血液濾過器 ふるい係数
血液濾過器 ふるい係数の定義と0〜1の解釈
血液濾過器の「ふるい係数(sieving coefficient:SC)」は、同時点における血漿(血しょう)中濃度と濾液(filtrate)中濃度の比として定義されます。JIS案(血液透析器・血液透析濾過器・血液濾過器等)では「同時点での血しょうとろ液との同一溶質の濃度比」と明示されています。
この定義を臨床の感覚に落とすと、SCが1に近いほど“水と一緒にその溶質が素通りしやすい”、0に近いほど“ほぼ通らない”という指標になります(0≦SC≦1)。ただし、ここでいう「通りやすい」は“膜の穴の大きさだけ”ではなく、蛋白結合、分子形状、電荷、膜素材との相互作用、さらに運転条件(濾過流量など)も含めた総合結果です。
医療従事者向けに重要なのは、SCが示すのは「除去量そのもの」ではない点です。除去量は、対流(濾過)で運ばれる溶質量=濾過量(Qf)×濾液中濃度(Cf)に依存します。つまり、SCが高くてもQfが小さければ“抜ける総量”は伸びにくい一方、SCが中程度でもQfを上げれば対流除去は増えます。ここが「クリアランス」「除去率」と混同されやすい落とし穴です。
また、SCは「その膜が選択的に何を通すか」を読み解くのに向きます。臨床では、代表溶質としてアルブミン、β2ミクログロブリン、(機種により)イヌリンやミオグロビンなどが性能指標に使われます。JIS案でも、血液透析濾過器・血液濾過器のふるい係数はアルブミン、イヌリン、β2ミクログロブリンまたはミオグロビンで決定するとされています。
血液濾過器 ふるい係数の計算式と採血・採液の実務
JIS案の試験法では、ふるい係数Sは「S = 2CF / (CA + CV)」で算出します。ここでCAは入口側溶質濃度、CVは出口側溶質濃度、CFは濾液側溶質濃度で、CA・CV・CFは同一単位でそろえる必要があります。
この式が示しているのは、血液側濃度として“入口と出口の平均”を採る設計思想です。血液はデバイス内で濃縮され得る(濾過で水分が抜ける)ため、入口だけ(CA)を分母に置くと、条件によって見かけのSCがブレやすいからです。
実務上のキモは「同時点」です。血液側と濾液側で採取タイミングがズレると、循環動態・濾過条件・濃度変化の影響を拾い、SCが簡単に変動します。JIS案は試験回路を組み、血液と濾液の流れ(温度・流速・圧力)を安定させたうえで、血液と濾液の一対の試験液を収集し計算する手順を示しています。
つまり、SCを「製品カタログ値」として読むときは、どの条件(温度37℃、蛋白濃度、ヘマトクリット、ろ過流量範囲など)で得られた値かをセットで確認するのが安全です。
さらに、臨床現場で“自施設評価”を考えるなら、採液のハードルも現実問題になります。濾液を採るには回路設計・採取ポイントの確保・無菌操作・分析体制が必要で、忙しい現場ほど後回しになりがちです。だからこそ、SCは「測定できるなら強い指標」ですが、日常運用ではカタログ値や機能分類の基準値として参照される場面が多い、という位置づけになります。
血液濾過器 ふるい係数とTMP・濾過流量の関係
SCは“膜の性質”を表しますが、運転条件に完全には独立しません。特に血液濾過やHDFでは、TMP(膜間圧力差)と濾過流量(Qf)がシステムの挙動を変え、結果として見かけのSCが揺れます。
TMPは、半透膜を介した圧力差として定義され、実用的な平均TMPの考え方もJIS案に整理されています。HDFの解説資料でも、TMPは血液側圧と透析液側圧の差として算出する概念が示されています。
臨床でありがちな誤解は「TMPを上げれば、SCが上がって“もっと抜ける”」という直感です。実際には、TMPを上げると濾過流束が増え、膜表面で蛋白や溶質が濃くなる“濃度分極”が起きやすくなります。すると、膜表面の実効濃度(Cm)が上がり、濾液濃度(Cf)との比で定義される“真のSC(Cf/Cm)”と、バルク血液濃度(Cb)で見た“みかけのSC(Cf/Cb)”がズレます。結果として、観測されるSCは「膜が変わった」のではなく「膜表面の環境が変わった」だけで動き得ます。
ここは、教育・説明の場面で意外と盲点になります。現場の会話では「そのダイアフィルタはアルブミンSCが高い/低い」で片付けがちですが、本当は“どのQf(対流量)で、どの血液条件で”の話なのです。つまりSCは固定値ではなく、条件依存性をもつ“曲線の一部”として捉えると、トラブルシュート(期待した除去が出ない、アルブミン漏出が多い等)に強くなります。
血液濾過器 ふるい係数とアルブミン・β2ミクログロブリン
血液濾過器の性能を語るとき、アルブミンとβ2ミクログロブリンは“臨床的に意味が通じやすい”代表指標です。JIS案でも、血液透析濾過器・血液濾過器のふるい係数はアルブミン、イヌリン、β2ミクログロブリン(またはミオグロビン)で決定するとされ、試験液条件(蛋白濃度6.0 g/dL±0.5、ヘマトクリット条件など)まで規定されています。
アルブミンは「漏らしたくない側」の象徴で、β2ミクログロブリンは「抜きたい側」の象徴です。両者のSCを並べることで、“中分子を通すが蛋白は抑える”という設計がどれくらい達成されているかの目安になります。
一方で、β2ミクログロブリンSCが時間経過や条件で変化し得る点は、論文でも示唆されています。たとえば、HDとHDFでβ2ミクログロブリンに対する篩い係数が異なる、時間経過で低下する傾向がある、といった報告があり、膜の劣化や表面状態の変化が関与し得ます。
この“時間でSCが落ちる”という発想は、現場では意外と共有されていません。単回治療の中でも、前半と後半で膜表面の状態が変わり、同じ条件で回しているつもりでも溶質透過が変動し得る、という視点は、HDF条件設計や、デバイス選択の説明(なぜこの膜か)に厚みを出します。
また、保険や機能分類に絡む文脈では「アルブミンふるい係数」の閾値が登場します。オンラインHDF等の区分定義では、β2ミクログロブリンクリアランスに加えて、アルブミンふるい係数の基準値が条件として記載されている資料もあり、SCが“研究指標”に留まらず制度設計にも入り込んでいる点は押さえておくと有用です。
血液濾過器 ふるい係数の独自視点:見かけのSCを狂わせる濃度分極・蛋白結合
検索上位の解説は、SCを「濾液濃度/血液側濃度」という教科書的な説明で終えがちです。しかし臨床で本当に効くのは、「なぜSCがブレるのか」を因子分解できることです。ここでは、現場の“違和感”に直結する2点を深掘りします。
1つ目は濃度分極です。膜表面で水だけが先に抜けると、膜近傍に蛋白や中分子が滞留し、膜表面濃度が上がります。すると、バルク血液で計算したSC(みかけ)は、真の透過能を反映しにくくなります。SCを読んで「膜が蛋白を漏らしている」と感じたときでも、実は運転条件(Qfが高い、血液粘稠度が高い、血流条件が厳しい等)で膜表面の環境が変わり、見かけが悪化しているだけのことがあります。JIS案が入口・出口の平均濃度を使う式を採用しているのも、こうした“濃縮の影響”をならす意図があると解釈できます。
2つ目は蛋白結合です。尿毒素や炎症関連物質の中には蛋白結合率が高いものがあり、分子量が小さくても“自由型”が少ないため、対流で抜けにくいケースがあります。SCはサイズだけで決まる指標ではなく、「膜を通れる自由型の割合」「結合の解離速度」「膜近傍での再結合」などの影響を受けます。だから、分子量だけを見て「この物質は通るはず」と期待しても、SCが伸びないことが起こり得ます。
この2点を踏まえると、SCは単なるカタログ値ではなく、患者側条件(Ht、蛋白、炎症)、治療条件(Qb、Qf、TMP)、デバイス条件(膜素材・構造)をつなぐ“診断の糸口”になります。
現場教育では、次のような言い換えが役に立ちます。
- 「SCは膜の点数」ではなく「膜×条件の結果」
- 「アルブミンSCが高い=危険」ではなく「高く見える条件がある」
- 「β2-MGが抜けない=膜が悪い」ではなく「表面状態や時間経過で変わる」
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ふるい係数(SC)の定義 | 同時点の血しょうとろ液の同一溶質の濃度比(JIS案) |
| JIS案の計算式 | S = 2CF / (CA + CV)(CA:入口、CV:出口、CF:ろ液) |
| 試験液の条件例 | 蛋白濃度6.0 g/dL±0.5、血しょうまたは血液(Ht 32±3%など) |
| 代表溶質 | アルブミン、イヌリン、β2ミクログロブリンまたはミオグロビン |
JISの定義・計算式(用語と試験法の一次情報)。
JIS案(血液透析器等)で、ふるい係数の定義と算出式(S=2CF/(CA+CV))、試験液条件が確認できます
TMPとSCの基本用語(臨床向けに読みやすい整理)。
HDF解説資料で、TMPの考え方とSC(0〜1、膜透過効率)が簡潔にまとまっています

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