後部ぶどう腫治療とステロイド免疫抑制剤

後部ぶどう腫治療

後部ぶどう腫治療:臨床の要点
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まず原因検索

感染性か非感染性かで治療が逆方向になるため、初期の鑑別が最重要。

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ステロイドは基本

視機能に関わる後眼部炎症では全身治療や局所注射も選択肢。副作用モニタリングを前提に使う。

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免疫抑制薬・生物学的製剤

ステロイド減量困難・抵抗性例で導入し、感染スクリーニングと長期安全管理をセットで運用。


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後部ぶどう腫治療の原因検索

後部病変(後部ぶどう膜炎〜汎ぶどう膜炎の範囲)では、点眼のみでは効果が不十分になりやすく、治療方針は「原因」に強く依存するため、最初に原因検索を組み込むことが重要です。

大別すると感染性(細菌・真菌・結核・各種ウイルス・寄生虫など)と、免疫異常に関連する非感染性に分けられ、同じ“炎症”でも必要な治療は抗微生物療法か免疫抑制かで真逆になります。

全身疾患の一症状として起こるケースもあり、眼科単独で完結させず、必要に応じて内科(膠原病、感染症、呼吸器など)と連携する前提で設計します。

「原因検索」を現場で抜けやすいポイントとして、ステロイド導入前の感染スクリーニング(胸部X線、結核検査、梅毒血清反応、HBV/HCV評価など)をルーチン化しておくと、後から治療の自由度が上がります。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/7f59352101d48bc5e2f93892904783eac44f8246

特に感染性ぶどう膜炎の一部では、例外的にステロイド全身投与が必要になる局面もありますが、その場合でも“抗微生物療法を先行し反応性を確認してから”開始することが望ましい、とガイドラインで明記されています。

参考:診断と治療の全体像(総論〜各論、治療適応・投与法・スクリーニング)

日本眼科学会 ぶどう膜炎診療ガイドライン(PDF)

後部ぶどう腫治療の検査と診断

後眼部炎症は、診察所見だけで病勢評価が揺れやすいため、炎症部位の可視化と定量化の発想が欠かせません。

ガイドラインでは、硝子体混濁の評価にSUN Working Groupのグレーディング(0、0.5+、1+…)を用いることが望ましいとされ、臨床記録の再現性を高める方向が示されています。

また、蛍光眼底造影を用いた活動性評価のスコア(最大40点)も紹介され、網膜血管炎・乳頭浮腫・黄斑浮腫などの変化を追うために利用されることがある、とされています。

後部病変では、硝子体混濁や黄斑浮腫で眼底透見が落ちる場面も多く、診断目的に硝子体手術(診断と治療を兼ねる)を選ぶ状況があり得ます。

ステロイド反応が乏しい硝子体混濁や網膜滲出病巣では、眼内リンパ腫など仮面症候群を疑い、硝子体切除で細胞診などを行う選択肢が記載されています。

「炎症=自己免疫」と早合点しないために、治療前の時点で“検体を取れる窓”があるなら確保しておくのが、後部ぶどう腫治療の落とし穴回避になります。

後部ぶどう腫治療とステロイド

後眼部炎症が視機能に重篤な障害を来す状況(黄斑浮腫、広範囲な網膜血管炎、滲出性網膜剝離、視神経乳頭浮腫など)では、ステロイド全身治療が適応になり得るとされています。

投与前評価として、肝腎機能・血糖などの血液検査に加え、感染症チェック(梅毒、HBV/HCVなど)、胸部X線、結核検査(IGRAなど)を行う手順が示されています。

内服の開始量はプレドニゾロン換算で少なくとも0.5 mg/kg/日、重篤なら1 mg/kg/日から開始することもある、とガイドラインに記載があります。

局所治療として、視力障害を伴う中・後眼部炎症を来す非感染性ぶどう膜炎では、後部テノン嚢下注射(トリアムシノロンアセトニド20mg/0.5mL)が選択肢になり、施行前に白内障進行・眼圧上昇・眼球穿孔・感染などの合併症説明が必要です。

また、感染性ぶどう膜炎に後部テノン嚢下注射を行うと炎症が急激に増悪する恐れがあるため注意を要する、と明確に警告されています。

臨床的には「早く炎症を落として視機能を守る」ためのステロイドと、「その代償(緑内障・白内障・全身副作用)」のバランス設計が中核になり、モニタリング込みで治療計画を作ります。

後部ぶどう腫治療と免疫抑制薬

免疫抑制薬は、長期ステロイド全身投与による副作用軽減(steroid sparing effect)を目的に、ステロイド併用または寛解導入後の維持療法として用いられる、とされています。

適応として、①ステロイド全身投与に抵抗性、②離脱困難、③副作用で継続困難、などが提示され、単に「強い薬」ではなく“長期運用の設計ツール”として位置付けられています。

本邦でぶどう膜炎に保険適用のある免疫抑制薬として、ガイドライン本文ではシクロスポリンが挙げられています。

投与前スクリーニングは、血液検査・胸部X線・感染症(結核、B型C型肝炎など)確認を含めた全身評価が必要で、自己免疫疾患合併例や高齢者などでは他科連携が望ましいとされています。

投与後は1〜2か月ごとの血液検査で副作用を早期発見し、多くの免疫抑制薬は効果発現まで1〜2か月を要するため、開始後1か月はステロイド減量を行わない、という運用の注意点が示されています。

長期では肝腎機能障害、感染症、骨髄障害、間質性肺炎、悪性腫瘍、催奇形性など重篤な副作用があり得るため、「導入して終わり」ではなく監視体制が治療の一部です。

後部ぶどう腫治療の独自視点:感染スクリーニングと合併症の先回り

後部ぶどう腫治療は「炎症を抑える」だけでなく、「治療そのものが合併症を作る」構造を前提に、先回りで安全策を置くと破綻しにくくなります。

例としてガイドラインには、ステロイド全身投与の投与前評価に感染症チェックや結核検査が組み込まれており、さらにHBV再活性化対策としてHBs抗原→HBc抗体/HBs抗体→HBV DNA量というスクリーニングの流れが記載されています。

また、生物学的製剤(抗TNF製剤)では重篤な感染症(結核、真菌感染症、肺炎、敗血症B型肝炎など)への注意が強調され、胸部X線や結核検査、必要に応じた予防内服(例:イソニアジド)など、薬剤開始前から安全対策を組むことが示されています。

この「始める前の検査設計」は検索上位記事では治療薬の紹介に埋もれがちですが、実務上は“紹介・転院・併診”の判断をスムーズにし、治療遅延も減らしやすい部分です。

さらに、ぶどう膜炎では続発緑内障や白内障などの合併症が起こり得て、必要に応じて外科的治療(白内障手術、緑内障手術)が検討されるため、炎症鎮静化を一定期間確認してから手術計画を立てる原則も提示されています。

薬剤選択の巧拙だけでなく、検査・感染対策・合併症管理を含めて“治療”として組み上げることが、後部ぶどう腫治療を長期で安定させる実装ポイントになります。