高度管理医療機器と薬局の一覧
高度管理医療機器 薬局で扱う範囲とクラス分類
高度管理医療機器は、医療機器のリスク分類で「クラスⅢ・Ⅳ」に相当し、薬局を含む販売・貸与には原則として許可が必要になります。
混同されやすいのが「特定保守管理医療機器」で、クラス分類とは別軸ですが、これに該当する「管理医療機器」や「一般医療機器」でも、販売・貸与には高度管理医療機器等として同様に許可が必要とされます。
現場では「医薬品と違い、医療機器は“品目ごと”の規制が薄い」と誤解されがちですが、実際は“リスク区分”と“保守管理の要否”で許可・講習・設備が変わるため、棚卸しの起点を品名ではなく区分に置くのが安全です。
薬局で話題になりやすい代表例として、コンタクトレンズは高度管理医療機器(例:クラス3)に分類されるため、店頭で取り扱うなら許可・体制が前提になります。
参考)【専門家監修】医療機器とは?定義から種類まで分かりやすく解説…
また、地域の薬剤師会等が公開している説明では、高度管理医療機器の例としてコンタクトレンズ、輸液ポンプ、人工呼吸器、縫合糸、AEDなどが挙げられています。
この「例示」に引きずられて“医療機関で使うものだけが高度管理”と考えると、コンタクトレンズのような一般消費者向けの流通品を見落とすので、まず自薬局の取扱品・受注品・取り寄せ品を洗い出し、分類の確認をルーチン化するのが実務的です。
高度管理医療機器 薬局の許可と営業所の構造設備
東京都の案内では、高度管理医療機器(および特定保守管理医療機器に該当するもの)を販売・貸与するには、事前に許可を取得する必要があるとされています。
許可基準のうち、営業所の構造設備に関しては「採光・照明・換気が適切」「清潔」「居住場所や不潔な場所と明確に区別」「衛生的・安全に貯蔵する設備」などが明示されています。
ただし「医療機器プログラムの電気通信回線を通じた提供のみ」を行う営業所については、これら設備基準(採光・換気、貯蔵設備等)の適用がない旨も示されており、取り扱い形態によって求められる設備が変わる点は、ECやシステム連携を行う薬局ほど要注意です。
静岡県の手続き案内でも、許可要件として「営業所の構造設備が基準に適合していること」が挙げられており、法令条文に基づく審査であることが明確です。
このため、監査・更新・立入の局面では「実際に置いていないからOK」ではなく、「置ける状態(保管・温湿度・清潔区分・入出庫管理)が担保されているか」が問われやすく、帳票・教育・保管場所の説明可能性まで含めて整備しておくのが現実的です。
見落としがちな観点として、倉庫や別保管場所を使う場合、図面・見取図に反映させる運用が必要になることが、申請書類の要件から読み取れます。
高度管理医療機器 薬局の管理者と講習
高度管理医療機器等を扱うには、営業所に「営業管理者(高度管理医療機器等営業管理者)」の設置が求められます。
東京都の案内では、原則として「販売・貸与業務に3年以上従事+基礎講習修了」等の要件が示され、医師・歯科医師・薬剤師等は同等以上の知識経験を有する者として列挙されています。
さらに、指定視力補正用レンズ等のみを扱うケース、プログラム高度管理医療機器のみを扱うケースなど、取り扱い区分により必要な実務経験年数や講習が変わる枠組みが示されているため、「何を扱う営業所か」を先に確定させないと、人員要件がズレるリスクがあります。
静岡県の案内でも、管理者として認められる者の例に、医師・歯科医師・薬剤師に加えて、医療機器の製造販売管理者、製造業の責任技術者、修理業の責任技術者、そして「販売管理責任者講習」を修了した者などが挙げられています。
この列挙は「薬局=薬剤師がいれば足りる」という単純化を避け、法人で複数事業(薬局・医療機器販売・レンタル等)をまたぐ場合に、どの資格・どの講習で体制を組むかの設計余地があることを示唆します。
独自の実務視点としては、管理者要件を満たしていても、現場で事故が起きるのは「患者説明の均質化」「初期不良時の切り分け」「回収・安全性情報の受け取り」の運用が弱いときなので、要件充足と同時に“販売後の情報導線”を設計しておくのが事故予防になります。
高度管理医療機器 薬局 一覧の探し方(自治体・薬剤師会)
「高度管理医療機器 薬局 一覧」を探すと、地域の薬剤師会が「高度管理医療機器取扱い薬局 一覧」として、薬局名・所在地・電話・営業時間などを表形式で公開しているケースがあり、連携先の探索にそのまま使えることがあります。
また、自治体によっては「高度管理医療機器販売業・貸与業」の施設情報をデータ(シート)形式で公開している例があり、薬局以外の事業者も含めた許可情報を俯瞰できます。
この種の一覧は、患者紹介や院内の購買ルート整備だけでなく、薬局内のコンプライアンス点検(自店舗の掲載有無、許可番号・更新時期の確認、同一法人の別拠点管理)にも転用できるのが実務上のメリットです。
一覧を使う際のコツは、単に「取扱い可否」を見るのではなく、少なくとも次の観点で“使える台帳”に作り替えることです。
参考)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/yakuji-1-koudokanri-1
- 許可の種別(販売業/貸与業/両方)を分けて管理する(レンタルの問い合わせが来たときに事故が減る)。
- 取扱い品目の想定(例:コンタクトレンズ中心か、在宅機器・救急関連も含むか)をメモする(一覧は必ずしも品目まで載せないため)。
- 連絡先の一次窓口(店舗/本部)を区別し、回収・不具合情報の連絡が滞留しないようにする(安全性情報の伝達ロスを減らす)。
高度管理医療機器 薬局 一覧に載らない盲点(独自視点)
検索上位の「一覧」は便利ですが、現場では「一覧に載っている=何でも売っていい」「一覧に載っていない=扱えない」と短絡しやすいのが盲点です。
実際には、東京都の案内が示すように、取り扱い形態が「医療機器プログラムの提供のみ」なのか、物品の保管を伴うのかで設備要件が変わり、同じ“高度管理医療機器等”でも運用上のチェックポイントが異なります。
つまり、一覧は“許可の入口”の確認には使える一方、事故予防・監査対応の観点では「自店舗が何を、どう提供しているか(店頭、訪問、EC、プログラム提供)」を言語化し、手順書・教育・記録に落とすところまでが本番です。
意外と見落とされるのが、一般消費者向け商品の中に高度管理医療機器が含まれる点で、たとえばコンタクトレンズは度付き・度なしを問わず医療機器として扱われる旨が解説されています。
これにより、カラーコンタクト等を「雑貨の延長」で扱うような説明・返品対応・保管をしてしまうと、法令以前に患者安全(装用トラブル、誤使用、衛生管理)で問題化しやすくなるため、薬局としての説明・注意喚起の型を作っておくのが現実的です。
また、薬剤師会等の解説では高度管理医療機器の例としてAED等も挙げられているため、「OTCや衛生材料中心の薬局でも、地域活動・防災備蓄・イベント救護で関わる可能性がある」と捉えると、在庫の有無に関係なく教育テーマとして組み込めます。
東京都(許可要件・設備・管理者要件の実務整理に有用)

静岡県(許可要件・申請書類の具体例、管理者として認められる者の整理に有用)

地域の薬剤師会(高度管理医療機器取扱い薬局の一覧例として、掲載項目のイメージ作りに有用)
