コンベックスとメジャーの違いと測定精度

コンベックスとメジャーの違い

📏 この記事でわかること
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テープ材質の違い

金属製のコンベックスと布・樹脂製のメジャーでは構造と強度が全く異なります

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測定精度の基準

JIS規格に基づく許容差の違いと適用範囲を解説します

用途別の選び方

建築現場と裁縫での使い分けや、テープ幅と長さの選定基準をご紹介します

コンベックスの基本構造と特徴

コンベックスは、正式には「コンベックスルール」と呼ばれ、JIS B 7512で規定されている測定器具です。テープ部分が薄いスチールやステンレスといった金属素材でできており、断面が凸状(CONVEX)になっているため、この名称がつけられました。金属製テープは湾曲構造により適度な張りと弾力を持ち、手で支えなくてもまっすぐに伸ばしやすい自立性があります。

参考)コンベックスとは?基本知識とメジャーとの違いを徹底解説


先端には金属製の爪(フック)が取り付けられており、壁や材料の端に引っかけることで一人でも測定作業が可能です。また、この爪は「0点補正移動爪」という機構を備えているものが一般的で、爪の厚さ分だけ前後に動くことで、引っ掛け測定と突き当て測定のどちらでも正確なゼロ点を確保できる設計になっています。

参考)コンベックス(巻尺・スケール)の特長 【通販モノタロウ】


コンベックスには自動巻き取り機能とストッパー機能が備わっており、測定中にテープを任意の位置で固定することができます。JIS規格では、テープ幅4mm~30mm、テープ長さ0.5m~10mまでがコンベックスルールとして定められています。

参考)おすすめのコンベックス【いろいろな機能があります】

メジャーの素材と使用場面

メジャーは布製、ビニール製、またはガラス繊維(グラスファイバー)などの柔軟な素材を使ったテープ状の測定具を指します。特に裁縫用のメジャーは、柔らかく曲線に沿わせやすい特性があり、身体のサイズ測定や衣服の採寸に適しています。一般的なメジャーの長さは1.5m程度で、コンパクトに収納できるため裁縫道具として常備されることが多いです。

参考)https://jp.rs-online.com/web/content/discovery/ideas-and-advice/tape-measures-guide


布製やグラスファイバー製のテープは折り曲げに強く、耐久性に優れている一方で、金属製コンベックスのような自立性や張りはありません。そのため直線距離を一人で測るには不向きですが、曲線測定や柔軟な対象物の測定には非常に有効です。

参考)メジャー・巻尺人気おすすめ9選【裁縫やDIYに】コンベックス…


医療・福祉分野では、患者の身体計測や車椅子の寸法確認などにメジャーが使われる場面が多く見られます。軽量で柔らかく、安全性が高いため、身体に接触する測定に適しているからです。​

コンベックスとメジャーのテープ幅と耐久性

コンベックスのテープ幅は、伸張性能(空中で自立できる長さ)に直接影響します。テープ幅が広いほど、テープが自重で折れにくくなり、一人でも長い距離を空中で測定することが可能です。

参考)コンベックスの特長とJIS規格について 【通販モノタロウ】

代表的なテープ幅と伸張性能の関係は以下の通りです。

テープ幅 水平保持長さ 垂直保持長さ
13mm 1.2m 1.7m
16mm 1.5m 2.3m
19mm 2.0m 2.9m
25mm 2.4m 3.9m


建築現場やDIYでは、4m程度の長尺材料を扱うことが多いため、テープ長さは5m~5.5m、幅は19mm~25mmが推奨されます。一方、工作や簡易測定には3m程度のコンパクトなものが扱いやすいでしょう。

参考)コンベックスってどう使うの?


テープの材質には、標準的なスチール製、錆びに強いステンレス製、摩擦に強い特殊樹脂コート製などがあります。現場環境や使用頻度に応じて、適切な材質を選ぶことで耐久性を高めることができます。

参考)【DIYの測る】コンベックスとは。細かい使い方と選び方の注意…

コンベックスのJIS規格と測定精度

コンベックスルールの精度は、JIS B 7512により厳密に規定されており、「JIS 1級」と「JIS 2級」の2つの等級があります。許容差の計算式は以下の通りです:

参考)コンベックスのJIS規格【だいたい十分の一ミリオーダーです】…

  • JIS 1級:±(0.2 + 0.1L) mm
  • JIS 2級:±(0.25 + 0.15L) mm

(Lはテープの長さ(m)、爪を含む場合はさらに±0.2mmを加算)​
モノタロウの測定精度に関する技術資料では、コンベックスの許容差が具体的に示されており、例えば5mのJIS 1級コンベックスの場合、許容差は±0.7mmとなります。

参考)コンベックスの種類


精度が要求される医療機器の配置設計や福祉施設のバリアフリー工事などでは、JIS 1級規格品を選ぶことで信頼性の高い測定が可能になります。ただし、十分の一ミリオーダーの精度が必要な場面では、コンベックスでは不十分な場合もあるため、用途に応じた測定器具の使い分けが重要です。​

コンベックスの0点補正移動爪の仕組み

コンベックスの爪が前後に動く「0点補正移動爪」は、測定誤差を防ぐための重要な機構です。爪を引っ掛けて測る場合と押し当てて測る場合では、爪の厚さ分だけ測定結果にズレが生じるため、爪があえて爪の厚さ分だけ移動できるように設計されています。

参考)知っていますか?コンベックスの特長 – シンワ測定株式会社


シンワ測定のコンベックス解説ページによると、この機構により引っ掛け測定では爪が先端方向へ移動してゼロ地点が爪の内側になり、突き当て測定では爪が本体方向へ移動してゼロ地点が爪の外側になります。​
これにより、どちらの測定方法でも正確なゼロ点基準が保たれ、測定精度が維持されます。なお、固定爪タイプは引っ掛け専用で爪の内側がゼロ基点となり、移動爪より誤差が出にくいとされていますが、汎用性では移動爪に劣ります。

参考)メジャーの先端が動く訳/コンベックスルールの0点補正移動爪 …


医療・福祉施設での設備配置や手すりの取り付け位置を測定する際には、この0点補正機能を理解しておくことで、より正確な施工が可能になります。​