コールドスネア メーカー 選定
コールドスネア メーカー別 ループ形状と押さえつけ設計
コールドスネアは「通電しない」ぶん、最後に効くのはワイヤの食い込みと、病変を面で押さえて逃がさない“押さえつけ”です。Boston ScientificのCaptivator COLDは、病変を捉えやすい真円ループ、コシのあるStiffワイヤ、絞扼時の滑りにくさを狙った3本編ワイヤなど、保持と滑り対策を前面に出しています。 一方で、オリンパスのSnareMaster Plusは、引き込み時に急激に開き幅が小さくなりにくい六角形ループ形状を特徴としており、狭い管腔や屈曲での「ループサイズ調整のしやすさ」を設計思想として読めます。
この“形”の違いは、単なる好みではなく、失敗パターンの違いとして現場に出ます。例えば、真円ループは病変の中心に合わせやすい一方で、平坦に近い病変や粘膜のテンションがかかる部位では「滑る・逃げる」が出ることがあり、編みワイヤやワイヤのコシが補助になります(メーカーはこの点を滑りにくさとして説明しています)。 六角形のように角を持たせたループは、粘膜へ“当て”を作りやすく、引き込み時も横幅を保ちやすいという説明があり、操作中のループサイズ維持に寄与しやすい発想です。
現場目線で押さえておくと、コールドスネアのメーカー差は「切れ味」だけでなく、「病変を捕まえる→逃がさない→狙ったラインで閉じ切る」という一連の動きの安定性に直結します。実際、コールド手技は簡便とされつつも、切除直後は洗浄と画像強調観察(NBIなど)で取り残しや出血点を確認する重要性が指摘されています。 つまり、スネア形状の選定は“切除の瞬間”だけでなく、その後の観察のしやすさ(切除面が荒れにくい、余計な挫滅が少ない等)にも波及します。
参考)https://www.kon-naika.com/wp-content/uploads/pdf/cold-polypectomy.pdf
コールドスネア メーカー仕様 ワイヤ径・シース硬性が切れ味を決める
コールドスネアは、熱がないので「細いワイヤ=切れ味が上がる」という直感が一定程度当たりますが、細ければ何でも良いわけではありません。オリンパスのSnareMaster Plusは0.30mmの細径ワイヤ採用を明記し、シャープなコールドカットへの貢献と、細径でも“コシのあるワイヤ”で押し付け性を支えると説明しています。 Boston ScientificのCaptivator COLDもワイヤの細径化(自社従来品比)を切れ味要素として挙げつつ、2.4mm硬性シースで切れ味をサポートするとしており、ワイヤ単体ではなく「シース硬性+ワイヤ構造」で切れ味を作る考え方が読み取れます。
ここで意外と盲点なのが、ワイヤ径を細くして切れ味を上げると、病変の“押さえ”が弱くなりやすい(=逃げやすい)側面が出ることです。そのため、メーカーは「コシ」「編み」「ループ形状」といった別要素で保持力を補強しがちです。 つまり、同じ“コールドスネア”でも、硬めで保持重視の設計、細径で切れ味重視の設計、その中間と、狙いどころが違う可能性が高いので、購入前に“どの失敗を減らしたいか”を明確にすると選定が一気に楽になります。
また、カタログに載る「適用チャンネル径」「有効長」「先端形状」は、看護師・内視鏡技師の準備・互換確認でミスを減らすポイントです。SnareMaster Plusの仕様表では、六角形ループでループ径10mm/有効長2300mm/適用チャンネル径2.8mm/ワイヤ径0.30mmといった情報が整理されています。 こうした数字は医師の手技だけでなく、機器構成(スコープ種類、鉗子口径)に対する物理的な適合性の担保であり、「当日開封して入らない」系トラブルを確実に減らします。
コールドスネア メーカー選定の臨床適応:CSPと安全性の根拠
メーカー比較をする前に、そもそもCSP(cold snare polypectomy)がどういう立ち位置かを臨床側で押さえておく必要があります。大腸ポリープ診療ガイドライン2020の変更点として、cold forceps/snare polypectomyが新しい手技として加わり、後出血や合併症が少なく穿孔リスクが低い、手技としても簡便で普及してきている旨が紹介されています。 つまり、「コールドスネアを使うべき場面」は、メーカーの売り文句ではなく、合併症プロファイルと適応サイズに基づいて設計すべきです。
一例として、臨床資料では、CSPの対象を10mm以下とする運用や、形態の考慮(陥凹型は除外など)を前提に検討されている記載が見られます。 また、cold polypectomyは鉗子を用いる方法(CFP)とスネアを用いる方法(CSP)に分かれ、小ポリープには小型で剛性があるスネアを用いたCSPが勧められるという記載もあります。 こうした整理ができると、メーカーのラインナップ(小径ループ、硬め、回転機構の有無など)を「適応に合わせて選ぶ」発想に切り替えられます。
参考)https://colopro.jp/pdf/endoscope_pdf01.pdf
安全性の話で“意外と重要”なのは、コールドは熱凝固がないため、切除直後は洗浄をしっかり行い、NBIなどで切除部を観察して出血点や取り残しを確認する、という運用面の基本が強調されている点です。 つまり、メーカー選定はデバイス選びで終わりではなく、「洗浄→観察→必要ならクリップ」のワークフローまで含めて初めて安全性が担保されます。スネアが“よく切れる”ほど切除面がきれいに見えやすい一方で、出血点の見落としリスクがゼロになるわけではないため、術者・介助者双方がこの工程をルーチン化することが重要です。
参考:ガイドライン2020でcold手技が加わった背景(合併症が少ない等)を把握するのに有用

コールドスネア メーカー運用:検体回収と「紛失」リスクを減らす
コールドスネアで地味にストレスになるのが、切除後の検体回収です。メーカー側もこの課題を意識しており、Boston ScientificはCSPの検体回収をサポートするポリープ回収システム(トラップイーズ)に言及しています。 これは「切れたら終わり」ではなく、病理提出までが治療の一部である現場感覚に沿った提案と言えます。
回収の失敗は、単に“検体が取れない”だけではありません。小型ポリープは吸引や送気で移動しやすく、視野外へ流れた時点で探索コストが跳ね上がります。さらに、切除面確認を丁寧に行うほど回収が遅れやすくなるジレンマがあり、この綱引きを解くのが「回収の手順化」と「役割分担」です。具体的には、切除直後に一度洗浄して出血点を見てから回収に移る、あるいは回収デバイスを準備しておき“回収の意思決定”を短縮する、といった運用が考えられます(メーカーが回収システムを併記するのは、そのニーズが強い裏返しです)。
また、ワイヤがシャープだと「切除後に飛散(=どこに行ったかわからない)」が起きやすいのでは、という不安を持つ現場もあります。こうした点について、製品説明ではシャープな切れ味が切除後のポリープ紛失軽減につながる旨がうたわれているケースがあり、設計として“飛散しにくい切り方”を狙っていることが示唆されます。 ここはエビデンスの比較が難しい領域ですが、少なくとも「回収はコールドスネア選定の評価項目に入れるべき」という気づきになります。
コールドスネア メーカー独自視点:購買・教育で失敗を減らすチェックリスト
検索上位の記事は「どのメーカーが良いか」「どの製品が切れるか」に寄りがちですが、医療従事者向けブログとして価値が出るのは、病院内の購買・教育・標準化の観点です。コールドスネアは“同じ手技名でも体感が違う”ため、複数メーカーを混在させると教育が難しくなり、術者ごとの癖が増えて安全運用がブレやすくなります。そこで、メーカー選定時点で「標準の一本」を決め、例外を明確化するだけで、現場のストレスと合併症対応のばらつきを減らせます(例外=特殊部位、狭窄、強い屈曲、回収重視など)。
以下は、導入前に作っておくと効果が高い“チェックリスト”です。カタログを眺めるだけでは出てこない、運用の穴を埋めるための項目です(意味のない文字数増やしではなく、現場の手戻りを減らすための視点として提示します)。
- 仕様適合:適用チャンネル径(例:2.8mm)と使用スコープの鉗子口径の整合が取れているか。
- 標準ループ径:10mm以下主体なら、ループ径10mm/15mmなど“標準サイズ”を病変分布に合わせて決めているか。
- 設計思想の一致:保持重視(滑り対策・Stiffワイヤ等)か、操作性重視(ループ調整しやすさ等)か、部署として優先順位を言語化したか。
- 回収導線:回収デバイス(例:ポリープ回収システム)を標準セットに含めるか、症例で使い分けるか決めているか。
- 観察手順:切除直後の洗浄とNBI等での観察を必須手順として教育資料に落とし込んだか。
最後に、メーカー比較の結論を急がず、「この施設の標準症例で、どんな失敗が多いか」を棚卸ししてから選ぶのが最短ルートです。滑りが課題なら保持設計を前面に出す製品説明のメーカーが候補に上がりやすく、狭い管腔や屈曲でループ調整が課題なら、六角形ループなど操作性を説明する製品が合う可能性があります。 コールドは“安全で簡便”とされる一方で、切除後の洗浄・観察が大事という基本を外すとメリットが目減りするため、デバイス選びと同時に運用設計までセットで整えることが重要です。
