ブログを通じた情報発信について、「事業者からの金銭・物品の供与があり、宣伝であることを明示していない」場合はステマ規制の対象となり得るため、病院広報やウェブを利用した患者向け情報提供でも、広告該当性を意識した表現管理が必要です。
医療従事者の感覚では「単なる情報提供」「経験談の共有」と思えるコンテンツでも、リンク先や訴求表現、比較優良表示などの組合せによっては法的には広告とみなされるケースが報告されており、院内の広報・診療科HP担当者との連携体制がリスク低減の鍵になります。
【2023年】薬機法改正まとめ|景表法のステマ規制強化について
参考)【2023年】薬機法改正まとめ|景表法のステマ規制強化につい…
薬機法施行令改正と医療現場のコンプライアンス教育・チーム体制(独自視点)
薬機法施行令や省令の改正は条文単位では地味に見える一方、医療安全・感染対策・経営企画・薬剤部など複数部署の「グレーゾーン運用」を一気に塗り替える力を持っており、コンプライアンス教育の更新サイクルを法改正スケジュールと連動させることが重要です。
具体的には、年1回の定期研修に加えて「政令・省令改正が施行される直前のタイミング」でミニ勉強会を行い、改正薬機法の趣旨と施行令・省令レベルの変更点、院内規程やマニュアルの改訂箇所を、チェックリストとケーススタディ形式で共有する仕組みが現場負担の少ない運用として有効です。
さらに、供給不足対応や広告規制、在宅医療と薬局機能など、改正事項は診療報酬や地域医療構想とも密接に絡むため、「法令対応チーム」と「経営戦略チーム」を分けずに同じテーブルで議論できる場を設けることが、単なるリスク回避にとどまらない医療サービス改善につながります。
改正薬機法の趣旨と実務対応を、弁護士視点で多角的に整理した解説。院内研修資料を作成する際のベースとして活用できます。