硬化性角膜炎と強膜炎
硬化性角膜炎の症状と視力低下
硬化性角膜炎という語は施設や文献での使い方に幅がありますが、臨床で問題になるのは「強膜炎などの深部炎症に引きずられて角膜周辺部に炎症・融解が波及し、視機能を脅かす」タイプです。強膜炎は、充血や眼痛、視力低下といった症状を起こし、関節リウマチやANCA関連血管炎など全身疾患の一症状として起こることがあります。
このタイプでは、患者の訴えが「赤い」「痛い」にとどまらず、強い眼痛(夜間増悪や眼球運動痛を含む)や霧視・視力低下が前面に出やすく、点眼抗菌薬だけで様子をみると病勢が進行し得ます。
周辺部角膜が障害される病態の代表として、Mooren潰瘍(特発性周辺部角膜潰瘍)は、著明な眼表面炎症を伴い急速に進行して角膜穿孔をきたし、視力予後が不良になり得るとされています。
さらに重要なのは、外見上は「角膜の病気」に見えても、背景に膠原病・血管炎が潜む場合があり、同じ周辺部角膜潰瘍スペクトラムとして連続的に捉えられる可能性が示されています。
現場での拾い上げポイントを、問診と所見で具体化します。
- 問診:強い眼痛、視力低下、既知の膠原病、関節痛、皮疹、鼻症状、喘息様症状、腎障害の既往など(血管炎を想起)。
参考)進行胃癌,膵管内乳頭粘液性腺癌の手術20日後にoverwhe…
- 所見:毛様充血、強膜の深い充血、角膜周辺部の菲薄化・混濁、前房炎症(虹彩毛様体炎を疑う所見)。
- 経過:短期間で所見が変化しやすい(「昨日より痛い」「急に見えない」など)。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/b6de213aa0187e8ccb82f7fb8e454c07bbe22339
硬化性角膜炎の検査とスリットランプ
硬化性角膜炎が疑われるときの検査は、角膜だけを見て終わらせず、原因検索を前提に組み立てるのが安全です。眼炎症外来の説明では、通常の眼科診察に加えて血液検査や胸部レントゲンを行い、必要に応じてMRI/CT、超音波、眼内液検査なども追加するとされています。
この「必要に応じて追加する」という部分が実臨床では難所で、救急や一般外来では検査の優先順位が曖昧になりがちです。
ただし、強膜炎は非感染性が多い一方で、外傷や術後の感染による強膜炎も稀にあるとされ、免疫抑制を開始する前に感染の可能性を常に評価する必要があります。
スリットランプ(細隙灯)では、次の観点で「角膜単独」か「強膜・ぶどう膜を巻き込む」かを切り分けます。
- 角膜周辺部:輪部に沿う浸潤や菲薄化、上皮欠損の範囲、周辺部優位か中央優位か(周辺部優位は全身疾患関連の潰瘍性角膜炎を疑う材料)。
- 前房:セル・フレアの有無(併発ぶどう膜炎の示唆)。
- 強膜:深い充血、圧痛、局所の隆起・菲薄化(壊死性の可能性を含めて評価)。
あまり知られていない落とし穴として、Mooren潰瘍(特発性周辺部角膜潰瘍)の原因は「免疫異常が想定されるが詳細不明」とされつつ、寄生虫感染やC型肝炎との関連を指摘した報告がある、と公的ページに明記されています。
つまり、周辺部角膜病変を「眼局所で完結する炎症」と決めつけず、感染症スクリーニングや内科的背景の棚卸しを早期に行う意義がある、ということです。
参考:特発性周辺部角膜潰瘍(Mooren潰瘍)の概要・症状・治療(ステロイド点眼、シクロスポリン内服、穿孔リスク、寄生虫感染/C型肝炎の関連指摘)
硬化性角膜炎の治療とステロイド
治療の大枠は、(1)感染性の除外と必要なら抗感染治療、(2)炎症(免疫)制御、(3)角膜融解・穿孔の予防と外科的保護、を同時並行で走らせる設計になります。
強膜炎を含む眼炎症では、軽症にステロイド点眼などの局所治療、再発性や難治性にはステロイド内服、重症例には免疫抑制剤(シクロスポリン)や生物学的製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ)を用いると説明されています。
周辺部角膜潰瘍(Mooren潰瘍)では、ステロイド点眼やステロイド+免疫抑制剤(シクロスポリン)内服がある程度有用とされる一方、保存治療でも急速に進行し角膜穿孔に至ることがある、とされています。
臨床の意思決定で重要なのは、「角膜炎=抗菌点眼」から一歩進んで、病態が免疫介在性であれば治療の主戦場が変わる点です。
ただし、免疫抑制の強化は感染リスクと背中合わせで、強膜炎にも感染性が稀にあることが示されているため、外傷歴・術後・局所所見(膿性所見など)の再確認が不可欠です。
穿孔が迫る場合、難病情報センターでは上皮移植やボーマン膜移植が有用とされる、と記載されていますが、奏功機序は不明ともされており、外科は「最後の手段」というより「タイミングが遅れると手遅れになる手段」と捉えるのが現実的です。
現場で使いやすい治療設計のチェックリストです(入れ子にせず簡潔に)。
- 免疫介在性が疑わしい:強い眼痛、強膜炎合併、周辺部優位、進行が速い。
- 感染の可能性が残る:外傷・術後、局所所見、免疫抑制中、コンタクトレンズ歴(要追加聴取)。
- 連携:内科/リウマチ科へ全身疾患評価を依頼(関節リウマチ、ANCA関連血管炎など)。
硬化性角膜炎の鑑別とMooren潰瘍
硬化性角膜炎を疑った段階で、鑑別は「感染性角膜炎」だけでなく、「周辺部角膜潰瘍スペクトラム」「強膜炎関連」「ぶどう膜炎合併」を同列に置きます。
難病情報センターは、Mooren潰瘍(特発性周辺部角膜潰瘍)と、関節リウマチやWegener肉芽腫症(現在はGPA)など膠原病に伴う角膜周辺部潰瘍が類似経過をとること、ただし後者は強膜病変や涙液分泌減少を伴う点で区別されること、さらに両者が同一スペクトラムの可能性もあることを述べています。
この「区別されるが連続体かもしれない」という見立ては、初診時のラベリングに固執せず、時間経過と全身評価で診断を更新する姿勢につながります。
また、眼炎症外来のページでは、強膜炎は全身疾患の一症状として起きる場合があるとされ、原因検索(血液検査、胸部レントゲンなど)を組み合わせる検査方針が示されています。
つまり、角膜の周辺部病変を見たら「眼表面の局所炎症」として終わらせず、強膜炎を含む眼炎症としてのフレームで再評価することが安全です。
鑑別で実務上の軸になる観点をまとめます。
- Mooren潰瘍:全身疾患を伴わずに周辺部潰瘍が突然起き、著明な眼表面炎症と急速進行・穿孔を来し得る。
- 膠原病関連の周辺部角膜潰瘍:強膜病変や涙液分泌低下を伴いやすく、背景疾患が後から見つかることもある。
- 強膜炎関連の角膜障害(臨床的に硬化性角膜炎と呼ばれやすい領域):眼痛・深い充血・視力低下などで、免疫治療が必要になり得る。
硬化性角膜炎の独自視点と連携
検索上位の一般解説では「症状・治療・鑑別」までは触れられても、実臨床で差がつくのは“運用設計”です。強膜炎は全身疾患の一症状として起きる場合があり、難治例では免疫抑制剤や生物学的製剤まで用いる、という専門外来の記載からも、単科完結が難しいことが読み取れます。
一方で、周辺部角膜潰瘍(Mooren潰瘍)は発症頻度が稀で診断・治療法が確立していない、病態も未解明とされており、標準化された一本道の手順がない点が本質的な難しさです。
だからこそ、医療従事者側が「誰が、いつ、何を確認し、どの条件で紹介・入院・治療強化するか」をあらかじめ合意しておくと、転帰が改善しやすくなります。
独自視点として、病名よりも“リスクで層別化する”枠組みを提案します。
- レッドフラッグ(即日専門紹介/入院検討):視力低下が進行、強い眼痛、周辺部菲薄化が進む、前房炎症、強膜炎が疑わしい。
- イエローフラッグ(短期再診と検査前倒し):原因不明の周辺部混濁、治療反応が乏しい、全身症状の同時出現。
- グリーン(通常外来で慎重フォロー):表層の軽症で痛みが軽く、視力低下がなく、経過が安定(ただし悪化時の再受診基準を明確化)。
そして連携の現場では、紹介状に「眼所見」だけでなく“疑っている全身枠”を明記すると伝達効率が上がります。強膜炎が関節リウマチやANCA関連血管炎などに伴い得ることが示されているため、「膠原病/血管炎スクリーニング希望」と明示するだけでも、検査が前に進みやすくなります。
さらに、Mooren潰瘍の項にある「寄生虫感染、C型肝炎との関連指摘」という記載は、問診・採血項目に“意外な抜け”が出やすい領域なので、施設のプロトコルに一行追加しておく価値があります。
コーガン症候群 診断基準
コーガン症候群 診断基準:典型的Cogan症候群の分類
コーガン症候群は「単一の検査で確定する疾患」ではなく、眼症状と前庭聴覚症状の組み合わせを核に、分類(典型/非典型)を当てはめて診断の確度を上げていく疾患です。慶應義塾大学病院KOMPASでは、1945年にCoganが報告した「典型的Cogan症候群」は3条件を満たすものと整理されています。すなわち、①結膜炎・結膜下出血・虹彩炎を伴うことのある「非梅毒性間質性角膜炎」、②メニエール病に似た吐き気/嘔吐、耳鳴、めまいを含む蝸牛前庭症状で、難聴が通常1〜3か月で聾に至り得ること、③眼症状と蝸牛前庭症状が2年以内に出現すること、の3点です。
医療従事者の実装ポイントは「症状の種類」と同じくらい「時間軸」を丁寧に聴取することです。典型例では、眼痛や羞明など眼症状が先行しても、数か月以内に耳症状が揃うケースが多いことが臨床上の注意点になります。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/bae95820611d85d372f965a847d2473eb46ef50d
また、耳症状の進行が速い点が重要で、患者が“めまい外来”“突発性難聴”の導線で受診している間に聴力が固定してしまうリスクがあります。KOMPASでも炎症が持続すると不可逆的臓器障害につながるため早期治療が望ましいとされ、診断の遅れがそのまま予後に影響し得ます。
コーガン症候群 診断基準:非典型Cogan症候群と診断の落とし穴
臨床で厄介なのは「非典型Cogan症候群」で、典型的な間質性角膜炎が前景に出ない、あるいは耳症状がメニエール病と異なる形で出るなど、テンプレートから外れる症例が一定数あります。KOMPASではHaynesら(1980)の整理として、①間質性角膜炎の有無を問わない炎症性眼症状(上強膜炎、強膜炎、網膜動脈閉塞、脈絡膜炎、乳頭浮腫、眼球突出など)が2年以内にメニエール病様症状を伴う、②典型の眼症状が2年以内にメニエール病とは異なる蝸牛前庭症状を伴う、③眼症状と蝸牛前庭症状が2年以上離れて出現、のいずれかで非典型に分類できるとしています。
非典型の落とし穴は、「眼科」「耳鼻科」それぞれの専門外来で、症状が片側だけ・単発に見える点です。MSDマニュアル(プロフェッショナル版)でも、疑う場合は眼科医と耳鼻咽喉科医による緊急評価が適応とされ、そもそも診断の入口が多診療科連携であることが強調されています。
さらにMSDマニュアルは、診断が臨床所見に加え、梅毒・Lyme病・EBVなど角膜実質炎の他原因を血清学的検査で除外することに基づくと記載しており、「非典型=検査で簡単に詰められる」わけではない点に注意が必要です。
コーガン症候群 診断基準:鑑別診断(梅毒・Lyme病・膠原病)
コーガン症候群の診断基準を実務に落とすと、「特徴的な組み合わせを認める」ことと同じくらい「似た病態を確実に除外する」ことが中核になります。KOMPASは鑑別として、クラミジア感染症、Lyme病、梅毒、Whipple病などの感染症、サルコイドーシス、小柳・原田病、シェーグレン症候群、関節リウマチ、SLE、抗リン脂質抗体症候群、結節性多発動脈炎、多発血管炎性肉芽腫症、再発性多発軟骨炎、ベーチェット病、炎症性腸疾患などを列挙しています。
MSDマニュアルも、診断は「角膜実質炎のその他の原因(例:梅毒、ライム病、EBV感染症)を除外」することに基づくと明確に述べています。
このため、実臨床では“コーガン症候群の確定検査”を探すより、鑑別を意識した検査セット(感染症血清学、自己抗体、炎症反応、画像、聴力・前庭機能評価、眼科所見)を同時並行で揃え、矛盾がないかを詰めるアプローチが現実的です。
参考:典型例/非典型例の分類(眼症状・蝸牛前庭症状・出現間隔の整理)を確認する
参考:診断の考え方(除外診断、血清学的検査、CT/MRIの位置づけ)を確認する

コーガン症候群 診断基準:検査(聴力検査・血清学・CT/MRI)の実務
診断基準が明文化されにくい希少疾患ほど、現場では「検査の目的」を共有しておくとブレが減ります。MSDマニュアルは、診断は臨床所見に加え血清学的検査で他原因を除外すること、さらにCTやMRIを施行し、内耳炎・炎症・半規管/前庭/蝸牛の石灰化などが示される場合があると記載しています。
また、MSDマニュアルでは、内耳抗原に対する抗体、抗Hsp70抗体(感音難聴を合併)、ANCA(血管炎を合併)が認められていることにも触れており、完全な“決め手”ではないものの、病態(内耳炎症+血管炎)の裏付けとして位置づける発想が役に立ちます。
KOMPASの記述からは、症状だけでなく全身性血管炎(大血管を含む)を取り得る疾患としてスクリーニングする重要性が読み取れます。具体的には、発熱・倦怠感などの全身症状や皮疹/紫斑、消化管出血に加え、大動脈弁逆流症に関連する息切れ・胸痛、重症例での心筋梗塞・心不全などを示し得るため、耳と眼の評価と並行して循環器的評価の導線を確保しておくべきです。
検査の組み立て例(施設の標準化用のたたき台)は以下です(入れ子なしで列挙します)。
・👂聴力:純音聴力検査、語音明瞭度(可能なら)、急速進行の有無の時系列化。
・👁️眼科:細隙灯で間質性角膜炎の所見、虹彩炎/強膜炎/上強膜炎など炎症性眼病変の確認。
・🧪除外目的:梅毒・Lyme病・EBVなどの血清学的検査(角膜実質炎の他原因除外)。
・🧠画像:CT/MRIで内耳炎症や石灰化などを評価(正常でも否定はできない)。
・🫀全身:血管炎を疑う所見があれば大血管評価も視野に(症状・心雑音・必要な画像)。
コーガン症候群 診断基準:独自視点(時間軸トリアージと多科連携)
検索上位で語られやすいのは「典型/非典型の分類」と「鑑別リスト」ですが、実務で差が出るのは“時間軸トリアージ”の設計です。MSDマニュアルは、疑われる場合に眼科医・耳鼻咽喉科医による緊急評価が適応と述べ、放置により視力障害や永久的難聴が残る可能性に言及しています。
KOMPASも、炎症の持続が不可逆的臓器障害につながるため早期治療開始が望ましいとし、日本では症例が非常にまれで罹患率なども不明と記載しています。
つまり「経験が少ない=見逃しやすい」現実があるため、医療機関側で“疑う条件”をプロトコル化しておくことが、診断基準以上に重要になる局面があります。
現場向けの運用案としては、次のように“組み合わせ”と“進行速度”でアラートを上げる方法が有効です。
・⚠️眼痛/羞明+急性の回転性めまい/耳鳴/難聴が同一エピソード内、または数か月以内に出現 → 「コーガン症候群を鑑別に追加」を明文化する。
・⚠️眼症状が典型的でなくても(強膜炎など)、原因不明の炎症反応高値や全身症状が重なる → 血管炎スクリーニングも同時に走らせる(大動脈炎を取り得る)。
・⚠️“メニエール病っぽい”で片づけられない点:難聴が短期間で進行し得ること、眼病変が並走し得ることを問診票に組み込む(眼症状の聞き漏れを減らす)。
この疾患は「診断基準を暗記しているか」より、「いつ疑って、どの順で除外し、どの科と同時に動くか」で結果が変わります。眼科・耳鼻科・リウマチ膠原病内科(必要に応じ循環器)を早期に束ねる導線を作ることが、診断の質と患者アウトカムの両方に直結します。
フリクテン性角膜炎
フリクテン性角膜炎の原因と過敏反応
フリクテン性角膜炎(臨床では「フリクテン性角結膜炎」「角膜輪部フリクテン」も含めて語られることが多い)は、角膜・結膜に生じる細菌性抗原に対する過敏反応として位置づけられています。
特にブドウ球菌に対する反応が中心とされ、結核やクラミジアなどの関与も古くから指摘されてきました。
この「感染そのものの角膜炎」と違い、病変の主役が“菌の増殖”ではなく“抗原に反応する免疫”である点が、診療上の説明や治療戦略の分岐点になります。
医療従事者向けに言語化すると、患者説明では「うつる目の病気(感染性角膜炎)とは別で、体が菌の成分に反応して炎症が出るタイプ」と整理すると理解されやすいです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9605596/
一方で、眼瞼炎を背景に“抗原供給源”が残っていると、免疫反応が再燃しやすく、結果として再発を繰り返す臨床像になり得ます。
あまり知られていない臨床上の落とし穴として、「炎症=すぐ抗菌薬だけで押す」とすると、過敏反応が主体の症例では痛み・羞明が長引き、角膜混濁や血管新生のリスク説明が遅れやすい点があります。
もちろん感染合併(上皮障害からの二次感染)を疑う状況もあるため、“過敏反応が主”と“感染が主”を最初から二者択一にせず、所見と経過で柔軟に見立てることが重要です。
フリクテン性角膜炎の症状と角膜輪部
病変は角膜輪部、角膜上、眼球結膜上に黄灰色の小結節(小フリクテン)として現れ、数日から2週間続くことがあるとされています。
角膜が侵された場合、流涙、羞明、霧視、疼痛、異物感が顕著になり得る点が、結膜優位の症例より患者負担を大きくします。
結膜上の病変は潰瘍化しても瘢痕を残さず治癒し得る一方、角膜病変は再発や二次感染を伴うと角膜混濁・血管新生に至り、視力障害につながり得ます。
実臨床では「片眼の強い羞明と流涙」「痛みの訴えの割に角膜中央は比較的保たれている」など、輪部近傍の炎症で説明しやすい訴え方をすることがあります。
また小児に多いとされ、患者の多くに眼瞼炎を伴うという記載は、問診で“まぶたの炎症歴・反復するものもらい”をセットで拾う価値を示します。
看護・視能訓練・外来運用の視点では、羞明が強い患者は検査室の照明や誘導動線の工夫でストレスが下がり、結果として細隙灯や染色など必要検査の完遂率が上がります。
症状が数日〜2週間という情報は安心材料にもなりますが、同時に「再発が続くと角膜が濁ることがある」という未来の不利益も一緒に伝えると、通院継続と眼瞼ケアの納得度が上がります。
フリクテン性角膜炎の検査と診断
診断は特徴的な臨床所見に基づき、必要に応じて結核検査が適応となることがある、とされています。
国内向けの解説でも、典型的な水疱(小病変)の観察が基本で、細隙灯顕微鏡検査で角膜・結膜の状態を確認する流れが示されています。
また鑑別や原因検索の目的で、必要時に分泌物の培養検査などを行うことがある点は、過敏反応疾患であっても“感染要素の評価”が臨床では切り離せないことを示しています。
鑑別の現場では、単純ヘルペス角膜炎、細菌性角膜炎、アレルギー性結膜炎、辺縁角膜炎などが同じ「充血・疼痛・羞明」の言葉で来院するため、病変の局在(輪部優位か、上皮欠損の形はどうか)と、経過(再発性、眼瞼炎背景)で解像度を上げます。
「痛い=感染」と短絡せず、所見が小結節主体で、背景に眼瞼炎があり、輪部近傍に病変が寄るならフリクテンを強く疑う、という“疑う順番”がチーム医療で共有されると、初療の質が安定します。
結核評価については、全例に行うというより「リスクのある患者」「臨床的に疑う根拠がある場合」に適応となる、という温度感で理解しておくと過不足が減ります。
一方で、結核が関与し得る疾患名である以上、医療者側が“聞くべき背景”をテンプレ化(既往、家族歴、居住・滞在歴、免疫状態など)しておくと、見落としによる説明不足を避けやすくなります。
フリクテン性角膜炎の治療と点眼
非結核性症例の治療は、コルチコステロイドと抗菌薬の局所併用投与が基本とされています。
この治療により数時間で疼痛が軽減し、瘢痕化と視力低下の回避につながる、という記載は、患者説明における「なぜステロイド点眼が必要か」を裏づけます。
また、角膜に潰瘍ができて細菌感染を引き起こすことがあるため、感染が疑われる場合は抗菌薬入り点眼を使用することがある、と国内の解説でも示されています。
薬剤選択の会話では、「炎症を止める(ステロイド)」と「二次感染予防・原因菌対策(抗菌)」を役割分担として説明すると、点眼遵守が上がりやすいです。
一方でステロイド点眼は、感染性角膜炎を見誤った場合に不利益となり得るため、初診時の所見確認と、短いスパンでの再診設計(疼痛・羞明の改善度、上皮障害の有無)をチームで徹底することが実務上の安全策になります。
治療期間の目安として「数日〜2週間続く」ことがあるという記載は、改善の“時間軸”を共有し、焦って自己中断しないようにするために有用です。
再発を繰り返すケースでは角膜混濁・血管新生に至り得るため、単回の治療成功よりも「再発させない設計(眼瞼炎対策を含む)」が、視機能予後に直結します。
フリクテン性角膜炎の眼瞼炎と再発予防(独自視点)
フリクテン性角結膜炎では、患者の多くが眼瞼炎を有する、という指摘があります。
脂漏性眼瞼炎を伴う場合、眼瞼のこすり洗いが再発予防に役立つことがある、という記載は「点眼だけでは終わらない」介入余地を明確にしています。
国内解説でも、脂漏性眼瞼炎があると発症しやすいため、瞼の清潔を保つことが症状改善や再発予防につながる、と説明されています。
ここが検索上位記事では“軽く触れられがち”ですが、外来運用としては眼瞼ケアの成否が再発率を左右し、結果的に角膜混濁・血管新生のリスク管理にもつながります。
具体的には、患者指導を「目薬」だけで完結させず、以下を外来の標準説明に組み込むと実装しやすいです。
- 🧼 眼瞼衛生:まぶたの縁の汚れを“毎日落とす”ことを再発予防として位置づける。
- 👀 症状モニタ:羞明・流涙・異物感がぶり返したら早めに再診し、角膜病変の進行を止める。
- 📅 フォロー設計:短期で炎症を抑える一方、再発型では「眼瞼炎の評価と介入」を診療計画に固定化する。
また医療者側の独自視点として、再発例は「患者の性格」「家庭環境」「点眼・清拭の実行可能性」に左右されやすく、医学的に正しい説明だけでは行動変容が起きないことが多いです。
そこで、視能訓練士や看護師が“1分でできるケア手技”をデモし、受付や会計前に次回予約を確定させるなど、行動科学的な仕掛けを組み込むと、結果として角膜合併症(混濁・血管新生)の予防につながりやすくなります。
参考:病態(細菌性抗原への過敏反応)、症状(羞明・流涙・角膜輪部病変)、治療(ステロイド+抗菌薬併用、眼瞼ケア)の要点
参考:国内向けに、概要・原因・症状・検査・治療・予防(眼瞼炎との関連)を通読できる