気管支拡張薬一覧とβ2刺激薬と抗コリン薬とテオフィリン

気管支拡張薬一覧と作用機序

気管支拡張薬一覧の見取り図
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まず「疾患」と「目的」を分ける

喘息は基本が気道炎症なので、気管支拡張薬は単独で主役になりにくく、COPDは吸入気管支拡張薬が治療の土台になりやすい、という前提を押さえると一覧が理解しやすくなります。根拠として、喘息治療では吸入ステロイドが中心で、気管支拡張薬(LABA、テオフィリン徐放、LAMAなど)は症状に応じて選択されると整理されています。

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作用時間で「レスキュー」と「維持」を整理

短時間作用(SABA/SAMA)は発作時や頓用、長時間作用(LABA/LAMA)や徐放テオフィリンは維持、という軸でまず分類すると、薬剤名が変わっても判断が安定します。

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「単独で使ってよいか」を必ず確認

喘息ではLABA単剤の長期使用は推奨されず、ICSとの配合剤として使う考え方が基本です。一方COPDではLAMA/LABAが症状のある患者の基本治療として扱われる場面が多く、同じ薬理クラスでも立ち位置が変わります。

気管支拡張薬一覧のβ2刺激薬とSABAとLABA

 

医療従事者向けに「気管支拡張薬一覧」を書くとき、β2刺激薬は最初に置くと全体が締まります。β2刺激薬は気道平滑筋のβ2受容体を介して気管支を拡張させる、最も強力な気管支拡張薬クラスとして位置づけられます(作用機序の詳細はcAMP/PKA系など)。

臨床的には「短時間作用(SABA)」と「長時間作用(LABA/ultra-LABA)」に分けて考えるのが実務的です。SABAは発作治療(リリーバー)として即効性が期待される一方、維持治療の軸はICSを中心に組み、気管支拡張薬は上乗せで使うという説明が公的情報でも強調されています。

参考)セルフマネジメント③ 薬物療法|ぜん息などの情…

重要ポイントは、喘息ではLABAを“単剤で長期使用しない”という安全性上の原則です。日本語の総説でも、サルメテロールやホルモテロールなどのLABAは、喘息では吸入ステロイドとの配合剤として使用が推奨されると明記されています。

参考)慢性閉塞性肺疾患の気管支拡張薬治療・札幌市西区の内科・呼吸器…

また「意外に誤解が多い点」として、ホルモテロールは発現が速いことから、配合剤の運用(維持+症状時に同一デバイスを使う戦略)が議論されてきた経緯があります。すべての施設で同じ運用とは限らないため、院内プロトコルやガイドライン(最新改訂)と整合する形で説明するのが安全です。

論文を1本だけ引用して説得力を上げるなら、LABAの位置づけではなく「気管支収縮そのものが気道リモデリングに関与しうる」という、薬理の価値を再定義する話題が刺さります。喘息で気管支収縮を反復させると、炎症が追加されなくても気道リモデリングが誘導され得るという報告が総説内で紹介されています(原著:N Engl J Med 2011)。


関連論文(原著): Effect of Bronchoconstriction on Airway Remodeling in Asthma (N Engl J Med, 2011)

気管支拡張薬一覧の抗コリン薬とLAMAとSAMA

抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)は、COPDでは代表的な気管支拡張薬で、臨床の「気管支拡張薬一覧」ではβ2刺激薬と並ぶ二本柱です。喘息の文脈では、急性発作時にβ2刺激薬との相加効果があり追加吸入が考慮される、という説明が総説にあります。

LAMA(長時間作用性抗コリン薬)は、喘息でもステップアップや追加投与としての有用性が論じられており、特にICSやICS/LABAでコントロール不十分な症例に話が及びます。総説では、チオトロピウム追加により呼吸機能や増悪頻度の改善が示された試験が紹介され、喘息治療での位置づけが拡張してきた流れがまとめられています。

一方、COPDでは吸入気管支拡張薬が治療の基本であり、LAMAまたはLABA単剤、さらに症状が重い患者ではLAMA/LABA併用が推奨される、という整理が総説(ガイドラインレビュー)で述べられています。

参考)治療 ぜん息の薬|成人ぜん息(ぜんそく、喘息)|ぜ…

「現場で役立つ注意点」としては、抗コリン薬はクラス副作用(口渇、排尿障害、閉塞隅角緑内障への配慮など)を踏まえ、併存症や高齢者背景で“使えるけれど使いにくい”場面があることです。ブログでは添付文書そのものの丸写しは避けつつ、医療者が想起できるように“禁忌・慎重投与になりがちな併存症の例”を提示すると実用性が上がります。

参考リンク(喘息治療における薬剤の位置づけ、長期管理薬と発作治療薬の整理に有用)

環境再生保全機構:治療 ぜん息の薬

気管支拡張薬一覧のテオフィリンと徐放製剤

テオフィリン(特に徐放製剤)は、「古い薬」という一言で片づけられがちですが、医療従事者向け記事では“なぜ今も一覧に残るのか”を丁寧に書く価値があります。公的サイトでも、気管支拡張薬として「テオフィリン徐放製剤」が挙げられ、気管支拡張作用に加えて抗炎症作用を併せ持つ可能性が説明されています。

総説ではさらに踏み込み、テオフィリンには抗炎症作用や、HDAC2再活性化によるステロイド感受性回復作用が報告されていること、ただし従来のPDE阻害説だけでは説明しきれず機序が完全には確定していないことが述べられています。

臨床的な“使いどころ”を言語化するなら、(1)吸入治療がどうしても難しい、(2)夜間症状が強く追加の選択肢が必要、(3)多剤併用の中でコストや剤形の事情がある、といった現実面が背景になりやすいです(ただし個別症例では治療ステップ全体の再評価が前提)。一方で、有効安全域が狭く血中濃度の変動や相互作用の問題があり、モニタリングが必要になり得るため、漫然投与を避ける注意喚起が重要だと総説でも整理されています。

「あまり知られていない意外な情報」として、欧州で開発された“ドキソフィリン”の話題は教育的です。総説では、従来のテオフィリンよりアデノシン受容体親和性が低く安全性が高い可能性がある一方、日本では未承認で喘息へのエビデンスが十分でない、と紹介されています。

気管支拡張薬一覧の喘息とCOPDの使い分け

「気管支拡張薬一覧」を実務に落とすには、薬剤名の羅列ではなく、喘息とCOPDで“治療の土台が違う”ことを一度で伝える構成が必須です。喘息では治療の基本が気道炎症を抑える長期管理薬で、吸入ステロイド薬が中心であること、気管支拡張薬はLABA、テオフィリン徐放、LAMAなどを症状に応じて組み合わせることが公的サイトに整理されています。

COPDでは吸入気管支拡張薬(単剤または併用)が症状のある患者に対する基本治療で、導入やステップアップにLAMA/LABAが重要になる、というレビューが示されています。

医療者向けの独自視点としては、「患者が“喘息っぽいCOPD”あるいは“COPDっぽい喘息”に見える」場面で、気管支拡張薬の選択が先行しすぎるリスクを言語化するのが有用です。レビューでは、喘息とCOPDの鑑別が難しい場合にICS/LABAを処方し得る一方、改善が乏しい場合や肺炎リスクが問題になる場合はLAMA/LABAへの切り替えを検討する、といった現実的なアルゴリズムが記述されています。

最後に、一覧記事で評価されやすい“現場のチェック項目”を箇条書きで置きます(入れ子なし)。

  • 🧾 目的確認:発作治療(頓用)か、維持治療(定期)か。
  • ⏳ 作用時間:SABA/SAMAか、LABA/LAMAか、徐放テオフィリンか。
  • 🫁 疾患軸:喘息(炎症が軸)か、COPD(気管支拡張が軸)か。​
  • ⚠️ 単剤可否:喘息ではLABA単剤の長期使用を避け、ICSとの併用・配合剤が基本。​
  • 🧠 リスク評価:高齢、併存症、肺炎リスク、吸入手技、アドヒアランス。​

参考リンク(COPDでのLAMA/LABA推奨や、ICSとの比較・肺炎リスクなどエビデンス整理に有用)

Therapeutic Research(2023):COPDの第一選択治療としてのLAMA/LABA(総説・二次出版PDF)

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