結晶誘発性関節炎 原因
結晶誘発性関節炎原因:尿酸塩結晶とピロリン酸カルシウム結晶
結晶誘発性関節炎の原因は「関節内に析出・沈着した結晶が、免疫反応(主に好中球主体の炎症)を誘発する」ことにあります。代表は、尿酸塩結晶による痛風性関節炎と、ピロリン酸カルシウム結晶(CPPD)による偽痛風(CPPD症)です。
CPPD症(偽痛風を含む)は「ピロリン酸カルシウム結晶が関節内に析出して炎症が起こる関節炎の総称」とされ、X線で軟骨石灰化を伴うことが多い一方、慢性経過の関節炎型もあり得ます。
結晶が「沈着している」だけで必ず症状が出るわけではなく、CPPDでは無症候性(軟骨石灰化のみ)の病型が相当数ある点が臨床上の落とし穴です。
原因を説明するときは、(1)結晶ができる背景(沈着しやすい土台)と、(2)沈着した結晶が関節腔へ遊離して炎症が起きる引き金、の2層に分けると整理しやすくなります。たとえばCPPDでは「血液中の無機ピロリン酸が高くなくても、関節局所で過剰に存在することで結晶化し沈着する」と考えられています。
参考)302 Found
一方、関節液結晶検査の実務的観点では、結晶誘発性関節炎は尿酸ナトリウム結晶・ピロリン酸カルシウム結晶以外にも、塩基性リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)やシュウ酸カルシウムなど多様な結晶が関与し得る、と理解しておくと鑑別の幅が広がります。
結晶誘発性関節炎原因:加齢と変形性関節症と外傷手術
CPPD(偽痛風)の背景要因として最も重要とされるのは、加齢に伴う変形性関節症(OA)で、発症は60歳以上に多く、60歳時点で7~10%程度がCPPDに該当する、と慶應義塾大学病院の解説で述べられています。
臨床では「高齢者の膝の急性単関節炎=まず偽痛風も鑑別」という定石になりやすい一方、CPPDは膝・手関節だけでなく、肩・足関節・椎間板・黄色靱帯など脊椎周辺にも沈着し得るため、部位が非典型でも“あり得る”疾患です。
原因の深掘りとして押さえたいのが、外傷や手術が引き金になり得る点です。慶應義塾大学病院の説明では、膝半月板切除後の膝関節に偽痛風がみられることがあり、外傷・手術との関連性が知られているとされています。
この観点は、術後の発熱やCRP上昇、関節腫脹が出た場面で感染を強く疑いながらも、同時に結晶誘発性関節炎も並走して鑑別し、不要な広域抗菌薬の長期化を避ける意思決定につながります(もちろん感染除外が前提です)。jstage.jst+1
結晶誘発性関節炎原因:副甲状腺機能亢進症と低マグネシウム血症
結晶誘発性関節炎の原因検索で、検索上位の一般向け解説では「加齢・OA」までで止まりがちです。医療従事者向けに一段深く見るなら、若年例(目安として55歳以下)や反復例で、代謝性疾患や遺伝性疾患が隠れていないかを評価する、という発想が重要です。
慶應義塾大学病院の解説では、55歳以下では代謝性疾患(副甲状腺機能亢進症、ヘモクロマトーシス、低マグネシウム血症、低リン血症など)が偽痛風の原因として隠れていることがあり、除外のために血液検査や画像検査が必要になることがある、と述べています。
さらに、診断の項では鑑別として、血清Ca、フェリチン、Mg、P、ALP、鉄、トランスフェリン、甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン等を調べることが挙げられており、「原因(背景疾患)検索」の具体的な検査項目として実用的です。
ここで意外に見落とされやすいのが“軽度の低マグネシウム血症”です。原因として知られていても、入院時採血のルーチンにMgが含まれない施設もあり、反復するCPPD発作の背景として見過ごされやすい論点になります。
また、副甲状腺機能亢進症が背景にあると、Ca/P代謝異常が関節局所の結晶形成に影響し得るため、「偽痛風を繰り返すが尿酸は正常」という場面ほど、痛風の否定だけで満足せず、代謝性背景の線で原因を詰める価値があります。
結晶誘発性関節炎原因:関節液と偏光顕微鏡
原因を確定する意味では、画像で石灰化が見えても「結晶の証明」にはならない場合があるため、関節液での結晶同定が中核になります。慶應義塾大学病院の解説でも、確実な診断には関節液中あるいは組織中のピロリン酸カルシウム結晶の証明が必要、と明記されています。
関節液では偏光顕微鏡で結晶を確認し、CPPD結晶は弱い正の複屈折性、尿酸塩結晶は針状で強い負の複屈折性として鑑別する、という基本が重要です。
検査会社の解説でも、結晶検査は結晶誘発性関節炎の原因である尿酸ナトリウムおよびピロリン酸カルシウムの鑑別に用い、偏光顕微鏡で判別できる、とされています。
実務の落とし穴として、関節液の結晶検査は「結晶が見えたら確定」ですが、「見えない=否定」になりにくい点が挙げられます。CRCの解説では、CPPD結晶の感度・特異性が高くないため一般検査や細菌検査を併せて行う、とされ、感染性関節炎の除外が同じくらい重要だと示唆されます。
また、検体取り扱いでは異物混入(例:手袋粉のタルク等)が結晶と紛らわしいため注意が必要、とも述べられています。
さらに検査技師側の研究として、鋭敏色偏光顕微鏡装置を用いた結晶鑑別や観察条件に関する報告もあり、診断精度は「採取→搬送→保存→観察」の工程品質に影響され得る、という視点は医師側にも有用です。
結晶誘発性関節炎原因:歯突起症候群と発熱
検索上位では「膝の偽痛風」「痛風との違い」が中心になりがちですが、独自視点として医療現場でインパクトが大きいのは、CPPD沈着が頚椎歯突起周囲に起こる“軸椎歯突起症候群(crowned dens syndrome:CDS)”です。慶應義塾大学病院の解説では、頚椎歯突起周囲のCPPD沈着により頭痛や発熱を伴う偽痛風発作があり得る、と述べられています。
この病態は「高齢者の発熱+強い頚部痛+炎症反応高値」という並びで感染(髄膜炎、脊椎炎など)を強く疑わせ、原因検索が広範囲になりやすい一方、画像(頚椎CTなど)と臨床経過、そして既往のCPPD素因から結晶誘発性を疑えると、抗菌薬・侵襲的検査・入院期間に影響し得ます。
“意外な情報”としては、CPPDの沈着部位が関節だけではない点です。慶應義塾大学病院の説明には椎間板や黄色靱帯でみられることがあると記載されており、神経症状の文脈でもCPPDが鑑別に入り得ることが示されています。
また、稀ではあるものの、全身症状(発熱、炎症反応高値)を伴う偽関節リウマチ型など、関節リウマチや感染、悪性腫瘍などとの鑑別が難しい型が存在する、とも解説されています。
必要に応じて引用できる論文(病型分類の古典)として、CPPD症の臨床病型分類が提示されている文献が慶應義塾大学病院のページ内で参照されています。
慶應義塾大学病院KOMPAS:CPPD症(偽痛風)—原因(代謝性疾患・外傷手術)、診断(偏光顕微鏡)、病型(CDS含む)の要点